ヘッドホン類・アンプ類

2015年5月 6日 (水)

MDR-EX800STをNW-ZX2用の4芯4極プラグ仕様にしてみた(HiFiMAN結線準拠)

 連休が終わってしまうorz

 その連休最後の…というわけじゃないんですが工作してました。
 MDR-EX800STNW-ZX2で使うために通常の3極プラグから4芯4極プラグ仕様に変更しようという試み。
 前から考えてはいたんですが、なかなか踏ん切りがつかず。
 寄り道でiDSD nanoを買ってしまったりもしたんですが、「DAPを積極的に使いたいというのは、その構成から出る音を楽しんでこそ。外部DACやポータブルアンプを接続して…なんて消極的な逃げだ!」という思考に至り、ZX2に積極的に向き合うか…ということで、思い立ったが何とかというわけで買い物してしまいました。
Cimg3041
 …はい、新品のEX800STとMUC-S30UM1です。
 本当だったらMUC-S12SM1が欲しかったのですが、残念ながらどこも品切れで…入荷されるまで待っても良かったんですが、もう連休中に作業して連休明けの通勤で使いたい!ということで、ちょい高いんですがMUC-S30UM1の方を買ってしまいました。
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 以前、MDR-CD900STを4芯4極化したときに使ったケーブルと同じです。MDR-1Aのアップグレード用ケーブルです。プラグ部分が加工済みなので非常に重宝します。ケーブル自体の質も良いし。そこそこのお値段するだけのことはあります。他にもあるだろう…って、上を見たらきりがないですけどね(苦笑)。
 今回はこれの片方の、L字3極プラグ側も欲しかったのでMUC-S12M1狙いってのもあったんですが、手に入らないならしょうがない、というわけです。
 さて、とりあえずケーブルをカットする前に、EX800STの標準でのピンアサインを確認しておきましょうか。
Cimg3040
 ケーブルからドライバーユニットを外すと、端子はこうなってます。右と左で対象なんですが、調べてみたピンアサインはこちら。
Cimg3048_caption
 文章で説明するよりも図の方がわかりやすいだろうということで、こうしてみました。
 テスターで導通確認して、各GNDも当たり前だけどつながってる状態。
 EX800STもS30UM1も買ってきたばかりなんですが、当然そのまま使う気はないので、それぞれ必要なところからカットします。…EX800STだけは、切り取る前に一応動作を確認してます。
 で、プラグつきケーブル側は、テキトウなところで切断します。長さはお好みでってわけです。わたしはイヤホンのドライバーユニットからプラグの先端までで、おおよそで90~95cm程度になるようにカットしました。CD900STのときもそのくらいで作ったんですが、インドア・アウトドアともに、このくらいあれば十分かつ使いやすかったので。ZX2自体はネックストラップ運用という理由も大きいんですけどね。
Cimg3051_caption
 プラグつきケーブル側の配線はこうなってます。プラグ先端とケーブルでそれぞれ導通を確認し、先端の4極プラグからHiFiMAN準拠でドライバー側へ結線する場合はこんな感じです。これが4極プラグをMDR-1Aに接続するということだと、L-とR-が逆になるんですが、その話はさておいて。
Cimg3064_caption_03
 HiFiMAN用バランス及びZX2での4極プラグのピンアサインはこれです。
 図のフォントはそれぞれのケーブルの色にあわせてあります。
 ZX2の場合はL-もR-もGNDなので本来ならどちらに接続されてもいいはずなんですが、メーカー想定通りの結線にしておかないと定位感が出ずふわふわした感じの音になったり、音像がはっきりしなくなるなどの問題が出ます。
 具体的にはプラグ先端からLRLRで後ろ二つがマイナス(もしくはGND)と覚えておけば、そこから結線するときに意外と楽かもです。
 テスターで確認するくらい誰でもできるかと思いますので。
 EX800ST側は、ケーブルが分岐しているところの根元で切断します。
 それぞれ被膜を剥いてケーブルを出すんですが、特にEX800ST側のリッツ線つらい…当然だけど一応プラスマイナス分かれてますが、えらい細い線が繊維と一緒に入ってるので、ケーブルと繊維を分けてそれぞれの極に分離するのが大変…そして、繊維を除去できたら、ハンダをのせずにプラグつきケーブル側とイヤホン側のケーブルを撚りあわせて(寄り合わせる前に迎えハンダ等やらない方がいいです)、それから軽くハンダ付けして、イヤホン側とプラグ側のそれぞれの端子がちゃんと導通していることを確認したら、各チャンネルを絶縁、熱収縮チューブ等で加工して固めて完成です。
Cimg3043
 出来上がりがこれ。
 簡単にやったように書いてますが、わたしが不器用なのでめちゃめちゃ時間がかかってます。
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 仕上がりもあんまり綺麗じゃないですが、そこは言いっこなしってことでひとつ。
Cimg3044
 素のEX800STとの比較は、あたりまえですがZX2に接続したときは3極のものよりも、おかしな…気持ち悪くなったり、頭痛いなーという感覚がかなり軽減されます。あと、ケーブル変えた効果として、性格はほぼそのままで、分解能などが向上する感じで。ここらはEX800STにEX1000のケーブルを付けて…というのをやったときとは全然違って、ありがたいですね。あれだと性格まで変わっちゃうので。ソニーの松尾氏からも「あれらのケーブル交換可能なEXシリーズはケーブル込みで音のバランスを取ってある」という話を先日Just earの試聴の場で伺うことができましたし(…ということはこの工作も、邪道ではあるんですよね)。
 ひとまず完成ということで、出来上がったのが深夜だったこともあり、一人でえらい盛り上がって楽しい楽しいって言ってたり(ダメ人間…早く寝ろ)。
 あらためて。
 素のEX800STとの比較では、音質的には若干硬質になるんですが、低中高といった音のバランスはほぼそのままで描写力等々が向上するので、結構楽しい感じです。
 このケーブルをEX1000につけると、また感想が変わるんじゃないかなあ?という気もします。個人的にはEX1000のケーブルよりもこっちのが音としては好みですね。もしかしたら、このケーブルでEX1000を…という運用もありかもです(やらないですが)。それだけEX1000の性能や性格がケーブルにも支えられてるということでもあると思うんですけど。
Cimg3046
 …というわけで、かなり良い感じです。
 こんなことならもっと早くやっておけばよかった。
 これでようやくZX2単体で、本体の良さを活かして楽しめるというものです。
 もっとも、根本的解決ではないんですけどね(4極接続でも違和感が…という説についてもわたしは否定的ではない方なので。ときどきそういう鳴り方してるなって感じることありますし)、でも、普通に3極プラグのイヤホンで聞いたり、スマホ用マイクケーブルで使っていて、不意打ちで頭痛い!って感覚を食らうよりは、かなりマシになったんじゃないか?と思っています。
 ていうか、iDSD nanoが、使われない子になってしまった…どうしよう。
 家でも外でも使わないしなぁ…うーん。
 …ドナドナかorz

 これでZX2の4極起因でと言われている違和感を回避することがある程度は可能です。
 一番望ましいのは、ソニー側でZX2を詳しく調査された上でリビジョン変更での修正対応がかかるか(有償でも構わないです)、次回以降の機種でこの点が改善されてくれれば…なのですが。
 ベストなのはリビジョン変更による改修対応ですが。
 いずれにしても、ZX2を積極的に使っていこうという点では、4極化はしておいた方がいいと思います、という話でした。

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2015年4月 7日 (火)

MDR-CD900STにMDR-1Aのイヤーパッドを付けてみた

 タイトル見たまんまの話です。
 MDR-CD900STMDR-1Aのイヤーパッドを付けてみようという。
 1A、装着感だけは素晴らしいとか、イヤーパッドが本体とか言われてますが、概ね同意なので。で、その1Aは40㎜ドライバーの機種なのですが、同じ40㎜ドライバーのCD900STに1Aのイヤーパッドを付けたら、1Aの装着感でCD900STを楽しめるんじゃない?ってことで、やってみました。

Cimg3015
 これです。保守パーツ。SHIROBAKOです。じゃなくて…1Aのイヤーパッド、それぞれ税込1個4428円、左右あわせて税込8856円です。1Aのソニーストアでの売価が税込29970円、CD900STの定価が税込19440円、CD900STのイヤーパッドが片耳税込713円で両方だと税込1426円という扱いだと…1AとCD900STってイヤーパッドが同等ならわりと同等な感じですねーなどと言ってみる。
 実際には開発年度とか諸元とか違うから簡単にどうともいえませんが、こうして比較してみるとCD900STってやっぱりまだまだ当たり前のように現役ですね。ことオーディオ機器に関しては新しければ良いってものでもないんで。
 とはいえ1Aの立体縫製イヤーパッドは魅力的なので、CD900STにつけてみよう…というわけです。
 Cimg3016
 箱から出してみた。こんな感じです。
Cimg3017
 裏側こんなんです。ちょいと複雑ですね…。
Cimg3018
 CD900STのイヤーパッドと並べてみた。
 1Aのイヤーパッドはメッシュが薄いというか穴が大きいというか。通気は良さげな感じですね。
 でも、形が違うので、このままではCD900STに取り付けられません。
 そこで。
Cimg3020
 ひとまずイヤーパッドの内側についている樹脂リングを外してみた。これは中に入っているだけなので、簡単に外れます。
Cimg3021
 CD900STに取り付けられそうなくらいまで、1Aのイヤーパッドの内側を切り抜いてみる。生地にあけられている穴の内側を目安にやってみた。
Cimg3019
 とりあえず片方つけてみた。
 ん、まあ、良いんじゃないかな。
Cimg3022
 両方つけてみた。おー。いいね、いいね。
Cimg3023
 内側はこんな感じになります。やっぱりかなり薄い。音、変わるんだろうな。
Cimg3024
 下側から見たところ。ふっくら。気持ちよさそう。
Cimg3025
 折りたたんだところ。良いね、良いね。
Cimg3028
 ひとまず完成。
 聞いてみた。
 密着度がノーマルのイヤーパッドより上がるので音が外に抜けないようで結構濃い感じ、でも基本的な傾向は当然CD900STなんで、あんまり違和感なく聞けます。目立つ変化は、ノーマルのCD900STよりも、音が若干明るめで硬質になります。これは見た目からもわかるようにドライバーから耳へのフィルタが通気良いからってことなのだと思われます。この辺、ノーマルのイヤーパッドのを移植したら面白いかもしれません。わたしはそこまでやらないですが。
 ちなみに、一応、適合機種でもないものの部品を無理やりつけているわけで、弱点はあります。
Cimg3030
 こんな感じで、もともとの穴の位置がハウジングの固定部分から浮いてきたり、ノーマルのイヤーパッドと比較して、やっぱり若干固定に難があり、ちょっとだけ外れやすいかも…っていうのはあります。完全に外れるということはそうそうないですが、部分的にめくれてくる、というのは持ち運びしていたらありえます。
 そこらへんは運用で注意すればいいかー、と。
Cimg3032
 ノーマル(どこが?)のCD900STと並べてみた。左が今回の部品交換後のもので右がノーマル。
 装着感そのものは、かなり変わります。ノーマルのイヤーパッドだと耳介がドライバーに当たって、場合によっては長時間使っていると耳介が圧迫されて痛くなることがたまにあるんですが、1Aのイヤーパッドはドライバーが耳にあたるということはほぼなかったです(極端に耳の大きい人はどうだか知りませんよ?)。イヤーパッド自体がふかふかしていてかなりやわらかいので、着け心地もとても良いです。すごく気持ちいい。完成後は外したくなくなって、一晩聞いてて寝不足になったり(苦笑)。
 これは良いものでした。
 ネタとしてはありですね。ただ、こんなの他にやる人はいないんじゃないか?とも思いますが(社外品ですがYAXIのイヤーパッドとかもありますしね)、ひとまず良かったよーということで書いてみました。
 ものすごい装着感良いので、イヤーパッド自体はダメもとで保守部品を注文してたんですが、やってよかったです。
 もしかしたら、同様に他の40㎜ドライバーの機種でも、ある程度加工するという前提で同じことができるかもしれません。
 なんでもやってみるものですねー。


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2015年2月20日 (金)

MDR-CD900STにMDR-1A用ケーブル・MUC-S30UM1を取り付けてNW-ZX2専用化してみた(4芯・4極プラグ化)

 MDR-CD900STMDR-1A用の別売りケーブル・MUC-S30UM1を取り付けて4芯化…というのは前にやりましたが、NW-ZX2を目の前に我慢ができず(ダメ人間)、ZX2専用に4極化してみました。
 ※2/24付で記事内容の訂正を行っています。それ以前にこちらを参考にされた方、すみませんが、再度結線の確認をお願いいたします。

 まずは前回の中身から。
Cimg2297
 これは前回ただ4芯化しただけのときの左側ドライバー。
 このケーブルを外して、MUC-S30UM1の、もう片方の残った側の部分を使って、4極4芯化します。
 付け直したのがこれ。
Cimg2302
 ちなみにケーブルは、下記のような配置。
 (ケーブル側)白/黄/赤/緑(チップ側)
 一応、結線としては
 (ケーブル側)R(GND)/L(GND)/R/L(チップ側)
 これで接続しました。ちなみになんですが、白・黄はそれぞれ逆でも音は出るんですが、あきらかに違和感があったので、上記の組み合わせになっています。
 HiFiMANのバランス接続などと同じ配列での作成になりますね。
 ※ちなみにLとRのGND(白と黄)をそれぞれ入れ換えてドライバーに接続したときの音は、音場は広がるのですが、センターもさだまらずふわふわと広がってしまい、気持ち悪い音で鳴ってました…GNDのはず?なんですが、仕組みがいまいちわからないです。アンプから先はGNDもLとRで分離されて線が出てるって認識でいいのかな?と…プラグを挿した状態で両GNDの線にテスターをあてると当然導通してるのがわかるわけですが…。
 こればかりはZX2のピン配置が公表されていないので、勘でやるしかないです…正式なものが公表されて、逆だったら直せばいいだけなんですけどね。
 出来上がりはこんな感じです。
Cimg2299
 持ち歩きを考慮して、ショートコード化もあわせて行なっています。
 プラグ部分のアップだとこんな感じ。
Cimg2300
 これでプラグからドライバーまで、完全に左右が分離されたことになります。
 あとはプレーヤーですが…
Cimg2301
 こんな感じですね。
 一応ZX1でも使えなくはないんですが、GND側のピンの接触が厳しいらしく、すこしでもぐらつくと音が片チャンネルとぎれとぎれになったり、接触不良なノイズが出てしまうんで、これはもうほぼZX2専用です。NW-A17はノイズキャンセラー搭載機で付属のイヤホンも5極なので、左だけ出直されて使い物にならなかったです。

 さて、肝心の音はというと…
 それぞれの定位がはっきりして立体感が増し、よりクリアになりました。
 ケーブル交換前の3極で聞いていた音よりもさらに良いものになりました。
 これでもともとの3極3芯な普通のCD900STで聞くと、分離感や立体感はそこまではなくて適度に混ぜ合わされたような音になるんですが、これはこれでたまに使うとホッと安心できそうな音です。ノーマルのままのも大事にとっておこう…もとよりそのつもりですが、こうやってCD900STがどんどん増えてく(苦笑)。

 こんな感じで、ほぼZX2専用になりましたが、4極4芯化改造が完了しました。
 あとはスライダー換えて折りたたみにする予定で。

 以上、こんな感じでやってみました。
 1Aのケーブル流用なんで、プラグ部分の工作がないのは楽でいいですね。その分、記事としては参考になってんだかなってないんだか…ってところですが、とりま個人的な改造なんでこれでよし、と。
 換装される方は、あくまで自己責任でどうぞ。
 ヘッドホン側なりZX2本体側なりに何が起こっても問題ないって方は、やってみると面白いと思いますよ。


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2015年2月 6日 (金)

MDR-CD900STにMDR-1A用ケーブル・MUC-S30UM1を取り付けてみた(4芯化)

 『ヘッドホンは通常はケーブル込みで設計者により音決めされてる』はずだからって、リケーブル嫌ってたくせにねぇ…というのはさておいて、きっかけはNW-ZX2です。
 ZX2向けにMDR-CD900STのケーブルを4芯4極化できたら面白そうだなーと、その前に、ケーブルを変えることによる変化そのものも楽しんでおきたいなぁ、と。
 ケーブルはいろいろ選択の余地もあったのですが、「プラグのハンダ付けが面倒くさい」というズボラな理由と、「銀コート線良いねー」という理由により、今回はMDR-1A用のオプションとして販売されているMUC-S30UM1を利用しました。
 で。
 ZX2専用にということでCD900STをもう1個買うかーってところから始まってるので、まずはこんなん。
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 かつては無地の白箱で売られていることで知られていたCD900STですが、今買うとこんな感じの茶箱なんですね。それに紙ラベルが貼られてる。
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 あけるとこんなん。
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 簡易な案内が入っています。
Cimg2263
 特に緩衝剤とかなくて、ただただピニール袋に入ってる本体。これは以前と変わらないですね。
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 毎度おなじみ。新品は良いものですね。
 それから、MUC-S30UM1。
Cimg2259
 パッケージ表。
Cimg2260
 パッケージ裏。
 中身もなかなか凝った包装になっていますが、写真撮り忘れました…。
 そしてこれ、3mなので、ひとまず今回は約2m(実際には180㎝ほど)と残りとに切断します。
Cimg2267
 こちらは今回は使わない、4極3.5㎜プラグの方。これはいずれZX2が届いたときに、改めて取り付けるので、今回は使わずに保管します。こちらが約1mにしてある方です。
Cimg2268
 惜しげもなく切りましたこの約2mの標準プラグ分を今回は使います。
 まずはCD900STのL側を分解します。
Cimg2269
 これもご存知の方は見慣れたものですね。とりあえずここから標準のケーブルを取り外します。
 取り外したら、MUC-S30UM1だったものを取り付けます。
Cimg2270
 ケーブルの色は、それぞれL=緑、R=赤、GND=白・黄色ですが、まずはGNDを一本だけつないで、ケーブルを変えただけの状態にして、ノーマルのCD900STと聞き比べてみました。ちなみに手元のノーマルのCD900STは、白箱のときに買ったものなのでかなり前のものなんですが、ノーマルのままでとっておこうと買ったものなので、バーンインとかろくにやってなくてチューニングとかもしてないものになります。実際、ほとんど使ってないんじゃ?って感じで。なので今回の新品との比較は結構やりやすいかと。一応ですが、今回の新品を箱出ししたときの音と、この手元のノーマルとですが、聞き比べしてみたところ、ほぼ変わらない感じでした。
 で…ケーブル交換後ですが、ケーブルやプラグの質自体が全然別物なので、これだけでも結構変わります。ノーマルのCD900STが持っている凝縮されたような音場に若干広がりが出て、シャープネスも上がります。微細な変化が小音量でもかなり聞き取りやすくなり、これがあのCD900STか?!と、驚きを隠せない感じ。まあ、ケーブルだけでノーマルの価格のおよそ3倍強では、変わって当たり前…という気もします。ノーマルよりも、より解析的になっているのに聞きやすいという不思議な感覚でした。
 ケーブル交換だけでこれだけの変化があるとなると、4芯化したらどんなものだろうと、ちょっと興奮気味に、浮かしていたGNDの線をドライバーにつなぎます。
Cimg2271
 黄色と白の線をつないでいるハンダの山は、もともとははんだでつながっていますが、カッターナイフなどで間を削って接触しないようにします。これもよく見てもらうと、黄色と白の線がついてるドライブのハンダの間が削れてますでしょ。削った後にそれぞれの山がきっちり導通外れてるかをテスターで確認のこと、です。ケーブルをはんだ付けしたあとは電気的には普通につながっちゃう判定になるんですけどね(プラグ側で接触してるので)。
Cimg2276
 これで完成。
 ハウジングからのケーブルの付け根とかも純正のままの部品をそのまま流用してます。
 パッと見ではノーマルと大差ないかも…いや、ケーブルが布巻きなのですでに別物ですが。
 そしてプラグまで4芯化したその音は…さきほどの3芯状態よりも、より個々の音の位置がはっきり聞こえて、ノーマルのCD900STや3芯化でケーブル交換しただけのときよりも全然違うレベルでディテールがはっきりわかりやすくなりました。聞いていてすごく気持ちいい。ケーブルによるチャンネルセパレーション改善の効果ってこういうことか、と。よりスピーカーで聞いているような音に近づいた感じです。
 …こうなるのはわかってたんですが、もはやこれは『ついさっきまでCD900STだった何か』なので、ゆえにこれまでリケーブルってあんまり好きじゃなかったり…だったんですよ。これで何かを聞いても、『CD900STで聞いている』ということにはならないんじゃないかと、つまり、いろいろ説明とか面倒くさい。個人でなにも関係なしに楽しむだけなら何の問題もないのでいいんですが、と、割り切るしかない感じ(苦笑)。
 NW-ZX1とノーマルのCD900STの組み合わせでは音が団子になったり混濁してディテールを聞き取れなかったような録音の残念な音源でも、非常に明瞭にかつ聞きやすく楽しめる…これはこれでありだなー、と。ZX2に向けて4極化するのが楽しみになってきました。
Cimg2274
 奥からノーマルのCD900ST、比較的ノーマルに近づけるようにケーブルを詰めてプラグを変えて折りたたみ化したもの、そして一番手前が今回の『かつてCD900STだった何か』…です。いや、CD900STはCD900STですが、すでにかなりの別物に。
 実際にやってみて、やはり冒頭で書いた『ヘッドホンは通常はケーブル込みで設計者により音決めされてる』という考えに変化はないというか、よりその思いを強く再認識させられることにはなったのですが、個人的に楽しむ分には、まあ、ありなんじゃないかなあ…という風に認識を改めさせられもしました。ただし、ただしですが、リケーブルしたヘッドホンやイヤホンで何かを聞いたことを人に伝えるときは、その旨は明記すべきだと…要は機種名が指し示す音とは程度の差はあれ全然違うわけだから、です。

 実はぶっちゃけてしまうと、ZX2にあわせてMDR-1Aも買おうかなとか考えていたんですが、これで満足してしまいました(苦笑)。
 不自然感なく、それでいて明瞭に聞けるという。
 4極化するときはスライダーも付け替えて折りたたみ化して完全に持ち歩き用にする予定ですが、この4芯3極標準プラグ化も良好だなーと思ってしまいました。んんん、ZX2用だけじゃなくて普通に4芯3極ステレオミニプラグのものも作りたくなった?(これ以上CD900ST増えてどーすんだ)。
 一通り換装が終わったあとで、恒例のアンブレラカンパニーさんの「くるっと」と「ぷすっと」のチューニングを施してあります。これでよりいろいろ捗る。
 なんだかんだで、やってよかったです。
 これでまた、いろいろ手持ちの曲を聞き直してみたくなりました。


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2014年9月16日 (火)

MDR-CD900STのプラグをFURUTECHのFT-735(R)にしてみた

 ちょっと前のFURUTECHのF35(G)を使ってみたところで、ポータブル向けに改造した方のMDR-CD900STのプラグもFURUTECH製にしたくなり、結構勢いで注文してしまいました。
 ヨドバシで夜中の四時過ぎに注文して、当日二十時過ぎくらいに配送されたので、さっそく換装してみました。
 まずはこれまで使っていたオヤイデのP-3.5 SRHPを取り外し、ケーブルをむき出しにします。
 これまで使っていたP-3.5 SRHPはこんな感じ。
Cimg2085
 …じゃなくて(ひえたビ…って、ぉぃw)
 ※いいんです、対象年齢が80年代にビビッとくる人向けだし
 気を取り直して。
Cimg2111
 こんな感じ。上のが一番初めに使っていたもので、このあいだまで使っていたのが下のものです。一度オヤイデさんに持って行って交換してもらったことがあるんですが、どうにもプラグが黄ばんでくるんですよ…二つ目の方はそこまで黄色くはならなかったんですが、それでもなんとなく黄色っぽい感じに。
 ひとまず取り外しが済んだので、新しいプラグを用意。
Cimg2102
 FT-735(R)です。
 わたし個人的にはデザイン面ではオヤイデのP-3.5 SRHPの方が抜き挿ししやすいんじゃないかなーとは思うんですが、これはこれで見た目は良い感じ。
 また、わたしがP-3.5 SRHPを選んだときのポイントとした『携帯ハードウェアにカバーをかぶせている状態でもプラグがカバーに干渉しない』という作りになっているので、これも問題なし。最近の機器に使うためにプラグ交換をするのに支障ない形状で良いです。
Cimg2103
 結線はこんな感じでやってます。
 半田付けがうまくなくてお見せするのは恥ずかしい状態ですが…ちなみに以前までは半田ごては20Wのもので作業していて、なかなかうまくいかないなーと結構苦労していたのですが、今回は60Wのものを投入しました。おかげで作業がすいすい進む。もっと早くから変えておけばよかった、炒飯と同じとは言わないですがやっぱり火力は大事ですね(違くね?)。
 ここらの結線は3.5ステレオミニプラグ製作例(oyaide.comさん)が、かなりわかりやすく記述されているので、わたしの汚い半田付けや作例よりも参考になるかと思います。
 ここまで結線できたら、ショートしてないかどうかとかをテスターで確認して、問題がなければプレーヤーに接続して音を確かめます。色的には問題なく結線出来ているはずですが、一応テストトーン等を使って左右のチェックを行います。こういうときにもXLO Test&Burn-In CDがあると便利ですね。1トラック目にチャンネルテストが入っているので、Left、Right、と、センターバランスが問題ないかを簡単にチェックできます。
 半田付けがうまくいったら、次はケーブルクランプで被膜を締めます。
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 以前の初めての換装後に、実際に使用していてたびたび断線したことがあったので、二度目の換装からやってる加工なんですが、このあたりは断線防止の工夫です。素人考えな小細工ではありますが、ケーブルが引っ張られたときに、半田されている部分に直接テンションがかかって引っ張られないように、コネクター内部に入るケーブルを多少ゆるませてあります。CD900STのケーブルの被膜は結構柔らかいので、ケーブルクランプで締めても中の線が引っ張られてしまったりするので、こんな感じでたるませた状態で、さらにこれをスミチューブとかの熱収縮チューブで固定します。
Cimg2108
 こんなふうにかぶせて…
Cimg2109
 こんな感じに収縮させて固めます。グルーガンで固定とかも考えましたが、あんまりしっかり固定できないし、換装しなおすときに糊を除去するのも大変なので、ということでこんな方法を使っています。透明の収縮チューブにしておけばよかったかな?と思いますが、プラグのカバーを取り付けたときに外に出る部分のことも考慮してこの色です。
 ここまで出来たらある程度ケーブルを引っ張ったりして、簡単に断線しないかをチェックして(この段階でも何回か試聴します)、問題がなければカバーを閉めます。
Cimg2110
 完成です。
 手前みそですが見た目もそこそこで良い感じかと。
Cimg2112
 完成した全体像はこんな感じです。折りたたみの改造はこちらを参考にどうぞ。よくよく考えたらこのCD900ST、もう4年以上も使ってるんだな…よくがんばってくれてますよ。1回左右のドライバーを交換してますが。
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 鳴らしてみる。
 ノーマルのCD900STにFURUTECHのステレオミニへの変換プラグF35(G)をつけた音とは若干異なり、少し濃くて厚めの音ではあるんですが、解像感が向上しCD900STノーマルやオヤイデのプラグではベタ塗りに聞こえていたような部分のディテールも聞きとれるようになり、すっきりして良い感じです。元々ソリッドな印象の音のヘッドホンですが、さらにソリッドさが増してます。実際かなり気持ち良いです。
 CD900STの傾向はそのままに、ソースが持っている音色をより判別しやすくなっています。ここらへんはこういったプラグ換装をせずとも、ノーマルにF35(G)を取り付ければ比較的近い状態にもなるので、ノーマルでケーブルを切るのがもったいないと思われる方はF35(G)を試してみてもらうと面白いと思います。ステレオミニプラグになっちゃいますけどね。今回の換装に近い音を体感できます。
 今回のでわたしのCD900STは結構いじってますが、比較的な感じではノーマルにF35(G)をつけたものに近い音の状態ではあるかなーとは思います。ただ、アンブレラカンパニーさんのCD900STチューニング関連記事にあるように、ポータブル化してある方は『くるっと』と『ぷすっと』のチューンは行っています。これによってバランスや音場感がより安定し、低音の響きも良くなっています。ノーマルと比べるとそれだけでも結構な改善を感じられるものですが、ありがたいのはそれでいてCD900STそのものの音色等を損なうことなく、ノーマルでわりとテキトウに作られている部分をさらに良くできるというところが良いチューニングだなーということで参考にさせていただいています。
 さてさて。
 プラグ交換でさらに明晰的になりましたが、これでじっくり聞いてみたんだけど、やっぱり別に聞き疲れするということはなく、逆により鮮明になった分、不自然さなくずっと聞いていられる気持ち良いヘッドホンになってくれたなーという印象です。
 写真にも載せていますが、これで聴くティンクリング・ハンドベルが気持ち良いのなんのって。かなり古いCDで(ジャケット見るとCBSソニー時代のものです…リリース自体が1987年でして…当時、日本橋三越でこれのカセットテープとダライアス写真集を買ったりファミコン版沙羅曼蛇の宣伝用未完成ROMの試遊台で遊んだ記憶があって思い出深かったり…あんまり関係ないですねすみません)、とっくに廃盤になってしまっているのが残念でならないんですが、これの原盤があるならハイレゾでリリースしてくれたらぜひぜひ欲しいんだけど。
 今回写真は撮っていませんが、NW-ZX1HM-602 Slim、これらをWMC-NWH10GT2 Proで接続して聴くティンクリング・ハンドベルが極上でね。
 この使い方だとZX1のバッテリーがもりもり消費されるのでそうそう長時間楽しめるものではないのでなかなかやらないんですが、ZX1単体と今回組んだCD900STとの組み合わせでも、かなり気持ち良いです。
 でもって、これで3DSでアウトランとかやると、もうタイムは縮むわスコアは伸びるわでいいことづくめ(言い過ぎ、しかもそれヘッドホンもプラグも関係ないし)。

 そんなわけで、ひとまずわたしの手持ちのポータブル改装MDR-CD900STは現時点での完成をみた感じですね。ただ、これでケーブルの4芯化(グランドをプラグまで左右別の線でもってくる)とかもしてみたい気もするんですが、それは以前にも書いたんですが標準ケーブルからまるで変えることになるので4芯化した効果なのかリケーブルした効果なのかが分からなくなるから、その検証をするとなるとCD900STがさらに2本必要になるのでやってない…という感じですね。
 ぶっちゃけHDP-R10を買ってなければ、そういう実験もできたんじゃない?という気もしますが、とりあえずまたの機会に…と。使いたいプラグも現状でFT-735(R)じゃないと…ということでリケーブルに際してのハードルも自分で上げてしまった感じなので(苦笑)、予算が結構厳しいので余裕があるときじゃないと無理っぽいです。
 なので、今のところはこれでかなり良い音を楽しめてますし、満足しておこうかなぁ、と思います。


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2014年6月13日 (金)

2014年版(?)MDR-EX800STについてわたしが知っている二、三の事柄

 うぼぁ~
 …
 って、死んでる場合じゃないですね。
 おはこんばんちわ。

 先日のエントリーで、最近買ったMDR-EX800STが発売日に手にしたものと比べて音とかいろいろ違うと書きましたが、それからしばらくバーンインしたり毎日運用したりして、改めて聞きなおした感想を。
 …と、その前に。
Cimg1185
 EX800STがみっつ…これ、今年になってからEX800STを買った友人に撮らせてもらいました。
 実は、わたしが買った新品と前の個体との差が単純に工業製品としての個体差なのか、それともバーンイン及びエージングによる差が出たのか、そうではなくて製造時期が変わっていわゆる仕様変更が行われたのかを知りたくて、試聴させてもらいました。
 というわけで、ネタっぽい内容ではありますが、手前味噌ながら確度はそれなりに高いんじゃないかな?という気はしています。

 まず外観面ですが、ユニットそのものの外観やケーブル等の見た目には差がないんですが、実際に手にしてみると、ケーブルが若干細くなっています。これは写真とかではちょっとわからないかも…一番初めに買ったものをA、友人が今年に買ったものをB、わたしが先日買った新品をCとすると、Aのケーブルと比較してBとCは細く、BとCのケーブルはほぼ同じ太さです。これが何を意味しているのかはわかりませんが、とにかく製造時期で付属するケーブルの太さが変わっているようです。
 実際ケーブルが変わるだけでも音質が変わるということは以前わたしのEX800STが断線してしまって買い換えたときに経験しているので…ちなみにそのときのケーブルは初期の新品のEX800STのセットについてきていたものと太さ等は同じでした。
 このケーブルの太さについては、実際に触れて比べてようやく感触として実感できるような感じです。
 それから音質面については、Aが低音寄りでどちらかというとウォームな、厚みと暖かみのある音であるのに対して、BとCはその特色をそこそこ払拭しクールでクリアな印象の音で、BとCは同様でこれらをバーンインしても経年したAの音になるとは思えない音です。発売当初からいろんなところで語られているEX800STの特色である低音寄りといったものからCD900STの傾向にかなり近づけられているように思いました…とはいえ、そこはやはりEX800STなので、基本的な傾向が大幅に変わっているわけではないです。しかし初期の発売日購入のものとはやはり別物でした。
 低音寄りというと試聴のときにわかりやすいので使ったのがRIDGE RACER 20TH ANNIVERSARY REMIXのDisco Ball (RR 20th Anniv. Mix)ですね。イントロからベースの低音がいくつも段階的に重なっていくんですが、Aだと全身を包むように雰囲気全体を支配する感覚の低音がドムドム、ブーン…と鳴ってゆくわけですが、B及びCだとそのあたりが非常にクリアで見通しが良くなり、重なっていく低音がどういう重なり方で加わっていくのかなどがより聞き取りやすくなっていました。
 また、このみっつを比べたとき、友人の個体であるBはそれなりにバーンインされているとのことでしたが(購入からも何カ月か経過していて意図的なバーンインの実施も加わってから普通に使われている)、わたしの個体であるCはほとんど慣らし込みをしておらず(まさに先日買ったばかりという状態)、せいぜい10時間鳴ったかどうかという状態での比較でしたが、この時点でバーンインによる差は若干はありうるかもという感じでした。Cのがまだ低域の低い方や高域で硬さが取れないというか、荒削りな感じがあり、これは現状わたしの個体もそれなりに慣らしていて低減されてきているので、個体差というよりはバーンインによる差が出たものと思われます。ただ、EX800STの場合はバーンインの効果がさほど大きく出るイヤホンではないようには思います。
 ※ただし新品状態だと音にそれなりの硬さというか粗さはあるので、ある程度のバーンインは必要と思われます…行うことでその硬さや粗さがほぐれて不自然感のない音に変わってきます。

 今回、比較的製造時期の近いと思われるものと初期のものを比べることができたおかげで、おそらくですが、音質面でなんらかの調整や変更があったものと考えられます。
 それで、この変更について、たとえば初期のもので聞き取れていた音が取れなくなるということなら問題なのですが、逆にそれらの音も聞き取りやすくなっていることで、おそらくは意図的に発音のバランスが調整されたのではないか?と思われます。
 初期のもののEX800STの独特ともいえる個性も捨てがたく良いものではあるのですが、個人的には音域バランスがCD900ST寄りになっているこの調整はありだと思います。モニターイヤホンとしてはより進化したと思いますし、リスニング向けとしてもよりすっきり聞くことができるようになり、全体のバランスが良好になったといえるのではないでしょうか。

 …と、初期のものと今月買ったものとを比べた結果はこんな感じになりました。
 おそらくは意図的にバランス調整が加えられたものと思われますが、これが『※仕様および外観は改良のため予告なく変更することがあります。』ということなら全然ありですね。わたし個人的には初期のものもよかったかなーとは思うんですが、新しいものの音はやはり改良された結果だと考えられる音に仕上がっていると思いますので。
 これは…過去に某所とかに書いた感想を更新しないとダメな感じかも(苦笑)。
 とにかくそのくらいには聴感上の印象も初期のものとは異なります。かなりすっきり聞くことのできる、より良いイヤホンに仕上がったのだなーと。
 もしかしたらですがCD900ST自体も、わたしが購入したのがかなり前になるので、これもまた若干変わってきてるのかな?と考えると興味が…すぐには買えませんが(涙)、新しく買って聞き比べてみたいですね。


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2014年6月 6日 (金)

MDR-EX800STを買い足したので2010年の発売日に買って使ってきたものと聞き比べてみた

 こんにちわわ~。
 MDR-EX800STはうちで常用してるイヤホンですが、右側のユニットの調子が若干良くない感じに…装着位置を直そうとしてユニット側のケーブルの付け根を押さえるとバリバリといった軽いノイズと音の途切れが発生するようになったため、追加でもう1セットを新品で買い足しました。
 不具合の原因には心当たりがあって、MDR-EX1000のケーブルとかとの付け替えを行っていたときに右のユニットだけ取り付け具合に違和感があって締め直したことがあって、たぶんその時にユニット側の端子を損傷してたんじゃないかなぁと思われ…結構昔のことになります。なにせこれまで使っていたEX800STは発売前から予約していて発売日に買ったもので(そのときのエントリー)、もう4年近く前のものになります。ケーブルの付け替えをしていたのもそれからしばらくあとくらいなので、そこから現象が出るまでそれなりにかかったこと、左ユニットは全然問題がないことから、むやみなケーブル交換さえしなければこういう故障はしないと思われます。普通に使っていればもしかしたらユニット自体は10年くらいは、もしかしたらそれ以上でも余裕で使えるんじゃないかと…。
 それはさておいて。
 同機種がきたということで、片方はもう3年以上も使ってるものなので、これを聞き比べたらバーンインによる差とかが出ているかがわかったりするんじゃないか?ということで当然ですが聞き比べしてみました。
 その前に。
 Cimg1177
 こんな感じです。見た目はあたりまえですが同じですね。
 Cimg1178
 取説が改版されていました。発売日に購入したものが2版ですが、今回のものは5版になっていました。1版とかどうだったんだろうとか色々興味はありますね。
 Cimg1179
 コードの取り付け方などの部分でイラストが追加されています。
Cimg1181
 イヤーピースの付け方の図に他のイラストに合わせた修正が入っています。
 細かいところだと問合せ先や修理対応の連絡先の変更があるのですが、新版の方には旧版にあった住所の記載とかがないところをみると移転したりとかもしているのだろうと思われ。
 パッケージには違いはありませんでした。付属品も同様です。

 さて、音質面ではどうかな?ということですが…
 今回買った新品のEX800STは…解像感や音色的には当たり前ですがまったく同じなんですが、えらいすっきりしたさわやかな音がする…で、ずっと使ってきたEX800STを聞いてみると、これは馴染んだこれまでの音。
 「?」と思って改めて聞き比べてみると、基本的な傾向は変わらないんですが、はじめに買った方のEX800STでわたしも過去の感想で書いていて他の方の感想でもよくみられる『濃い』『低音寄り』『ウォーム系』といったイメージなんですが、なんか、そうじゃない…バーンインでどうこうなるという以前の、製造時期によるチューニングの違いなのでは?と考えられるほどの差があるように思いました。
 どちらかというと…EX800STとしての個性のある音というよりは、よりMDR-CD900STに音のバランスが近づいたように思います。
 元々ステージモニターとしてスタジオモニターCD900STのイヤホン版として作られたような経緯はあったわけですが、当時の宮路楽器さんのEX800ST開発者インタビューにもあるように、『”コントロールルームで聞いているラージモニターの音”を、”アーティスト/プレイヤーに聞かせたい”』『Sonyの乃木坂スタジオの中でも優れた音環境である、Studio 1のラージスピーカーをリファレンスとし、その音に近づけた』ということで、当時のわたしもその資料等を見て、その厚みのある濃い音に納得していたのですが、今回買った新品はバランス的にはそのEX800STの個性という部分からよりCD900STに近づいた、低音寄りではなくさらにニュートラルなバランスになったという感じです。ちなみに濃さや厚みが軽減されたといっても、なくなったわけではなく、バランスとしてCD900STに近くなったというだけなので、そのあたりの音を聞き取れなくなっているわけではないです。性能的には問題はないと思われます。
 一応、比較試聴に使ったプレーヤーはNW-ZX1HM-602Slimですが、どちらでも同じように感じました。
 んー…モデルチェンジしないことによる音の変化が少ないと良いなというのが目的でEX800STを選んでいたという部分では微妙ではあるのですが、バランス的なことや元々CD900STの音を持ち歩きたいと考えていたことに立ち返ると、この音が個体差でないとするならば(公式にも『精緻な手作業による厳密な音質調整により、音響特性の個体差を少なく仕上げています』とあるので個体差とは考えづらい)、おそらくはマニュアル等にもある『※仕様および外観は改良のため予告なく変更することがあります』ということなのかなーとも考えられます。それであれば納得ではあります。
 実際、聞き比べてみると、低音寄りで濃い音というのがEX800STの個性だと思っていましたし、他でもわりとそのように認識されていることも知ってはいたのですが、今回買ったものについてはそういう個性がそこそこに抑えられていて、バランスとしては、よりCD900STに近づいたといえるものになっていました。
 聴感上でも全体がすっきりとしていて見通しが良くなった感じで、元の個体の厚みがあって濃い暖かな感じのも好みではありましたが、バランスの良し悪しも考えた上では今回のものの方が良好だなーという感じはしました。
 前回のものが新品時から濃いという印象だったことから、今回のものからバーンインして前回の個体に近い音になるとはちょっと考えづらい…イヤホンにバーンインの効果があることは認識しているからわたしは否定派しないんですが、この音の違いは3年以上の使用による変化との差とはちょっと考えられない違いなので、もしEX800STでのバーンインの有無を聞き比べるとしたら、今同じ店舗で同時期入荷のものを2個買って片方を慣らし込んで片方を新品の素のままで残しておいて比べないとわからないという何とも当たり前な結論に。
 ここらへんは…今年の春にEX800STを買った知人がいるので、可能ならそれと聞き比べさせてもらえたらわかるかも…とも思ったり(お互いなかなか都合があわないので難しいんですが)。その知人の個体が、わたしが発売開始当初に買った個体とウォームな傾向の部分で差があって、今回わたしが買ったものと同傾向なら、おそらくは発表されないレベルでの改良等による変更があったのではないかなー?と思われます。
 ヘッドホンの方のCD900ST自体、これも何度か変更があって、いくつかの、若干ではあるけれど、音が少しずつ異なっているバージョン違いがあるという話もどこかしらで聞いたことがあるので、もしかしたらそういうことなのかもしれないな、とも思っています。
 こことほぼ同じ内容を2chのMDR-EXシリーズ総合スレにも書いているので、検索でそちらを目にされた方もいるかもですね。

 あんまり参考にならないかもしれませんが、一応このような結果だったので書いてみました。
 現行で手に入るEX800STは、当初よく語られていたと思われる低音寄りなウォーム傾向のイヤホン…ではなくて、よりCD900STに近づいたすっきりしたバランスのよい音のイヤホンといえるのかもしれません。


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2013年11月18日 (月)

いまさらながら自分なりにMDR-CD900STとMDR-V6とMDR-7506を買って聞き比べてみた

 あれから3年…って、大魔界村じゃないです。
 以前、気になってMDR-CD900STとその系列機であるMDR-V6MDR-7506のカタログ値的な仕様の違いを調べてから3年。
 あのときに実機をそれぞれ手に入れていればよかったんですが、なんとなく余裕もなかったり他に気が行っちゃってたりで結局ずっとCD900STでしか聞いてこなかったのですが、先日CD900STの修理をしたのを機にまたいろいろ眺めてたらMDR-V6がディスコンになってしまって流通在庫しかないらしいとの話を知り、これは今しか機会がない!と思って残り2つを買ってしまいました。
Cimg0897
 まず両方のパッケージ
 CD900STは簡素な白箱なのは皆さんご存知でしょうが、この2機種はなんだか箱も手が込んでますね…それで実売はCD900STよりも安いというのがなんとも不思議。後で音を聞いて納得しましたが。
Cimg0899
 MDR-V6の箱の裏側。スペックなどなど。
Cimg0898
 こちらはMDR-7506の箱の裏側。これもスペックなどなど。
Cimg0905
 3機種並べてみた。見た目はまあ区別付きづらいですね。一応V6と7506はユニットへのケーブルがハンガーの外側でCD900STはハンガーの中を通されてるという違いがありますが、あとはシールとか機種名の刻印が違うくらい。シールはがしたら多分遠目では本当に見分けがつかないかと。
Cimg0907
 それぞれもうちょっと見やすく並べてみたのがこれ。じっくり比べないと見分けはなかなかつかないですね。
Cimg0908
 正面から。
 左からCD900ST、V6、7506です。
 V6と7506は結構真円に近くて側圧もそこそこありますが、CD900STは楕円でわりと緩めです。

 ここからはそれぞれ聞き比べてみた感想を。
 環境はとりあえずポータブルなので据え置きじゃないから各機が本領を発揮できてるかは参考までに…というところですが、NW-F887で…と思ったんですが、これで聞いてるとなんだかV6や7506はしんどそうな感じなので、ここにAT-PHA10を追加してみた(この時点でわかるようにF880シリーズ単体ではヘッドホンのドライブはちょっと厳しそうですね…)。状態としては邪道もいいとこな環境なので本当に参考になるかどうかも怪しい感想になりますが、これで各機を聞いてみてCD900STと比較した感じは以下のとおり。

 まずは7506から。
 音場はCD900STよりも若干広い印象ですが、なんか中途半端に頭内にみちっと音が集まってきてる感じ。ドライバーから耳への音の距離感はそこそこ遠いんですが、定位は頭内を中心に外に狭く半端に広がってるという印象。繊細さや解像感は結構あり、これが実売9000~1万円程度で手に入るなら上々じゃないかと思えるのですが、音場的にはなんだか中途半端な印象。聞きやすい?とも違う感じ。低音はわりと軽いけどそこそこ腰はありしっかりしていて高音は音色によっては若干シャンシャンしますがそこそこきれいに響いて音のディテールは掴みやすいです。中域もそれらに埋もれずバランスよく聞かせてくれてなかなか。
 ただ、やっぱりどうしても気になるのが中途半端な音場や定位感。狭いわけではなく耳からも遠いんだけど、どうにもみちっと中央に寄って鳴ってる感じが…。

 次いでV6を。
 7506よりさらに柔らかい感じで、音場も広く耳からドライバーの距離感もそれなりにあり、センターのボーカルの定位も頭内ではあるものの7506のようなみちみちした不自然さは感じませんでした。
 精細さや解像感は7506同様にしっかりあり定位もディテールも掴みやすく、かつ低音も7506より腰が据わっている印象。深みもそれなりにあり、ごっつりした低音ではないもののしっかり沈み、重みも適度に感じさせてくれます。
 7506でシャンシャン感じた雑味のあった高域もV6ではそんなにシャリつかずにサラッと聞こえます。
 全体的には値段なりと思える若干の雑味や粗さもあるんですが、高度な解像感と低音から高音までバランスよく鳴り音場も適度に広くドライバーから耳への音の距離感も間近ではないので聞きやすく、シャープな音像なのに硬さはなくふんわり聞こえる、聞いてて楽しくなる不思議な感覚のヘッドホンでした。
 これがディスコンとは本当に残念…世の中良いものから先に消えていくなぁ…(涙)。流通在庫があるうちにもう一つくらい欲しい機種だと本気で思いました。これは良いものです。

 V6と7506とで共通して感じることは、どちらもかなり高い解像感でバランスもよくリスニングにも適していると思われる、わりと万能な鳴り方をする良いヘッドホンだなということです。ただ、値段なりの限界感を感じる部分もあり、ところどころボーカルだったり楽器だったりが「がんばって鳴らしてるなぁ…」という精一杯な印象を受けることや、響きに若干の雑味みたいな、ざらざらというかガシャガシャしたものを感じるところもあります(はじめはF887のドライブ力が原因かと思い外付けアンプを通しましたが変わらないのでヘッドホンの性質でしょうね)。もっとも、実売レベルで1万円するかしないか、上がっても12000円程度で買えるヘッドホンとしては上出来というよりこのクオリティがその程度の価格で手に入るならよろしいのではないかと。

 …これらを踏まえて改めてCD900STを同環境で。
 ドライバーから耳への音の距離感はこれら3機種の中で一番近いです。音場や空間の広がりも凝縮されていますが、響きが格上で前述の2機種とはまるで違い限界を感じさせません。しんどさがなくのびやかに鳴ります。
 解像感やディテールの描き出し方はより一層緻密になり、低音の沈み込みや重さも非常にパンチがあり重い低音がガッツリと鳴り、ボーカルがそれに埋まることなく鮮明でのびやかに聞こえ、高音の伸びや響きも非常にきれい。
 ただ、それらの重さや尖鋭さや音質的な硬さを痛さと感じる人もいそうだな…と思える部分もまったくないわけではなく、そこらがCD900STはリスニングには向かないと主張する人の根拠なのかな?とは思いました。確かにV6の解像感を持ちつつも柔らかく聞こえる不思議な感触なんかはCD900STよりも聞きやすいとは思いましたが、わたしが聞き比べた感じではそれでもCD900STがリスニングに向かないとは思いませんでした…結局のところ音そのものの質をとるなら前述の2機種よりもCD900STの方が格上なのは間違いないので。
 それとF887直結のときに無理なく一番きれいに聞けてつらさや限界を感じさせなかったのもこの3機種の中では実はCD900STだけでした。なので、はじめはF887直結で比較を…とか考えてたですが、待てよ?と思いアンプを通してみて、それぞれやっぱり変わったので…それでも大まかな全体の印象は同じなんですが。
 そんなわけで、F887でヘッドホンで常用するならCD900STで確定というのがうちでの組み合わせだったりします。

 トータルとして個人的にはCD900STがベストだなとは思うんですが、すっきり鮮明なのにふんわり聞こえて楽しいV6の個性も実に魅力的で、ゆるゆる聞くにはこういうのもありだし、1万前後でV6が手に入るなら十分ありなんじゃないかなぁと思ってしまっています。CD900STがガッツリ正面から生真面目に聞かせるという、用途上で当然の性能を満たした音であるのは当たり前なんだけど、そうではなく鮮明に楽しく聞きたいという用途ならV6の柔らかさ・楽しさというのはめっちゃおいしいんじゃないかなぁ、と。なんでこれがディスコンですか…もったいないです。何らかのきっかけで生産が再開なり続けられたらいいんですけどね。
 で、7506は…個人的にはどうにも中途半端な印象を払拭できず、今のところわたしのところでは一番不遇な子になりそうです。CD900STほどの気持ちよさや精密性もなく、V6ほど聞いていて楽しくもない…V6と7506はパーツ構成上も音響的に差が出そうな部分でイヤーパッド、プラグつきケーブル、ハウジングあたりを除いてはほぼ同じなんですけどね。わたし個人的に7506がダメなのは、やたらボーカルが頭内真ん中でみちみちと詰まって鳴るところなのかなと思いました。その不自然感がとにかくダメで…パーツ的にほぼV6と変わらないはずなのに、なんでこんなに鳴りが違うんだろうと結構真剣に悩んだり。そこらについてはV6とCD900STはわりと印象が近くて、不自然には感じないんですけどね。
 某所に書いた簡易的な比較をちょい更新して載せてみる。
空間表現 (狭い)CD900ST<7506<<<V6(広い)
耳への近さ (遠い)V6<7506<<<CD900ST(近い)
精緻さ (粗い)7506=V6<<<CD900ST(細かい)
力感(力強さ) (軽い)V6≦7506<<<CD900ST(重い)
限界感 (低い)7506≦V6<<<CD900ST(高い)
低音 (軽い)7506≦V6<<<CD900ST(重い)
音色の再現性(リアリティ) (低い)7506=V6<<<CD900ST(高い)
 …ざっくりとなので異論はあるかと思いますが、わたし個人的にはこんな風に感じました。
 こういう不等号で並べる比較は乱暴なのであんまり好きじゃないんですけど、視覚的にわかりやすいのはやっぱりこういう表現なのかねぇ…ということで一応載せてみる。
 あと、以前から気になっていた、ネット上での定説的な”CD900STは低音出ない””CD900STの低音は薄い”だとか”7506やV6の方が低音が出る”…これらに関しては、わたしの感想は真っ向から異なる感じです。
 実際、同環境で比較してみて、低音が一番重く厚くゴリゴリとしていてガッツリ出てるのはCD900STでした。V6や7506の低音はCD900STの低音と比べて薄く軽いです。決してV6や7506の低音が不十分なわけではないんですが、比較したらそういう結論に至ったというだけではあるんですが…逆にV6や7506のが低音が出てると感じた環境や楽曲は何なのかを知りたいとは思ったりしてます。
 ここら辺は、いわゆるネットで定説化してるような部分でも自分で実感しないとわからない部分なのだなぁ…と思ったところです。
 正直言ってわたしの感じた音とネット上の定説がかけ離れているのでわたしの耳や感性がおかしいのかなー?と、何度も比較試聴してみたんですが、やっぱりその感想には変化なかったので正直に書いてみました。
 異論はもちろんあるでしょうから、逆にそういう部分での違いの感覚や意見交換とかは面白そうだなぁと思ったりはします。

 そんなこんなで、わたしのCD900ST同系機3機種比較はこんな結果でした。
 実際に買って聞き比べてみてなかなか面白いなぁと思ったとともに、V6のディスコンが本当に残念でなりません…CD900STほどの質はないんですが、比較的近い音色の雰囲気を持ちつつ、その鮮明さでふわっとやわらかく聞かせてくれる、リスニング向けモデルとしても傑作機じゃないか!というのにいまさら気がつくとか、遅すぎだろうと。買えば?と勧めてくれた人もいたわけだから、もっと早く買っておけばよかったです。とはいえ手に入らなくなる前に実際に実物を手にして聞くことができたのは幸運というかよかったです。流通在庫があるうちに後もう一つくらい欲しいですね、これは。正直な話、この価格帯でこの音はなかなかないと思うですよ、過去わたしがわりと絶賛してたmh256SRH840とも異なり、またCD900STに近い音色を持ちつつもふんわりリスニング向けに聞かせてくれるこんな楽しいモデルがしっかり現存してきてたんだなというのが驚きです。CD900STの前身であるMDR-CD900とほぼ同期らしいので1986年からとすると27年のロングランな機種だったのにそれをやめてしまうというのは実にもったいないと思ったりも。後継でMDR-7510を据えてそれでV6や7506を順次ディスコンに…ということであれば残念でなりません。
 個人的にはV6をディスコンにして7506を継続するなら逆じゃないの?って気はしてしまいます。音の掴みやすさなんかもV6の方がいいんじゃないかなーと。
 とはいえ本当に終了してしまっているものはしょうがないので、とりあえず手元にあるモデルを大事にしようかなぁと思ったりもしています。
 それと先日友人宅でこれら3機種を持って行っていろいろ話をしていたときに、アンブレラカンパニーというところでCD900STのいろいろなモディファイを行っているというのが面白そうだって話になりまして、その中でも興味がわいたのがセパレート改造…これのわたしの疑問点としては、リケーブルしたことによるケーブルの素材の違いでデフォのCD900STとは音が違っちゃってるからチャンネルセパレーション以外の部分での効果もあるんじゃないの?ということで、自分で手にして確かめないと気がすまない性分でもあるので、CD900STを複数用意して現在使用してるデフォからプラグ交換しただけのものとただリケーブルしただけのものとセパレート改造したものとの比較をやらないとセパレート化の効果なのかとかわからないんじゃないかしら?ということで、そういうのはいずれ余裕ができたらやってみたいと思ったりしています。
 基本的にはメーカーが意図している状態が出荷時の状態であろうということだから、わたしが常用しているCD900STもケーブルを詰めてプラグを変えてる点でそこそこ違うというか邪道じゃない?って気もしてるんですが、これは一応試聴を繰り返してできるだけデフォのものと変わらないようにはしてみてるんですよね。なので、一応はデフォCD900STとして扱ってはいたりしますが、それ以上にモディファイしたCD900STが面白かったり素姓を失わずに良好な結果を得られるようならそれもありなのかなぁ、と、わたしの昔の考え方で『ヘッドホンはメーカーが意図した状態で調整されてるのだからそれを崩す使い方はどうかと』的に凝り固まってたところからは軟化したかなぁと自分でも思ったりしています。もっとも、基本はやっぱりメーカー出荷時の音がメーカーが届けたい音だろうから…というのは変わってないので、たとえばMDR-EX800STMDR-EX1000のケーブルを使うといったようなバランスも持ち味も崩すような使い方はやっぱり嫌いではあるんですけど、CD900STのようにユーザー側での保守も比較的容易であるゆえに改造する余地もあるホビー的面白さというものにはやっぱり手を出してみたい欲求もあったりして、悩ましいところです。

 そんなこんなで正直こんなものが誰の参考にもならないだろうという系列機比較でしたが、ネタ的に楽しんでもらえたとしたなら幸いです。
 わたしとしてもこの3機種でそれぞれ個性があるのは面白いなぁと思ったりもしました。3機種ともドライバーユニット40mm、最大入力1,000mW、インピーダンス63Ω、音圧感度106dB/mW、再生周波数帯域5~30,000Hzといったカタログスペック面では差がない…と思ってパッケージを見比べてみると、7506だけ再生周波数帯域が10~20,000Hzと違うんですね。サービスマニュアルだとドライバーは同じで再生周波数帯域も5~30,000Hzと同等なのでパッケージの誤植なんじゃないか?とは思いますが。
 カタログスペック上ではほぼ同一でもこれほどの個性が音にあらわれるのは面白いものですね。
 なんやかやでみっつとも手に入れられてよかったと思います。


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2013年8月18日 (日)

MDR-EX800STのケーブル断線と交換と新品のケーブルにしたことの音の変化について

 うちのMDR-EX800STも発売日に買ったものなので、購入からおよそ2年半以上経過してるんですが、今年の5月くらいから「もしかして断線?」というような症状が出始めました。右側の音が出たり出なくなったりしだしました。イヤホンとケーブルの接合部を締め直したりとかしてみたんですが、そこではなかったようで、どうやらL字プラグの付け根あたりが被覆の中で切れかかってるようで、ときどきノイズ混じりに音が出なくなるとかいう症状が出始めました。
 せっかくケーブル交換できる機種なのだからということで、とりあえず予備ケーブルを手に入れてあったので交換してみました。
 伝票を見るとケーブル自体は2011年の1月6日に買ってたようで、気が早いなぁ(苦笑)。ソニーサービスステーションで、単価3600円、税込で3780円。品名は『プラグツキコード』で、注文部品コードは『1-838-192-11』でした。
Cimg0504
 とりあえず交換してみて、お!音は問題なく回復しました、ケーブルに振動が加わったりしても音がおかしくなったりすることはなくなりました。当然ですが。
 そこで…約2年半使ったケーブルと交換した新品のケーブルで、音は違うのか?というのがやっぱり興味あるところなので、断線したとはいえうまくつながってるときはまだちゃんと音が出る旧ケーブルと新品のケーブルを聞き比べてみました。
 結果…やっぱり若干は音の違いが出ますね。
 これが使用していたことでのエージングによる効果なのか、それともケーブル単体の個体差による音の差なのかは何とも言えません(それを確認するにはせめて新品のケーブルがもう一本必要かと)。
 音の感じについてはざっくりと直感の個人的な感想なのでたぶんあてにならないとは思われますが、印象だけざっと書き出してみようかと。
 交換前のケーブルの方が音のつながりが滑らかで音場的にも自然な広がりを感じさせる印象の鳴り方でしたが、交換後は音像がシャープになり一音一音のエッジが立って聞こえるようになったものの、ささくれだった荒削りさも感じるようになりました。どちらがどう…とは言えない感じですね。交換前のケーブルでも解像感的には十分なんで鈍ってしまったという感じではないんですが、交換後はちょっとささくれだってしまったかなぁ?という。もしケーブルにバーンインが必要なのなら、そのうち馴染んでくるだろうということで、とりあえずこれはこれで…と。
 また、EX800STは手作業での調整作業が施されてるのも品質のうちですが、それがケーブル込みということになると、こちら側でのケーブル交換による使用継続がはたして正しい用法なのか…という部分も疑問だったり。ケーブル個体差とユニットとの相性とかもあるのだとしたら、断線したらやっぱり従来のイヤホン同様に一式買い換えた方がいいということにもなるのですが…ここらへんは、いずれもう1個新品を買って比較してみたいところです。製品が出てもうすぐ3年にもなりますし。ユニットの経年変化を考えるなら、ほぼ毎日通勤で使って自宅でも結構使ってるのもあるから、新品状態と同じとは考えられないわけで、何らかの音の変化はあるはずです。というわけで、新品のセットとの比較もしてみたいなぁ…なんて思ってたり。
 以前ほど入手難度が高いものでもないので、そのうち可能なら新品と今使用しているものとの比較をやってみたいですねー。新たに手に入れたものは、今回使ったケーブルと同様に予備として保管しておけばいいし。
 ケーブルも予備分を使ってしまったので新しく一本買っておこうかなーと思ってはいるんですが。2年半で3600円でこの音をあまり変わらない状態で維持できるなら安いものです。セットで交換した方がいいのか?という部分も、SMCI指定の修理業者さんであるメイクアップカンパニーさんがパーツ単体で売られていることから、パーツごとに換えても問題ない…って認識でいいのかなー?とか。まあ、ユニットが片側おかしくなった場合は両方換えた方がいいと同社の説明にもあるので、その場合はセットで買ってしまう方がよさそうですが。

 そんなわけで、ひとまず愛用のEX800STが復活しました。  めでたしめでたし。
 正直なところ音が気に入って使ってるだけなのでプロ用がどうだとかは個人的にわりとどうでもいい部分なんですが、発売されて約3年、EX800STって実際にどれだけの方が職業向けに使われているんでしょうか?とは思ってしまったり。ヘッドホンの場合はMDR-CD900STがデファクトスタンダード的な感じでわりとどこにもあったりするわけですが(実際それで問題はないと思われる音だし)、EX800STってそういう方面ではどう受け入れられてるのかなー?とか、ちょっとだけ気になったり。
 まあ、いまさら他のに買い換えようとかいう気はなかったりするんですけどね。正直な話、これでイヤホンスパイラル止まったし(苦笑)。
 とはいえ、ソニーがEX90の個性を持ちつつ音質的にはEX800ST~EX1000くらいの質を持ったイヤホンを出してくれたら飛びつく可能性はありますが(苦笑)。
 EX90は伝説だよねぇ…と思うわけで。MDR-EX90SL 開発者インタビューというスペシャルコンテンツが作られるくらいメーカーも力を入れてた機種だから。
 アルミ削り出し筺体のデザインもきれいだし、音もメリハリ効いててかっちりした音で楽しいしで、ほんと伝説的機種ですよ。持ち上げ方が過剰すぎ?いやいや、EX90の音は本当によかったんですよ。本革製のケースもコンパクトで実用性があってしっかりイヤホンを収納できるいいケースだったし、パッケージとして実に完成されたプロダクトでしたね。
 このコンテンツを読んでいるととても参考になるというか、最終的に音を判断するのは人の耳…という部分には大きく共感します。オーディオの音質比較でよく測定値だとかグラフをやたら重視する人がいますが、それ違うだろってわたしは思ってるので。結局聞くのは人の耳だから、測定値やグラフはある程度の目安にしかならない、出てくる音がすべてでしょ、ってわたしは考えてるので。グラフや測定値がこうだからこうだ!って方向性で音質について語る人の意見や感想って、そういうのがあるからわたしはあまり参考にしてません。だって本人が自分の耳で聞いてどう感じたか?が主体じゃないんだもの。あなたは音楽を目で聞くんですか?とツッコミたくもなります(苦笑)。
 それはさておき。
 諸事情あるのはわかるんですが、実売1万円しないくらいであの音を得られるのは貴重でした、もう無理なのもわかってるけど定期的に復刻再生産とかしてくれたらいいのになぁって思いますね。


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2011年10月30日 (日)

NW-A860で改めて聞きなおすMDR-EXシリーズ

なんか大げさなお題を掲げちゃってますが、要はNW-A867で手持ちのMDR-EXシリーズイヤホンを再評価してみようというネタ。
なんでかというと今まで携帯プレーヤーはNW-A857を使っていたわけだけれど、NW-A860シリーズって850シリーズとは傾向がまったく違うなーと思ったのと、イヤホンをとっかえひっかえしていて面白いことに気がついたので。A850までは好みのイヤホンを使えばいいとか、ある程度低価格なイヤホンでも綺麗に聞かせてくれるなって思っていたのが、A860では価格にかかわらず化粧したイヤホンの化けの皮が剥がされるというような感覚があったからで。ものは言いようなんですが、イヤホンの個性をはっきり描き出すプレーヤーなんだなというか、聞こえ悪いですがイヤホンに粗があるならそれを曝け出してしまうプレーヤーだと思ったわけです。
あるものでは意外な結果だったりして驚きましたが、とりあえず書いておこうかと。
エフェクトやDSEE、イコライザーといったものは全部OFFでの感想です。
基本的にはイヤホンやソースの粗が際立つ方向で音が出るプレーヤーで、逆にイヤホンやソースが良ければぐいぐい気持ちよく聞けるのだなーと思ったので、どちらかというと難癖をつける方向性の記事になってしまうかと…お気にのイヤホンがけちょんけちょんにされるのを見たくないという向きの方はすぐ去られるのがよろしいかと思われ。
それから筆者がそのすじ故、記事中に出る曲がそんなのばかりなので『なんだーアニヲタかよー』という向きの方も去られた方がよろしいかと。
結果としてはある程度は前回のNW-A860の感想にかぶりますが、本体購入後の第一印象とは違ってある程度時間をかけて聞いているので、アップデートされた話でもあります。
毎回そうなんですが、今回は特に個人の感想の域を出ないものなので、本当にネタ程度に見ていただければ。

今回はでは手持ちのイヤホン、価格的に手に入れやすい方から。

まずは付属品、MDR-NC033
バランスは悪くないです。そこそこにというと失礼かもですが、そこそこ良好なレベルでまとまってます。付属品としては悪くないんじゃないでしょうか?少なくともiPodの動作確認レベルの白いやつよりははるかに良品ですっていうか比べることがMDR-NC033にとって失礼かも知れず。音量下げるとこもり気味、音量上げると途端に全音域やかましくなるのはやむを得ない感じ。ですが悪くはないんです。音場がどうとかそういう音じゃなくて、もう全音域が濃くて押し出してくる。でもバランスはいいから破綻はしないんですよね、音量を上げても。そこらへんはすごいかと。ぶっちゃけ侮ってましたすみません、ということで付属イヤホンを見直しました。これはこれで悪くないです。たぶんですが、音質面で変に小細工されてない?分、素性はよかったのかーという感じで。わりと何を聞いてもバランスいいなーという点で好印象です。レンジは狭い感じもするんですが、その中でのバランスは良好かと。
A860を使っていてこれで落ち付いてしまうのは正直もったいないとは思うんですが、本体の付属品という意味ではいい線なのかなと再確認。こだわらなければこれで十分。このイヤホンの場合は、本体に底上げされてよく聞こえてる…というパターンだなと思いました。

次はMDR-EX510SL
一聴してメリハリがあって気持ちよく聞けそうに思えるのですが、高域の硬さと、かさつき具合が耳につきます。ボーカルは綺麗なんですが張り出しが強く荒れて聞こえる部分が出ることがあり、部分的に破綻しているように思えます。破綻しているというと言いすぎかもしれませんが、無理して音を出しているなーと思えてしまうような苦しさを感じる場面がたびたび出ます。伸びたり声量が大きいところでは顕著。低音はそこそこ綺麗かと思うとソースのボリュームが大きくなるところでは滲むようなぼわつき感が発生します。厚みはあるのでソースの録音が良いと思われる場合はそこそこ綺麗に聞こえるのですが、全体的に低音が暑苦しいです。A850とか別のプレーヤーで聞いた場合は低域がわりと薄めのさわやかなイヤホンだと思っていただけに意外。ただし、このイヤホン基本低音出ないので、低音が暑苦しいのは低音が支配的な曲を再生させた場合やそういう場面だけです。しかし普段が普段だけに目立ちます。具体的には『ダイアモンド クレバス』なんかではボーカルのかさつきやきつさが目立つし、『曇天』なんかでは低音が無闇にやかましい印象になってしまいます。わりとおとなしめの曲で『雪が恋しくて』なんかだと結構綺麗に聞こえるんですが、それでも今度は高域がちょっとしゃんしゃんしてやかましい印象ですね…綺麗にバランスよく鳴ってるという感じじゃないんですよ。
まぁ、これはこれで慣れてしまえばいいイヤホン…なんですが。他を聞かなければ(知らなければ)、それなりに綺麗に思えるということでは間違いないです。
ただ、付属品のバランスが非常に良好なので、敢えてEX510に買い換える意味はあまりないかも。A850だと良かったんですが。

MDR-EX90SL
価格的に…ということでこの位置にいますが、もうディスコンで手に入らないのは残念。せめてSonyStyle限定で定期的に受注再販とかをやってくれたら…と思うんですが。
今聞いても恐ろしいくらいの音質のモデルです。A860で鳴らしているわりには低音がすっきり綺麗に出ます。弱いということではなく、質のいい低音が抑え気味にすっきりと。EX510で挙げた曲を聞いても、EX510に見られたような破綻はありません。ボーカルや高音も綺麗に出ます。値段なりの詰まり感はそこそこあるんだけど限界はかなり高めのようで、結構のびのびと鳴るんですよ。A860との相性は非常に良好です。これで断線の心配さえなければ…ですね。改めて聞いていると、EX90がコスト的にかなり戦略的なモデルだったんだなという気がしてなりません。無茶してたんだなぁ、と。確かに低音の迫力不足と見る向きには合わないイヤホンではあるんですが、これのすっきりしたバランスは、わかれば病みつきになるものですよ。EX510で低音が暑苦しいと思うような曲でもすっきり鳴ります。加えてボーカルがすごい自然なんですよ、後発のモデルよりも。堅い音も過度に堅く出るわけじゃなくて綺麗に響くし。『ハイスクール・デイズ』とか聞いてるとすごい気持ちいい。音場感もそこそこ広めで気持ちいいです。EX510で前述の曲でも、低音がごわつくようなこともなければボーカルがかさつくこともなく気持ちよく聞けます。ただ、値段なりの詰まり感を感じることはあります。『UNLIMITED』なんかでもっと高めのイヤホンで聞くと別に詰まってないボーカルがEX90だとちょっと息苦しいとかはあります。EX510だともっと苦しいわけですが、EX90の場合はそこまでではない、という。
いずれにしても、もっと長く生産してほしかったモデルですね。せっかく相性の良いプレーヤーが現れたというのに、もったいないことです。

ここからケーブル分離できる組。

まずはMDR-EX600
バランスは若干高域寄りで良好。一聴して微妙にくぐもり気味?なのが気になるかもしれません。抜けは良くはなく、そのあたりがくぐもっているような印象につながっているのかと。ただ、くぐもっているように聞こえても分解能が低いということではないようです。細かい音は非常によく拾います。『消失点-Vanishing Point-』を聞いていると、その両方の特徴を捉えることができたりして面白かったです。落ち着きがあるというか、おとなしめの音で、これはこれでA860との相性は良いと思われます。一部で極端に評価が低いのはこのくぐもり気味の印象の音のせいのように思いますが、基本的な性能は高いと思われ。EX90やEX510までで感じる詰まり感がEX600にはありません。聴感上のレンジも広いし。音場も広めで気持ちいいです。適度に高い分解能と落ち着いた音がすごく聞きやすい高音質という感じで良好です。『ダイアモンド クレバス』でもボーカルがEX510のように乾いてかさついた具合ではなく、より生身っぽい音声として聞けました。
ときおり高域が耳障りで作為的な強調感を感じることがあります。とはいえ音量をそんなに上げなければ、あまりウザいなーとは思わないレベル。EX510の項で前述の『曇天』なんかで顕著。歪みの多い音に弱いらしく、同様に『MY BOY』あたりでも同様に感じることはありましたが『曇天』ほどではなく、まだ気持ちよく聞ける方。
『雪が恋しくて』でも高域のしゃんしゃんっぷりが微妙に気にならないではないですが、響きのよさもあってわりと気持ちよく聞くことができます。
あまり肩肘張らずリラックスした高音質という感じで良好なイヤホンだと思います、A860との相性も良好な部類。後述するEX800STはもちろんいいものなのですが、そこまでの音の厚みが必要なくてEX1000ほどのガチガチの分解能も必要ないというリスニング用途なら実に良い選択だと思います。
正直な話、A860で使うなら、わたしならEX510よりもEX600です。倍の金額を出してでも買う価値はあります。ゆったり気持ちよく楽しめるモデルとしては、ケーブル交換で断線時の対策ができるため長く付き合えるということもあって、実に面白いモデルだと思います。

次はMDR-EX800ST
バランスは若干低域寄りで大変良好。ただし人によっては低域過多と感じられる方もいるかもしれないです。実際、曲によっては低域に厚みがありすぎんじゃね?と思えるような音を出すことがあり、そういうのが苦手な人には敬遠されるかもしれないなとは思いました。『消失点-Vanishing Point-』だとA850あたりまでは結構すっきりした曲調のイメージなんですが、A860とEX800STの組み合わせで聞くと、かなり低域に厚みが出るのでちょっと厚ぼったいかな?という印象がないわけではないです。もちろんそれ以外の曲でも同様なんですが…。
それ以外の部分に関しては極めて自然でストレスのない良い音です。高域も耳障りな印象はなくてごくごく自然に聞ける音です。『曇天』での荒れや破綻もなく、『ダイアモンド クレバス』での声のかすれもEX510のように苦しくならずハスキーでも自然で適度な潤いがあり生々しく、『雪が恋しくて』でも高域が出しゃばり過ぎずしゃんしゃんという音にならずに綺麗に聞こえます。開発経緯や思想を考えれば当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが。
音場は大抵のソースだと広くは感じませんが、ライブ盤とかで広い会場で録音されているものに関してはそれなりの空間を感じさせてくれるほどの表現力も見せてくれます。
当然EX510の『UNLIMITED』で感じたようなボーカルなどの詰まり感もなければ、EX600で全体的にあったくぐもり感のようなものもなく、『MY BOY』にあったような高域のウザさもありません。ただ、EX800STの場合は生真面目で解析的な部分があるので、ゆったりリスニングというゆるい聞き方を好みとされる方には向かないかもしれません。あくまでゆったりゆるーく聞きたいのに向かないかもというだけで、リスニング向けではないということではありません、これ書いとかないと変に勘違いする人とか出そうなので…たとえばMDR-CD900STがリスニングに向かないとか広めた人はめっちゃ罪深いとわたしは思うんですけどね。
それはさておき。
EX90で抜けの良い音をきかせてくれた『ハイスクール・デイズ』でも、EX90のように抜けがよいということはないですが圧倒的な音質差を感じました。
A860とEX800STの組み合わせは、相性的には低域寄りというか低域の厚みと濃ゆさが目立つ傾向にはなりますが、トータルではとても良好なのでした。

ラストはMDR-EX1000です。
たぶん一聴して一般的にウケがいいのは、おそらくEX1000…といって間違いはないかと思います。
パッと聞いて気持ちのいい音場感と解像感を持ち、それを表現し得る分解能を性能としてしっかり持ってるという裏付けがあってこそなんですが、完璧というわけじゃないのが…。
A850など、A860が出る以前のプレーヤーでのEX1000の評価というのは大概が高音質だけど低域が薄味というのはあったかと思うんですね。そのバランスについてはA860との相性という点でかなり解消されると思われます。おそらくはEX1000の元々の持ち味である良質な低音を余すことなく堪能できるプレーヤー、それがA860なのだと。
ゆえにバランスは良好です。しかし、EX600の項でも書いたことと同じく、高域が耳障りで作為的な強調感を感じることがたびたびあります。ただその分、音の分離感も半端じゃないです。『MY BOY』だとEX800STだとまとまりよく聞こえていたものがばらばらになり高域部がきつい印象になるんですが、その分、分離して聞こえるギターやドラムがすごくくっきり聞こえるわけで。EX800STがそのへんぼやけてたりとかいうわけではないんですが、EX1000の場合は分離していることを強調するような聞かせ方なんだろうなーと。高域はソースによってはやかましいイメージになるんですけどね。その点は『消失点-Vanishing Point-』のように落ち着いた曲だと気にならず気持ちよく聞けます。ボーカルの生々しさではEX800STとは別方向でこれもまた良いです。『ダイアモンド クレバス』ではEX800STとの比較で多少線が細くなるけどさらっと聞かせてくれますし、『UNLIMITED』でも力強さというよりは別の方向で綺麗に響かせてくれてます。『曇天』で同様に、ギターの音はよく分離して綺麗に聞こえるんですが、ときおり高域の硬めの音がきついかな?と思うことがあるのと、迫力はオミットされてしまっているような。そうか聞いてるソースが悪いのかってことで『雪が恋しくて』を聞いてみると、すっきり気持ちよく聞けて良い感じでした。そうか!と思って『コスモスに君と』を聞いていたんですが、ドラムがうるさくてダメでした…。では、というわけで『』を聞いてみたら、これはいい感じ…どうやら堅めの摩擦音や破裂音がきつく聞こえるようなので、結構曲を選ぶイヤホンなのだなーと思いました。『ハイスクール・デイズ』などでも分離感がすごくよくて見通し良く綺麗に聞けるんですが、どうも迫力に欠けて摩擦音やドラムの音が強調感があって気になってしまうんですよね。
とはいえEX1000は綺麗な音の出るイヤホンであることには違いないので、A860との組み合わせは良いと思われます。
特にその分離感と鳴っているそれぞれの音の鮮度感は比類ないものなので、そのあたりはさすがソニー渾身の一作といえるイヤホンで、聞いていて気持ちの良い場面は多いです。
現時点でウォークマン最高音質を謳うプレーヤーとの組み合わせなのだから悪いわけがない、といえるのでしょう。


…と、ひととおり書いたところで、付属イヤホンで聞き直してみました。
そりゃEX600以上を聞いた直後での付属なのでアレなんですが、それでも付属としては上々じゃないか?という音を聞かせてくれて面白かったです。なんだろうこれ、多分に贔屓目で見てるところはあると思うんですが、分解能と精度感はまったくもって劣るけどバランス感覚ではEX800STに近いんじゃないかなぁ、と。聞きやすく自然な音って意味では悪くないんですよね、付属のNCイヤホン。ほんと付属品だからって侮り過ぎててごめんなさいって感じです。でもって、これで『雪が恋しくて』とか聞くとすごいボーカルが生き生きしてて楽しい。もちろん同時に鳴ってる楽器の数が多くなると音も混濁してくるしEX800STのように響きが綺麗に伸びてるところもバッサリ聞こえなかったりはするので当たり前に別物の音ではあるのでA860で付属で満足してしまうのは実にもったいないんだけど、初めてウォークマン買うよ!っていう人がA860で付属イヤホンでというなら、まずはこれがエントリーなんだという点としては全然及第点なんじゃないかと。少なくとも林檎の白いのよりは全然いいですから。比較すること自体、ウォークマンの付属イヤホンにとって失礼になりそうなくらい。今まで付属品だからってダメだろう的な扱いしてて本当にごめんなさいって感じで。移動中とか余暇にちょい本腰入れてゆったり音楽を楽しもうって向きには音質的に物足りないものであることは間違いないとはいえ、上を知らなければこのイヤホンでも十分じゃないだろうか?なんて思ってしまった。A860の場合は本体性能も高いから、それに底上げされてるというのもあるとは思うんで。A850の場合は軽く試聴してもう使わないよって思ってたくらいなんで。わりとベタな音なんじゃないかって気はするんだけど、付属でこのレベルならかなりいい方だと思うんですよね。ぶっちゃけてしまうと『曇天』が一番聞きやすいと思ったのは、この付属のイヤホンです。糞耳と呼ばば呼べ(苦笑)。『コスモスに君と』を聞いても、過度に鮮明な表現をするでもなく、落ち着いた音質で聴きやすいです。落ち着いた曲はどうだろうってことで他に『Repose of souls』とか『さくら』とか聞いてみたんですが、付属品でもなかなか良かったり。そりゃ当然EX600とかEX800ST、EX1000に変えれば響きのよさとかレンジ感とか全然違うんですけどね。でもまあ、それを知らないんであれば、これでも十分じゃないかなーと。ただ、大事なことだから何度も繰り返してますが、A860を使っていてこれで落ち付いてしまうのはもったいないから、せめてEX600以上のイヤホンはおすすめしたいところです。EX510だと逆にバランス崩してしまいかねないんで、それであれば付属で十分ですが。記事中でとっかえひっかえしててわかりづらくて申し訳ないんですが、そう思って『さくら』を付属で聞いた後にEX600で聞いたら、音場感とか分解能、鮮度感が段違いに良いんですよね。悩ましいもんです。

そんなこんなでA860で付属のイヤホンは良いものなんですが、付属以外のソニーのイヤホンで選ぶなら、音質・値段の双方から考えるとEX600ってかなりありな選択肢だと思えます。鮮明さがまず変わるので、イヤホンに金なんてかけても…と思う人にも違いがわかってもらえるんじゃないかと。EX800STやEX1000ももちろん良いんですが、傾向がそれぞれ異なり過ぎるしかかる金額も本体同等だったりEX1000だと本体よりも高くなってしまうので、あとはそれらの音質の傾向と好みの問題なんじゃないかな、と。いくらか聞いていてEX600やEX800STは結構下品な音楽からそうでないものまでわりとそつなくこなしてくれるんですが、EX1000はどっちかというと音楽的にもがちゃがちゃしてないものとかじゃないと合わなさげな感じで。A860とEX1000で『曇天』や『MY BOY』や『Rock N Roll McDonald's』を聞いても音は綺麗なんだけどあまりわくわくはしないんですが、『Overture』を聞くと「おぉー、すげー」となるので。まあ、EX1000の特徴として低音が薄いというのはどうしてもあるので、もっと迫力欲しいなぁとは思いますが、すごいものはすごい(低音が景気良く乗ってくるという意味では付属やEX800STの方が迫力はあったりします)。
そのあたりは好み次第…ということで。
それと残念だったのは、A850のときは結構いいじゃん?と思っていたEX510がA860とは結構合わなかったこと。これは意外でした。しかも同価格帯だったはずのEX90と段違いで差がついてしまうとは…やっぱり研究に研究を重ねて仕上げられた製品とその世代をまたいだ後継機扱いのものでは違うのだなぁ、と(厳密には後継機ではないようですが)。それでA860って結構残酷なプレーヤーなんだなーと。なんでかって、綺麗に聞かせてくれるというプレーヤーなのであればEX510でも粗を見せずにEX90っぽく聞けるのではないかってA850を使ってたときの感想を元にした予想があったわけで、まさかEX510の音がこんなに残念だとは想像だにしなかったわけで。そういう意味で他の低価格機(EX50とか)を聞いてもやっぱり良いところはいいんだけど粗もはっきり描きだすプレーヤーなので、A860ってある意味ではイヤホンには厳しい残酷な機種だなと思ったですよ。下手なイヤホン使えません。A860で音が変だなと思われたなら、まず手持ちのイヤホンを疑うべきかと。付属品のバランスはそういう意味では絶妙なんですよね、変に小細工されてるわけでもないから粗は出ないけどA860のすごさをめいっぱい堪能するには物足りない、と。
残酷ついでにというわけじゃないんですが、番外としておまけでShure E500をA860で使ってみた感想を。
まずは『Overture』から。すごい臨場感と迫力はあるんですが、低音がぶよついちゃって微妙な感じ。あと、レンジが狭い感じがするんですよね。低音が低いところまで出来ってなくて、高音が足りないような。正直な話、EX800STだと低音の重みと迫力ではE500に譲るんですが、締まりがあってきっちり聞こえて気持ちいいのはEX800STの方ですね。『雪が恋しくて』でも低音が妙にぼわぼわしてしまって、中高域は分解能は高いなーと思うんだけど音が冷たいんですよね、鮮度もEXシリーズに譲る感じ。過去に分解能が高い高いと言われたShureのBAのイヤホンとはいえEXシリーズの分解能もそれを追い越すレベルで仕上がっているので。『曇天』ではボーカルは綺麗に聞こえるんですが、ギターがかなり雑に聞こえてしまい残念。『ダイアモンド クレバス』も全体的に詰まった音になってしまっています。『消失点-Vanishing Point-』を聞くと密閉された中での濃密な細やかさがあって面白いですが、広がりは感じないんですよね。『さくら』でも同様で、緻密さは感じるんですが音がなんか冷たいのと、響きはいいけど狭い感じがするですよ。
E500を買った当時は他にこういった音質重視のイヤホンがあまりなくて競合機といえば10proだとかER-4PとかのBA機しかなかったように思うんですよね。それ以前に使っていたのがShure E5cだったこともあってE500は良い音していると思っていたんですが、EX90を手にしてE500より良かったということでE500を使わなくなってしまってました。今回、改めてと思ってE500を引っ張り出してみたんですが、EX90当時でE500より良いと思ったものなので、EX600以上の機種にE500が敵うわけなかったという当たり前の結果になりました。もちろん好みの問題などもあるからこれはわたし個人の感想ですが、どう贔屓目にE500を見たとしても正直にEX600やEX800STやEX1000の方が綺麗に聞こえるのでしょうがないという感じで。


以上、改めて一通り聞き比べてみた感想でした。
えらく長くなってしまって見辛くてすみません。
わたし個人的にはA860にはEX800STが良いなとは思っていますが、低音が濃くなりすぎてしまうという印象はあるので、そこは好みの問題でEX600やEX1000を選ぶというのがよさそうです。緻密な解像感で細かく音を拾ったり雑味のない響きというのを求めていくとEX1000になるんですが、楽しく聞けるのはEX600かな?というのがまとめの感想です。
すでにA860とそれぞれのイヤホンをお持ちの方は感じ方の個人差はあれどある程度はご理解いただけるかと。また、行間を読まれるのもアレかと…ネタですので。A860を買ったけど付属以外のイヤホンを検討されている方は実際に買ってみて「こういうことがいいたかったのかー」とか「ちっ、騙されたーw」とか、いろいろ思っていただけると面白いかもしれず。


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