walkman井戸端会議に行ってきました
表題の通り、7月18日に開催されたwalkman井戸端会議へ行ってきました。
カスタムイヤフォンのJust earとウォークマン開発者に直接質問できるイベント【AV watch】
こちらのイベントです。
こういったイベントが開催されるという情報は事前にはつかんでいたんですが、「わたしが行ってもたぶん製品にネガティブな意見しか言えないかもだし…」と躊躇していたところ、先月に書いたZX2の4極接続についての記事の件などをtwitterでぼちぼち書いてもいたのがきっかけでJust Earの松尾氏から「walkmanの開発も興味がある様子」とのことでお呼びがかかり、参加となりました。
前日が夜間対応で結構厳しかったんですが、ひとまず何とか遅刻せず…といっても開場ぎりぎりだったんですが参加できました。
その一部始終をこちらに。
今回、メモとか録音とかしてなかったので(メモはともかく録音は躊躇してできなかったです、して良い場かの判断がいまひとつつかず…)、記憶にある限りで書いていきますが、大盛況で大勢の方が参加されていたので、もし他の方で、もっと良い記事を書かれていたら、おそらくそちらのが精度が高いと思うので、そちらを参照願います(うちのは、かなり自信ないです)。
実際の催しは結果的にですが、ざっくり2部に分かれており、はじめはwalkman開発スタッフの方からのスライドを交えた案内や解説、そのあとでユーザーとのフリーな意見の交し合いになりました。
ここではまず、前半のスライドであったことを思い出しつつ書いていければと思います。
基本的には司会をされていたのは松尾氏ですが、スライドでのプレゼンはZX1 Project Member's Voiceでもコメントされているプロジェクトリーダーの佐藤朝明氏。わかりやすい進行でとてもよかったです。
メンバー紹介では音質担当の佐藤浩朗氏も佐藤さんということで、どちらも髭あるし、とかで、リーダーの佐藤朝明氏が『(サンダルなので)はだしの佐藤』で音質の佐藤浩朗氏が『靴の佐藤』です、会社でもこれ!みたいな話で和やかにw
それから高音質SD担当の後藤氏、レアキャラというご紹介で。こちらは後でいろいろお話を伺うことができて、とても楽しかったです。それは後程…。
電気の吉岡氏は上半身ユニホーム姿での登場。社内の野球チーム『Records』に所属されてるとかで、この集まりの途中で参加召集がかかれば向かうため(のアピール)でユニホームだそうで。チーム名は文字通りアナログのレコードからで、ポジションはセンター…途中で招集がかかり、戦場(!)へ向かわれてました。
ソフトの原田氏は名古屋のトークショーの後でも少しお話させていただいたのですが、今回もちょっと気になることがあったので、そこは今回ものちほど伺うことができました。
その他材質の方なども(こちら失礼ながらお名前失念してしまって大変申し訳ない…結構いろいろお話させていただいたのですが…orz)、とにかく今回はリーダー格でフルメンバーとのことで、すごい機会なんだけど、ともだち同士での遊びとして集まりました、という体裁だそうです(会社的にいろいろ難しそうな感じでしたね…やはり大会社、厳しい…)。
各参加メンバーの紹介のあと、まずこういった機会について、基本的にソニーの商品開発さんが公の場に出るには、必ず広報を通して…というのが必要との話がありました。開発スタッフのSNSの使用も禁止されていて、基本的には対外へのメッセージの発信は広報を通してなどが必須だそうでしたが、今回はJust Ear松尾氏が場を作ってくれたので、それでこういった場が実現できました、とのことでした。ただ、途中でAV Watchさんに嗅ぎつけられて(苦笑)、紹介しても良いですか?的な話になったので、一応その件として広報へはそれを通しているそうですが、基本的には今回はそういうものではないので、これも仕事ではなく社内のともだち付き合いの遊びとして集まりました、とのことでした。
それと、新機種についての質問等には完全に答えられませんということで、クリティカルな質問には『赤×』の札、もしかしたら聞き方によっては回答をもらえるかも的なものには『白×』の札を挙げますみたいなギミックもw
とはいえ、これ、赤×が出たらつまりはそれって…という見方もできたりできなかったり?で、期待してしまうw
まずZXシリーズの企画についてのお話があり、通常は商品はしっかりとしたターゲットを定めて、仕様等も詰めた状態でそれを実現するために開発していくそうでうが、ZXの場合は、営業等からのがっちりした要求はさほどなく、おおまかにこんなことをやろう的なことだけ決めてスタートするというのは面白かったです。
ZX1の場合は制限度外視といいつつ一応walkmanのターゲット的に10万以下くらいでというものと、当時F880と同時進行のため、それをベースに…というのがあった程度だったとか。ZX2については営業からのマストでの要求はバッテリーライフの増加とSDスロット搭載くらいだったとかで、それ以外は自由にやらせてもらえてたとのことでした。
バッテリーライフについては、ここで他社製品の事情も交えての話になり、他社ハイレゾプレーヤーが軒並み10時間を割るか割らないか程度の稼動時間の中で、ZX1はハイレゾ再生でもだいたい17時間は…というものだったけど、それでもソニーへ入ったZX1のクレームで一番大きかったのが『バッテリー持続時間』だったそうで、ZX2ではそれを倍化しようということでバッテリー大型化に至ったそうです。
スライドではA10やZX1、ZX2の比較グラフだったんですが、海外でプレゼンするときは海外製のDAPもグラフに入れてやるそうでw
ここで音質を取るかバッテリーを取るか率直に意見が欲しいということで、音質は極めていいんだけどバッテリー持続が通勤往復程度の4時間くらいのものか、それとも音質は現行ZX2ほどでもバッテリーが30時間くらい持つのとどちらが良いか?というざっくりしたアンケートが…わたしは一番前の方に座ってたのでどういう回答状況だったかわからなかったのが少々残念ですが…。
そこで改めて佐藤氏から、ソニーとしてはwalkmanのブランドとしても、音質も重要だけどバッテリーライフも同じくらい重要、それを両立する製品を目指しているということでした。
全世界的にユーザーさんがいるので、それらを裏切られない的な話はあったかと思います(前日の夜間対応明けだったのでところどころ記憶が朦朧としていて…すみません)。
…と、ここまで書いたところで、AV Watchさんがしっかりした記事を書かれていることが(苦笑)。
幻の“真鍮ウォークマン”も!? ポータブルの猛者と開発者が激論した、コアな一日【AV Watch】
あとは上記を参照願います(苦笑)。
…ひどい投げっぱなしジャーマンで申し訳ない。
でも、やっぱりさすがにプロの記事は違うわ…というわけで、わたしがノイズ交じりに書き散らすよりいいだろうという判断でリンク貼らせていただきました(苦笑)。
ただ、やっぱり、敢えてスルーしていると思える内容もあるので、じゃあそこらをフォローするかたちで追記してみる。
まずZX1で指摘があった『歪んだ音が歪んで聞こえる』点をZX2で『スピードをキープしたまま歪まなくした』点、これ、現地ではさらに別の話が出てます。ZX2が出てから、特にアーティストなどの音楽制作されている方やクラシックの演奏家などパフォーマー・クリエーター側からの意見としては、ZX1のが良かったねって意見が出ているという話がありました。これ、要はモニターライクかリスニング向けかという話だと思うんですが、『良いものは良く、悪いものは悪く』ということで、ZX2ってZX1でダメ録音ってわかっちゃうものでもわりと綺麗に聞かせちゃうので、そういうのはちょっと…っていうニーズが間違いなくある、しかもクリエイターやパフォーマー側の視点はそれ、ってことでしょう。いちユーザーとしては個人的にはZX1の傾向の方が好みだったなーということもあって、この話は今後に期待したい流れでした。
ZX2の構造面についてはシャーシなどにもいろいろ工夫が凝らされていますが、はじめは銅板の設計などについてもメカ側から「こんなんやれるか!」的な話で丁々発止あったようですが、要求する理由をきちんと話すとメカの側もわかってくれて、プロジェクトが進むにつれて、発注した銅パーツに金メッキを…とお願いしようとしたら、すでにメッキがされた状態で上がってきたりとか、良い関係なのをうかがわせてくれる楽しい話がありました。それで音質佐藤氏から、電気でメカの予算を動かせるようになったw という話で会場がまた和やかに。
PCM-D100という音質に定評ある装置がでているのにwalkmanとして再生専用のD100を作らないのかということも実は世界中から言われているって話もスルーされてるかな?
これ、実は作れます、何でも作れる、という話をリーダー佐藤氏から。ただ、それをやらないのは、ソニーとしては技術的には作れる、でも、walkmanブランドとしては作れない、ということでした。要はwalkmanブランドとして求められるものとPCMレコーダーとして求められるものが違う(とお話されていましたが、要は対象ユーザー層の違い…と、わたしは解釈しました)。walkmanの場合は、「walkmanで一番いいのちょうだい」っていうようなお客様からも求められてそれが対象になる、だから紙マニュアルも簡単な操作法から全体の説明やAndroidのセットアップまで、とにかく事細かなものをたくさん用意しているのはそういうこと、だとの説明でした。「マウスで画面の~を指してください」と説明するとマウスそのものを画面にくっつけてしまうようなお客様も相手にしている商品なので、という説明はわかりやすくて笑っている参加者の方も結構いて、そういうことだよなあ…と思いました。わたし個人としてはそういうユーザーさんともやり取りすることがあるので、わかるし笑えなくて結構深刻に聞いてしまって(苦笑)。
大きい企業の大きいブランドだから、そういう用意も必要なんだなあ、と。ニッチ層向けだから多少の不具合や使いづらさがあっても出しちまえというものではない、ということがわかるエピソードでした。
それと松尾氏から出ていた意見で、売れずともとびぬけて音質特化した真のフラッグシップ機を!という話がwalkmanスタッフにぶつけられていましたのも印象的。
採算度外視でとにかくこだわり抜いたものがラインナップに一つあっても良い、というご意見。出たらたぶんわたしでは買えないだろうけど(苦笑)、同感ではあります。そして、それを普及体に降ろしてくる…というのも、ソニーならできるのでは!?と、期待したいところです。
あと、ZX1のときの品不足についての話もありましたね。
メーカーとしてはZX1のときもおそるおそるとはいえかなりの数を積んだそうなのですが、それでも発売日の店頭販売分が半日持たずに完売とかで何か月か待たせてしまった件、本来なら大手でそういう在庫を切らすというようなことをやると、企画開発の誰かのクビが飛ぶ事態だということだったそうです。
で、ZX2はそんなことなかったでしょ?と…それゆえにZX2は売れてないんじゃないか?的な話があるっぽいこともご存じなようでしたが、今回は相当な数を積んだので品切れが起きてないだけで、実際には(具体的な数は出されませんでしたが)、かなり売れているとのことでした。
再生専用D100の希望というのとはまた別の視点として乾電池駆動のwalkmanは今後出ますか?という質問はわたしがしたんですが、方向性としては『使い馴染んで気に入った音のプレーヤーでも、バッテリー切れなどで修理交換に出したり、結局買い換えたりしなければならないのは残念』ということでだったんですが、乾電池駆動かはさておいて、それに代わるそういう技術も模索はしている、とのことでした。つまりはおそらくバッテリー着脱可能なタイプ…と認識していいのかな?とは思うんですが、リーダー佐藤氏からはそういう回答でした。ちなみに音質佐藤氏から「もしやるとして単三何本までならOK?」と返されたので、「D100同等までなら全然大丈夫です!」と回答しましたです…実現するならうれしいですね、バッテリー着脱でもうれしいけど、乾電池駆動ならわりとどこでもバッテリーで困ることがなくなりますしね。なんならポータブルCDプレーヤーみたいに、外部電池BOX装着可能な設計にしてくれてもありがたいですよね。
それと印象的だったのは、普段はほぼこうやって表に出てこられない開発スタッフの方々ですが、市場的に出ている意見などは結構目にされて気にされているようで、また、製品そのものの問題点についても、他社製品をも踏まえたうえで、ユーザーから言われるまでもなく認識していることも多々あるようでした。
それをして大企業病か…と落胆せざるを得ない反応の方も、ZX2の言い訳だなと捉えられてる方ももちろんいましたし、序盤のプレゼンの部分も今回のがコアユーザー相手前提なら「それは今必要か?」と思える話がないわけではなかった…という気もしなくもないですが、そんな中でも知らなかった情報ももちろん出てきましたので、有意義だったと思います。
それに本当の大企業病なら、こういう機会を設けて、来てくださることすらなかったと思うんですよね。
シビアな方だとまだまだユーザーの意見に耳を貸そうというようには思えなかったという意見もあり、ある意味では若干同感かしらという気もしないでもない面もあるのですが、それでもこういった『ユーザーが直接、開発さんと話ができる』場というのを設けられたのは、良いことだと思います。
もちろん馴れ合いはよくないしユーザーの意見を聞きすぎるのもよくないと思うのですが、問題点等や、実はスタッフさんも気付いてないんでは?という点をわずかながらでもユーザー側から触れられる機会というのは、大変良い機会だと思うので、またこういった機会を望みたいですね。
そして、この機会をつくり、お誘いいただいた松尾氏にも、大変感謝しています。
…以上、こんなところでいかがでしょうか。
え?4極の件とかその他もろもろ?
そこはまた、別のエントリーで…ということでご容赦を…。
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