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2015年7月23日 (木)

walkman井戸端会議に行ってきました(後半)

 前半では開発スタッフさんによるZX2プレゼンと全員集まってる部分での質疑応答のところを思い出せるだけ思い出して書いてみましたが、こちらでは個別でスタッフさんと話をした内容を思い出せる限りで書いていきます。
 当日、ある程度、帰宅中か帰ってからとかでtwitterにもあげてたので、そこからも引っ張って思い出しつつ。

 プレゼンと質疑応答が終わって、会場内でスタッフさんとユーザーがまぜこぜになってから、まず気になっていたことがあったので、高音質SD・SR-64HXAを担当された後藤氏にお話をしに行きました。
 以前、SDをいろいろ比較したときに、ZX2はmicroSDスロットだけなのでmicroSDそのものの違いが出るんですが、これを標準のSDスロット搭載機(HM-602 Slim)で聞いたときに、microSDを標準SDにするのにSDカードアダプターを使いますが、そのアダプターによって音がいろいろ変るということで、この辺どうでしょう?とお話しを伺いました。失礼ながらソニーさんのSDアダプターはあんまり音が良くない…とお話しさせていただいたところ、やはりというか、こちらから言うまでもなく認識はされていたとのことでした。他社製のものと比べても音質的には落ちる、これは他のカードと同じ汎用のアダプターを同梱しているからです、とのことでした。専用のアダプターは開発されないのですか?とお伺いしたところ、コスト的に厳しい…というお話でした。できればやりたいのだけれど、それが商売として成立するレベルで生産まで含めてできるかを考えると、難しい、とのこと。ただ、機会があれば…とも。
 そして、今回のSDは64GBということで、容量的に128GBは今後予定はありますか?と聞いたところ、開発は進めていて出せる目処もある程度立っていて、出せれば発売したいということでした。問題は値段で、今回の倍で3万くらいにはなるかも…とのことでしたが、現行の64GBでも内容考えたら高いわけではないし、3万くらいならありがたいので欲しいですって話しましたら、値段的にはハイスピードモデルと同様の設定なので確かに高めにつけてるわけではないし、2枚買いして好評いただいているユーザーさんなどもいらっしゃるとのことで、確かに並行輸入などの製品と比較してしまうと高いが、品質管理を行っているモデルとしては他社や同社製と比較しても大きな差はないので、むやみに『高い』というだけの指摘の理由もわかっているから気にはなるけど理解はしてほしいという感じで。
 それと、microSDXCでの128GBという大容量化の方向性だけじゃなくて、標準サイズのSDカードでの高音質SDカードというアプローチも試してみたいということでした。これなら大容量化もmicroSDと違って安価で達成できることもあり、期待したいですね。
 現状の製品はハイレゾの24bit192kHzのファイルを再生のために転送する速度としてぎりぎりだそうで、これを今後速度を上げて現状のものと同様に音質劣化を抑えられるかなども研究中とのことでした。
 今後がとても楽しみになるお話で、特にmicroSDXC128GB版や標準サイズSDの件は期待したいです。お話いただいた後藤氏に感謝です。

 ZX2でシャーシまわりの担当の方(いろいろ伺ったのにお名前失念してしまいました、本当にすみません…)、削り出す前のアルミブロックと削り出されたあとのシャーシを見せていただきました。
 アルミの塊の状態だとかなり重いのですが、シャーシだけになると結構軽かったです。ということは、ZX2のあの重さは、銅プレートやバッテリーなどなんですね。削り出した後の削られた部分も、再度溶かしてまた塊にしてシャーシを作っているとのことでした。
 また、他のところの記事でも書かれていた真鍮製のZX1も見せていただきました。
Cimg3166
 写真ではちょっとわかりづらいですが、これグロス仕上げで製品版と違ってかなりギラギラしてるんですよw
Cimg3167
 背面からだとこんな感じですね。
 シリアルナンバーが面白いです、1234567てw
 実際に手にすると、かなりずっしりきます。重いです。見た目がギラギラしてグロスなので、ノーマルのZX1と比べてこれはこれでカッコいいなぁと思うのですが、プレゼンのときに出ていた話だと、高域が伸びないで詰まった感じになるので却下な材質だそうで…手で持つだけじゃなくて試聴させてもらえるならさせてもらえばよかったなーと今になって後悔してます(残念)。
 それと、これも公開するな!という指示があり秘匿されていたものだそうですが、ちょっと前に別の機会で公開したので今回発じゃないんですが…と出されたのが、銅板を搭載してバッテリーを大型化したZX1の改造版。
 Cimg3168
 奥にあるのがZX2のアルミブロックと削り出されたあとのシャーシ。手前のがZX1改造版ですが、銅板が酸化してか茶色くなっちゃってます。プレゼンのときには音質佐藤氏から「こうなっちゃうので酸化防止と接触抵抗低減のためにZX2では金メッキを施した」とのことでした。
Cimg3169
 背面をアップで。確かに銅板が使い込まれた10円玉みたいになっちゃってます。
Cimg3170
 ジャック周りはこんな感じ。改造版は真鍮のジャックガードがなくてちょっとジャック周りが心配?
 ちなみにこれも重量そこそこあります。結構ずっしりきましたね。ZX2の重量増の原因がバッテリーというのがわかる感じです。
 それと、かなり間近で基板の写真を撮らせていただくことができたので、気になっていたクロック部分を撮らせていただいたのが、これ。
Cimg3172
 実物は全然小さくて、ミリ単位なものが2つ載ってます。クロックといえばPCやゲーム基板に搭載されてる1cm~1.5cm角のようなのしか見たことがなかったので、こういった小さいのは初めて見たのでちょっと面白くまた感動しました。そして、このどちらかかはわからないですが、追加搭載された44.1kHz系のクロックがCD音源やSACD音源の質の向上に寄与している、と。ZX1で感じた「変換してるよね?」といったようなこもり感が払拭されたのはこれのおかげ。
 それから、ジャック周りも撮らせていただきました。
Cimg3176
 ここまで間近で撮れる機会はめったにないということで…パターンを見ると、LとRの信号が左右対称で配置されてるのの間に件のL/GNDとR/GNDのポイントがあるんですが、わたしはあの聞こえ方から、ここもひとまずは分かれてると思ったんですよね。ところが見ての通り、直接ベタでGNDに落ちてます。接触してること自体はケーブルとかを作るときにテスター当ててわかってたんですが、ここまで普通に落ちていて配線を引いてくるポイントを変えただけだとは思っていませんでした。じゃあ、あのL/GNDとR/GNDをそれぞれ別個で引いたり、入れ替えたりしたときの違和感ってなんなんだろう?というのはのちほど。
Cimg3177

Cimg3179
 ジャック部分。ジャックは汎用品の採用で、基板を通して結線されて、さきほどの写真の基板とつながれます。細いケーブルはプラグの挿入検知用の結線だそうです。
 ジャック部分を見ても、もしかしたらこの基板が何か影響ある?という部分ですが、何とも言えず。ジャックそのものは検索するとかで調べれば使用されている部品はどこの何なのかは、もしかしたらわかるかもしれないですね。

 ここまで撮影させていただいたところで、一旦離れて、今度はソフトの原田氏にお話を伺いました。
 まずは本体に搭載されている12音解析、これ、エラーが出るファイルがあると解析そのものが完全に止まっちゃいますよね?
 で、エラーが出たファイルをスルーして処理は進めて、処理が一通り終わったら解析できなかったファイルのログを出したりするシステムにできないですか?とお聞きしたところ、実は本体用の12音解析のプログラムを作っていたところがいまはもうなくて、手を入れられない状態だそうで…。このクオリティで搭載するのはどうか?という議論もあったそうですが、ひとまず載せてある、ただ、12音解析を使うならMedia Go!でやっていただければ…というお話だったのですが、D&Dで使ってるんでってお話しましたら、そうですよねー…みたいなことに(苦笑)。一応、検討課題として持ち帰っていただけるとか。
 それからDSDの再生について、PCM変換はそれはそれで前の記事にも書いた通り、わたしはわりとネイティブ再生にはこだわってなかったりしますので(ネイティブ再生できてるからってDSDとしての音がちゃんと出せてるか?っていうとそうじゃない機器、ありますよね)、現状は内部変換再生でも問題ないかと思っているんですが、DSDをもっと広く楽しんでもらおうというのであれば、A10などの下位機種でもファームウェアの更新などでDSD対応できますか?という要望をお伝えしたところ、これも確かに…ということなので、検討してみますということでした。
 そして個人的にはこれが本命だったのですが、「ウォークマンクラシックス、復活しましょうよ!」という(苦笑)。
 これ、ZX1の銀座でのトークショーの質問のときからずっと言ってるんですが(あのときもその場でスタッフさん一斉に苦笑してたなーorz)、せっかく再生・停止や送り、戻しなどの物理キーが搭載されたんだから、画面タッチで操作するだけじゃないので、より楽しく使えるはずだ、と。これこそソニーらしい、むしろソニーじゃなきゃできない遊び心じゃないでしょうか?という部分で。名古屋でこの件をお伺いしたとき、そもそもこれ自体、原田氏がやろう!とアイディアされたものだということで、ZX1でも搭載自体はできるということをあげていたそうなのですが、要らないよって話がZX1のときの商品企画から出てお蔵入りになってしまったそうで(涙)。今回もうちょっと突っ込んで聞いてみました。
 このウォークマンクラシックス、F800で搭載されてたアプリなんですが、かつての懐かしいカセットウォークマンから代表的?な5機種をピックアップして、360度回転させたりアップにしたりして見られたり、スイッチを押して再生するとカセットが回るアニメーションが入ってたりと、とても凝ったつくり。実際に実機を撮影してテクスチャーを作ったり、ボタンの操作音などもそれぞれ録音して仕込んであったそうで、実に力の入ったソフトだったそうです。これがF880以降では搭載されなくなったので本当に残念で…できれば収録機種も増やしたうえでアップデートのときにでも復活してくれたら嬉しいとお話させていただいたところ、もうこれはやってみましょう!というお話をいただけたので、大いに期待したいです!

 ある程度お話させていただけたので一旦引いて会場中央に戻ったところ、松尾氏から「例のケーブルの件、どうでした?」的なお話があり、そういえばまだ聞いていただけてないんですが、ということで、まず実際に4芯4極化したEX800STを聞いていただいたところ、標準とはかなり変わりますねという話になって、それから開発の方へご紹介いただけました。
 佐藤朝明氏に聞いていただいたところ、それぞれ変化があるということをご理解いただけました。材質の方にも聞いていただけて、それぞれの接続のパターンでわたしが自分のセット(ZX2本体)で聞いた違和感が、スタッフさんのセットでも同様に起こっているということもご理解いただけて、まず、個体差じゃないねという話で。佐藤氏も4極化されたZ5?を使われていたようなのですが、ここでプラグの話になりまして、わたしが実験用で使ったオヤイデのプラグと佐藤氏が4極化で使われていたのも同じオヤイデのプラグで(わたしのは実験用にコストもあったので金メッキ、佐藤氏のはロジウムメッキのでしたが)、このオヤイデのプラグ、実はオヤイデと非公式ですが協業的に作られたものだそうでというお話をいただけました。4極のプラグはそれまでは微妙に寸法違いなものが出回っていたりしたので、それがプラグ検出のピンに当たって誤動作の原因になったりするためZX2の発表当初は4極プラグなのを伏せていた経緯があったそうですが、発覚後にオヤイデから「こういうのを作りたいんですが」的な話があり、それでジャックを持って行ったりして寸法を合わせているので、オヤイデのプラグを使う分には誤動作等での問題は発生しないようになってますということでした。
 そこでRのGNDを使ったときに出る違和感ですが、佐藤氏からは「もしかしたらプラグの母材の関係でインピーダンスに相違が出ているからかもしれない」とのことでした。これら自作用プラグは3極なら先端から二つ目までは、4極なら3つめの極まではほぼ同様にプラグ内部でピンにはんだ付けするつくりですが、一番根元の極はケーブルを被膜ごとかしめるために母材が大きくなっていて、他のピンと同様にはんだ付けしたとしても、母材のもつ差異が他のピンよりも大きいので音に影響が出てしまっている可能性がある、とのことでした。
 セットそのものはジャックの部分までは問題なく仕上げているので、RのGND部分が問題であるなら、プラグに問題ある可能性が高いそうです。
 あと、材質担当の方からは、ジャックそのものが汎用品で、そのRのGNDの接点が接触圧が緩い可能性があり、もしかしたらそれも影響しているかもしれない…とのことでした。
 ただ、プラグのみが原因だとすると、わたしが4極化したEX800STのプラグ部分はMDR-1Aのオプションケーブルの4極プラグそのままを使っていて、それでもやっぱり違和感があるのですが…ということでこれも聞いていただいて、1Aのオプションケーブルのプラグ部分は樹脂で固められているので内部構造は削らないとわからないとのことでしたが、4極接続で実際に違和感があること自体は確認と認識していただけたのと、佐藤氏からも「これはうちでも実験してみよう」というお話をいただけたのは大きかったです。
 ひとつミスったなーと思うのは『普通の3極3芯のイヤホンなどでも違和感あるんですが』というのをその場で話に出せなかったこと。これはせっかく行ってるのに何やってんだか…と、帰ってきてから頭抱えて後悔したorz
 いやもうほんと、そっちこそがメインで聞かなきゃいけなかったんじゃないかね?と…。もっとも、開発さんが興味持たれてるのが4極接続の各パターンでの比較のケーブルで…というのも聞いてはいたので、なんとも。
 ※この4極接続やプラグに関しては、また別エントリーで別途ZX1を擬似4極化してみるなどの実験も後日行ったので、それはまた別エントリーであげてみます…。

 その後、そのまま佐藤氏と他のユーザーの方とでいろいろお話をしていたんですが、デジタルケーブルでWM-PORTから外部DACへ持ってくるのにPHA-3だと専用で短いケーブルを使えるのに他の機種用だと純正のUSB AメスのケーブルしかないのでUSB miniBやmicroBへ直接つながるケーブルを純正で出せませんか?という話は、USBの規格の関係でそれを作れないということでしたが、ここらはなんとかなるとうれしいところ。外部DACへの接続だと現在のケーブルだとどうしてもごっつくなってしまうので…。ちなみにPHA-3用のminiBの横にピンが出ているケーブル、あれはピンにも意味があるので折っちゃダメだそうで。あれとWM-PORTがつながることで、純正のデジタルケーブルがやっているようなホスト機能を持たせてるそうで。純正デジタルケーブルはWM-PORT側のコネクタまわりの部品を大きくすることで、それをケーブル単体で実現しているそうです。
 それで、デジタル接続なのに音が変わってしまう件は佐藤氏によるとソニーでもしっかり認識していて、計測では出ないしデータも一致しているのに音が変わるという現象については、計測部門も巻き込んで、どういうことなのかを解明しようという研究もされているというお話は興味深かったです。現在では測定で出ないことなので、とかくオカルト扱いされる領域の話ですが、その測定できない要素を定義化し、これを計測できるようになれば指標にすることもできるということで、かなり面白いんじゃないかと思います。デジタルケーブル、SDのスロットやSDカードなどでの変化、そういうものでの音の変化ですね。また、電源による音質の変化はデータには測定には現れないけど、あきらかに聴感上の差が出ることをなんとか『見える化』出来ないかは試みられてる…実現したらある意味では革命的だとも思います。オカルトで一蹴せずにそういう部分もしっかり研究されているというのは面白いしすごいです。
 この部分の話で興味深かったのが、デジタル接続では、SDでもケーブルでも、下流にストレスをかけない信号を送ってやることで音質が良くなる、という認識があるという佐藤氏の話。SDならカードやスロット、ケーブルならそれそのもので、もちろん本体側がノイズを出さないことが前提で。実際にいろいろ試された結果として、多少のノイズ等が乗ったり電源が不安定でも、デジタルの場合は受け側で計測するとデータ自体は変わらない、しかし、受け側がそういうものを受け取ると何らかの負荷がかかっているようで結果として音が悪くなる、と。逆に上流からクリーンな状態で信号を受け取らせると、綺麗に音が出る。なので、下流の機器をがんばらせないようにクリーンな状態の信号を届けられれば音は良くなる、ということはわかっているので、高音質SDと呼ばれる音質劣化防止なSDも、着眼点的にはそこだそうです。クリーンでない電気がくると受け側ががんばってしまい音が悪くなっているという発想は、わたしは考えたことがなかったので新鮮で驚きました。そういう見方もあるのか!と。これまでは極力ノイズ等を送らないケーブルなどを…とは考えていましたが。そして、やはり何事も『電源が大事』という話に。電力会社コピペの話とかも出て苦笑したりですが、冗談ではなく、電源はやはり大事でセット内から良好な状態を保ちたいということでした。

 他機種との比較については、ZX2は、やはり重いという意見が結構あるようで、『音が良くてバッテリー持続時間も長くて軽い』というものを求められていて、なかなか苦労されているようでした。ただ、その場にいたユーザーさんから出た「第一世代のAKのようなコンパクトなサイズで良い音を出してくれたら感動する」という意見には、その他のユーザーさんやわたしだけでなく佐藤氏もうなずかれていましたので、今後に期待したいです。可能ならA10のサイズでZX2レベルの音を出してくれると非常に面白いのですが…という話では苦笑されていましたが、実現できるならお願いしたいことではありますね(オーディオは基本的に物量ってわかっててそういう話をぶつける…)。
 また、OSについてはプレゼンのときにストリームで良い音を聞いてもらいたい(聞くだけならスマホでもできるけど『良い音』で聞いてもらいたいという狙い)からAndroidを使用しているということでしたが、コンパクトで物理ボタン込みの操作ができる本体なら、A860シリーズってかなり完成されていたんじゃないんですか?と話をさせていただきました。もし非Androidで展開されるなら、A860のようなスタイルに戻っていただきたいです、ということをお伝えしました。

 また、AKの話が出たところで、佐藤氏に「AKレベルの静寂性、S/N比を持たせて欲しいのですが」と申し上げたところ、「デジタルアンプなので…」と苦い顔をされていたのがちょっと残念だけど印象的だったというか、この手の指摘もわりといつもされていて、かつ解決が難しそうな問題であることを匂わせるような感じでした。っていうか、問題点として把握はされているんだなーと(涙)。動作時のノイズとかもなんですが、低減をお願いできれば、というのは、なかなか難しいことのようです…。かつてソニーが出していたD-NE920ってポータブルCDプレーヤーってデジタルアンプ搭載が売りなんですが、これはそんな現在のDAPのようなノイズは出てないんですけどね、そういう風に低減させることはできないのか、そこは現時点では残念ですし、今後に期待したいところです。

 それで気になっていたS-Masterについてはリバタン( @riever_ret )のS-Master(Walkman)考察というものもあるんですが、わたし個人としてもS-Masterはわりと肯定してます。『歪んだ音が歪んだままちゃんと再生できる』これは重要なことだし、デジタルアンプゆえのリニアリティがそれを確保しているのであれば、いまさら敢えてアナログアンプを搭載する意味もなければ、日和ってアナログアンプに戻る意味もないでしょう。よく目にする『S-Masterは音が悪い』という意見ですが、これ、良い悪いの価値判断ではなくて単純に叩いている人の『好き嫌い』だとわたしは見ています。下位機種にも上位機種にも同じものを載せてんじゃねー!って怒ってる人もいますが、それこそ筋違い。搭載できるなら広く搭載した方がスケールメリットもあるでしょうし。それはさておき。
 要は残留ノイズなんですよね。これ、わたしがKENWOODのHD60GD9ECからNW-A847に乗り換えたときの感想ですが、HD60GD9EC自体も前機種のHD30GB9からそれなりにノイズが低減されていたんだけど、A847はそれよりもずっとずっとノイズの量が少なかったのです。とはいえこれでも出ていることは出ているので、ということでA867でさらに大幅に低減されて、現在がその先のZXシリーズやA10などのS-Master HXになるわけです。残留ノイズ自体はかなり低減されてきているんですが、前述の佐藤氏の、ノイズの話をさせていただいたら苦い顔をされたように、AKシリーズのように完全にクリアにするには、デジタルアンプはかなり難しいようです。ただ、電源を主に、それらまわりの設計によってかなりノイズを発生させずに再生できるようなので、ここは今後がんばっていただきたいところです。
 それと個人的に気になっていた点をもう一つ、佐藤氏に質問をしてみました。「S-Master HXはオーバーサンプリングなどで波形を滑らかにするような処理を内部でおこなっていますか?」というもの。いただけた回答は「整数倍にする演算は行っているが、一般的なオーバーサンプリングでの波形操作のような処理は一切行っていない」ということでした。それを聞いて「つまりはノンオーバーサンプリングDAC的な動作をしていると認識してよろしいですか?」と質問を重ねさせていただいたところ、「そうです」とのことだったので…これ、個人的にはすごくうれしい話です。
 実は質問をする前からS-Masterの資料や、TA-DA7000ESパワーアンプ化 実は現状不利な"フルデジタルAVアンプ"編【ひよこ造船工房】といった記事にあるように、S-MasterってもしかしてNOSDAC(ノンオーバーサンプリングDAC)に近いかそのものなんじゃない?という予想はしていたのですが、概ね裏付けが取れた感じで嬉しかったです。記録されてるものを極力弄らず出すという意味では、S-Masterの仕組みの思想自体はなんら間違ってないとわたしは思います。加えてNOSDAC最高!って思ってますので、これは本当にうれしいことでした。
 もっとも、S-Masterの音が悪い(嫌い)という人は、NOSDAC搭載機やNOSDACの音は嫌いなんじゃないかな?と思いました。そうでないにしても、要はNOS的処理からデジタルのまま直で増幅及びボリューム操作にくるので、その独特な音を聞きなれないがゆえに「S-Masterは音が悪い」と言っちゃうのは、それはおかしい、と言わざるを得ないところです。それを言ってしまうのは、質的な『良し悪し』と個人の『好き嫌い』を混同させてる節はあると思います。
 そして、この回答をいただけたので、「NOSDACとしてTDA1543搭載のwalkmanを作ってくれるとうれしいんですが」という要望は飲み込みました(苦笑)。
 
 DSD再生についてはこれもプレゼンでも話がありましたが、佐藤氏から「弊社はDSDフォーマッターであり、その部署が作った変換処理を用いているので、現時点ではこれがベストだが、変換しないネイティブでの再生も可能になるよう挑戦はしている」とのことでした。ちなみにS-MasterでDSD出力はできなくもないというかできるそうなんですが、それで出力したときに、いわゆる『DSDの音』にならなかったそうなので、しかもこれがそのDSDの部署からダメ出しがあったとかで、現状はそこの部署の作成したPCM変換ロジックを用いての内部変換再生となっているそうです。個人的にはそれでベターなら全然問題ないと思いますし、ZX1/ZX2のDSD再生の音は、ちゃんとSACDとかで聞くDSDらしさを得られていると思うので不満はさほどなかったりします。ネイティブという言葉にこだわるあまり、他のポータブルプレーヤーでときおり存在する『ネイティブ再生対応といえどDSDとしての特徴を削ぐような音を出している機器』と同じになってしまっては意味がないし、佐藤氏からも「言葉だけのネイティブ再生を追うことはしない」ということだったので、ここも現時点で採りうるベストな選択で製品を作られていることがわかり、安心しました。また、今後へも期待したいです。

 出力の弱さについても認識はされているとのことで、今後これをどう上げていくかは課題、とは仰られてました。イヤホンを駆動する分にはあまり問題ないですが、屋内用の大型ヘッドホンを直接鳴らすには力不足気味であることも認識はされているそうなので、これも今後に期待したいですね。

 それと次期機種へ向けての話として「ソニーさんなら今回みたいなGND分離の4極ではなくて、LとRのcoldがショートしていないことを検知して動的にバランスとアンバランスを切り替えるようなバランス駆動のwalkmanを出してくれるとうれしいんですが」と佐藤氏に話を伺うと『赤×』が出てしまい(苦笑)。
 これは期待していいのかな?と内心思ってしまいましたw
 ただ、4極だと上の方で書いた『プラグの母材の問題』による音質の変化が起こる可能性も否定できず、接続周りのつくりとしては、PHA-3の3極2芯×2接続の方がベストなんじゃないかなー?とは思っています。
 そこでPHA-3の話題になり、集まっていたユーザーさんとも「PHA-3のバランスとアンバランスって差が大きすぎるよね」「PHA-3のアンバランスは本気出しているように思えない」「バランスの音を引き立てるため?」という意見が出て、そこにいたユーザーさんみんなで「あれはそう聞こえますよね」という話になり、佐藤氏が「PHAチームのスタッフも机近いんで、そういう意見があったと伝えておきます」とのことでした(苦笑)。

 …と、こんな感じでいろいろな話があったのですが、まだまだ足りないと思っていたけれど、実は18時終了予定が大きくオーバーして18時45分頃ということで、松尾氏と東京ヒアリングケアセンター青山店の店長さんのごあいさつをもって、お開きとなりました。
 個人的には音質担当の佐藤浩朗氏とほとんどお話できなかったり変換ケーブルの比較を聞いていただくことができなかったのが心残りではありましたが、銀座ソニービルでのZX1のトークショーのとき同様に、この日もすごく楽しそうに製品を紹介されていたので、この人が作る製品ならついていきたいなーと改めて思いました。

 一応思い出せる限りでいろいろ挙げてみましたが、もしかしたら忘れてしまっている部分もあるかもしれず、抜けがあったら申し訳ないのですが、またこういう機会があるとうれしいな、と思いました。
 このような場を作られた松尾氏と、場所と時間を提供いただいた東京ヒアリングケアセンター青山店様、walkman開発スタッフの皆様に感謝です。
 参加するかどうか悩んでいたところだったのですが、参加させていただけて本当に良かったです。


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コメント

物凄く読み応えがある内容でした!
今回のイベントを扱ったネット上の記事の中で、僕が見た中では断トツの充実度です。
次回やこれからのウォークマン、アンプやストレージに期待が高まりました。
遠方で足を運べない者にとってこれほど助かることはありませんね。本当にありがとうございます。

新製品が出た暁には、今回書かれていた内容を思い出しながら音を聞かせてもらおうと思います。

投稿: | 2015年7月24日 (金) 01時07分

コメントありがとうございます。
いつもこの手の話を書くときは「淡々とあったことだけを書くか、それとも自分の考えを入れるか」を悩むんですが、こんな拙い内容でどうなんだろう?と自分では思っていても、こういった感想をいただけるとありがたいものです。
今後の製品での、いろいろな部分への回答に期待したいですよね!

投稿: 釘町阿梨 | 2015年7月24日 (金) 06時45分

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