WALKMAN NW-A867(NW-A860シリーズ)、受け取りました。魂を震わせる音がここに。
NW-A867、なんとか6日中に受け取りました。
自宅では6日の帰宅が間に合わず受け取れなさそうだったのと、仕事の現場が宅急便の営業所と自宅に近かった(というか本気で両方とも中間の通過点だった)こともあり、移動の途中で受け取って自宅に置いてファイルを転送して、次の現場から事務所へ戻る前に家に再度寄って回収して帰宅時にさっそく聞いてみたり。
それだけでもわかるNW-A857からの音質向上はすごいです。
マジヤバすぎる!
って、ワニとシャンプーじゃないですが、そういいたくなるくらい本当にびっくりするいい音でした。
ここからは自宅へ帰宅してからの感想です。
まだ短時間ですが、それで印象に残ったことをひとまず並べてみます。
いつもどおりですが、エフェクトやイコライザー、音質補正といった機能はすべてOFFです。
イヤホンは付属ではなくMDR-EX800STで聞いてみた感想です。
まず、今までのWALKMANのS-Master搭載機でよくいわれていた『無音時の”サー”といったノイズ』、これに関しては、皆無というわけではありませんが、劇的に減少しています。街中などで通常に使用する分には、まず気にならないレベルまで低減されたといっていいかもしれません。
そして、音質そのものについてです。
まず驚いたのが、静寂からの音の立ち上がりの気持ちよさ。
静かなところから、音がスッとたちあがってくる。
上質のシステムが組まれた試聴室で聞くような気持ちよさとある種の緊張感があり、音が良すぎて酔うとか、魂が震える…こんな経験、DAPでは初めてです。あのKENWOODのHD60GD9ECでも、ここまでの領域の感想を持ち得たことはなかったです。正直な話、段違いですごい。シリコンオーディオがおもちゃと揶揄されつつもここまで来るのには血のにじむような努力や試行があったのではないか、と思います。まさか携帯音楽プレーヤーでこんな音が聞けるようになるとは思っていませんでした。
今回のA860は、A850からの比較だと、あきらかに全音域が濃ゆくなっていて、深くてキレのある低域、腰のしっかりした中域、俊敏な高域、再生機としての音質については、貶すところが思いつかない…というレベル。
ここまで書くと勘のいい方にはわかるかと思うんですが、この手の機器になるとソースがしょぼかったりイヤホンがしょぼいと本当にそれなりに聞こえてしょぼい部分に気付いてしまうということがありますが、そういうプレーヤーです。しかし、それを素直に受け取ることができるなら、ここまで実直でストレートなプレーヤーは他にないんじゃないかと思われます。そういう味付けだと言えばいえなくもないんですが、聞いていて気持ちの良い響きなどのバランスを有していながら再生している信号に忠実であれとする意志があるように思えます。
考えようによっては、録音をシンプルに再生しようとするとこういう音になる…という必然なのかな?とも思えます。
実際、今回のA860に搭載されているS-Master MXは、従来のS-Masterよりもシンプルなプロセスに最適化されたという…わたしがディスクリートで組んでるシステムがシンプルなノンオーバーサンプリングのDACだったりで考え方としては出来るだけ信号を弄るものは入れないというものなんですが、それで得られたものに近い感想が、このA860にもあります。単純にシンプルにといっても、それを音質向上につなげるには難しいのでしょうけれど、途中で複雑な演算をやたらかますよりもソースから出力までは可能な限りシンプルに、といったつくりが結果に出ているようで感動しました。
せっかくなのでMDR-EX1000でも聞いてみました。
A850では低域が物足りないなと感じたEX1000でしたが、A860ではA850と組み合わせたEX800STに近付くくらい低域の印象が変わります。もちろん薄いといえば薄く、高域寄りであることは変わらないんですが、音場感とかリスニング的に気持ち良くというなら、もちろんEX1000もA860で使うのがよい感じです。あのEX1000からコシのしっかりした低域が出ていて…ということでもすごいです。正直なところ、わたしはA850でEX1000を判断していたので、低域があっさりで高域寄り…と思っていたわけですが、A860で聞くEX1000は、良いです。EX1000の特質か高域がきついかな?とか、サ行などが刺さる感じがするという部分は若干残るのですが、そこもA860の素性の良さなのかA850で聞くよりもあまりストレスに感じないレベルの音になっていました。気にする人は気にするかもという程度です。
一応、付属のイヤホン(MDR-NC033)でも聞いてみました。ノイキャン機ということであまり期待はしていなかったものの、そこまでこだわらない人にとっては付属イヤホンでも特に問題はないかな?という感じ。付属では全帯域で音が濃ゆく押し出してくる印象です。人によっては低音の濃さがちょっと気になるかも?EX800STでいう低音の濃ゆさとは別の意味で。抽象的で申し訳ない感想なんですが、「ん、安い」という音です。本体のクオリティにイヤホンが追いついてない、つりあってない印象です。ノイズキャンセルは結構適度に働いているんですが、A860を使うのならノイキャンよりもいいイヤホンを使って、多少の外音は気にしない方向で…というようにしないと、せっかくのS-Master MXがもったいないかな?と思いました。というか、ここで驚くべきなのはS-Master MXの素性の良さというか怖さみたいな部分です。イヤホンそのものの質もくっきり描き出してしまうので、中途半端なクオリティのイヤホンを使うと結構悲しいことになる感じです。
※20111030追記:上記の付属品イヤホンの印象はあくまで初期印象です、改めてじっくり聞き直した感想を上げていますので、こちらも参照いただければ幸いです。
NW-A860で改めて聞きなおすMDR-EXシリーズ
付属品イヤホン、改めて聞くとそこそこ良いものでした。以上、追記終わり。
ソニーストアでは付属のイヤホンをMDR-EX600にもできるので(単品でバラで買った方が安い?というのはなくもないですが)、ということでEX600でも聞いてみました。わりと自然なバランスで気持ちよく聞くことができて、これはこれで面白いです。EX1000ほどの高域やサ行の発音が気になるということもなく、EX800STほどに生真面目に聞こえるわけでもなく、ゆるゆるとリスニングするにはEX600の適度なゆるさが結構マッチしている感じです。高過ぎない解像感とEX1000に近めの広く感じられる音場が、適度に気持ちいい音になってくれるようです。わりとスタンス的に半端なことからあまり芳しくない評価をされがちに思うEX600ですが、気持ちい高音質でゆるゆるとリスニング…というには、結構ありな組み合わせだと思いました。A850とEX600では、EX600はちょっと難しい立ち位置だなと思っていたんですが、A860とEX600の組み合わせは面白いです。これはいいかも。
せっかくなのでMDR-EX510SLとも組み合わせて聞いてみました。
EX510独特の元気な気持ちよさが引き立ちます。ちょっと高域がきつくて低域が厚みありすぎかなー?と思えたりもするんですが、EX510特有のメリハリのきいた音が活きてきます。ただ、もう少し正直に書くなら、A860だとEX510がつり合い取れない…と思える場面もありました。具体的にはEX510なのに安く感じてしまうことがいくらかあったり…。偽らざる感想としては、A860で聞くなら最低限でもEX600は欲しい、と思ってしまったり。A860のそういう描写の底力というか、ある種の恐ろしさを垣間見た気がしました。
…というように、ファイルそのものの録音の質もなんですが、イヤホンそのものの質もわりと無慈悲に浮き彫りにしてしまうところがあるようで、これはソニーすごいものを作っちゃったんじゃないの?なんて思いました。試しにMDR-EX50LPで聞いてみたら…いい音なんですが、イヤホンに特徴づけられた性格がもろに出過ぎて、もっといいイヤホンに換えたくなります。他を知っているから…というのはあるんでしょうが。
ついでと言ってはついでなんですが、すごい気になったのでMDR-EX90SLをA860に挿して聞いてみました。…驚いた、バランスすごく良くて破綻しないんですよ。なんだこれ?EX90すごいじゃないか、という。やっぱり当時に手間をかけてしっかり設計して作られただけはあるなぁ、と。ものすごくバランスいい…名器は色あせないんだな、と。今はもちろんEX800STで満足しているわけですが、ひさしぶりに、新しい機種に挿して聞いたEX90は、恐ろしくクオリティの高い音を聞かせてくれました。もちろんEX1000やEX800STのように高解像なわけではないし、EX600のようなゆったりとしたリスニング的高音質じゃないんですが、付属イヤホンやEX510にあるような雑味が感じられない、すっきりしていてバランスがよく、深みとキレのあるいい音を聞かせてくれました。A860にEX90の組み合わせだと、EX800STほど低音が濃ゆいわけでもなく、EX1000ほど高域やサ行の刺さりが気になるわけでもない…それらに敵わないとはいえ解像感もしっかりある。すごい聞きやすい。ベストマッチではないかもしれないけれど、かなりベストに近い組み合わせかもなんて思える…正直びっくりしました。EX90、ディスコンになってしまったのが本当に惜しまれます…復刻再販してほしいくらいですね。A860で聞くEX90、かなりいいですよ。なんだかんだでEX90の音、やっぱり好きだなぁ…EX90の設計と音でEX600以降のシリーズのようにケーブル着脱可能なモデルをソニーが開発してくれたら絶対に買うんだけどなぁ…。
ということは…と思って、MDR-CD900STで聞いてみました。
はじめは「あれ?」とか思ったんですが、要するにソースのファイルの音の状態を残酷なまでに伝えてくるようで…良い録音と思われる曲は本当に綺麗に聞こえるんですが、そうでないであろうものについては結構厳しいです。本当に気持ち良く聞こえる曲はもうすごくうれしくなるんですが、そうでないものだと聞いていて残念に思えてくるのはあります。双方の底力のすごさなんでしょうね。ある意味では恐ろしくもあります。
ここまでは音質面ですが、以下、使い勝手など。
操作がタッチパネル主体になったことでブラインドでの選曲などが結構困難になりましたが、その分、普通に目で見て操作する分には操作性は格段に向上しています。プロセッサが速くなったのかどうかまではわからないですが、アルバム選択とかの操作がとにかくスピーディーで快適。現時点で7700曲程度入れていてアルバム数も結構な数になるはずなんですが、高速でスクロールさせると当然読みだし中なアイコンになったりはするものの、追随して表示するまでがかなり反応が速いです。弾いてのスクロールなども結構速いし、タッチ自体の反応も良好。基本的には右手持ちでの操作に特化してますが、各ハードキーの操作や役割も必要十分。それからホールドスイッチがA850よりもしっかり操作しやすくなりました。
操作性で一点、面白いなーと思ったところがあります。ブックマーク登録後や何か機器側からのメッセージダイアログが出た場合の操作なんですが、ダイアログを消して元の画面に戻るには、ただどこかをタッチすればいいのではなく、表示されたダイアログそのものにタッチする必要があるところ。これは銀座での試聴時にも感じたのですが、なぜそういう処理にしたのか疑問ではあるんだけど、面白い作りだなと思いました。
ただ、操作がタッチパネルになったことで、純正のクリアのハードケースがいまひとつな感じ。クリアケースについてきた液晶保護シートがパネルの表示部そのものはしっかりカバーできるんだけど、筺体表面のガラス部分よりは一回りほど小さいため、貼るのが結構難儀かも。指紋もかなり付きやすいです。貼った後のパネルのタッチの反応は良好なんでそこは問題ないんですが、ちょっと惜しい。それから今までは画面側にもクリアケースの保護があったわけですが、今回はシートのみになるため、そのあたりの耐久性や、落下してしまったときの保護については、このクリアケースで大丈夫なのか?という心配はなくもないです。基本的にはストラップつけて使ってるので落下はしないだろうとは思うんですが、純正のクリアケースの頑丈さはA840やS750で使っていて体験してるので、それがA860では有効に働くのかどうかは、形状を見るとちょっと気になるところです。
本体色は白を買ったんですが、A840・A850は背面が金属だったこともあり、筺体にそこそこの高級感はあったんですが、A860は背面がプラスチックそのまんまな感じの質感なので、そういった意味の高級感とは無縁で、見る人によっては安っぽいと思われるかも。わたしはクリアケースをつけてしまっているのでそのあたりは気にしないんですが。
それから今回A850から変更になった表示画面について。
有機ELから液晶になったわけですが、日光の下ではやっぱり有機ELよりも見やすいですね。屋内などでの動画などの表示の綺麗さでは有機ELに軍配があがりますが、屋外で使う携帯プレーヤーとしては全般的に液晶の方が見やすいので良いのかなーと思えます。
あと、普段の使用にはあまりかかわりのない部分ですが、パッケージ内の梱包のビニール袋の封をしているテープが弱粘性ではがれやすく、はがしたあとも貼りやすく、糊痕が残らないものが使われているのは、地味にありがたいですね。開けやすいし開けた後のビニールも再度使えるし汚くならないので。細かい部分ですが、こういう作りに対する考え方はうれしいですね。
ちょっと見辛くてごちゃっとしててすみませんが、今回聞いたものの一部です。
実は銀座のソニービルで試聴したときは、ここまですごいとは感じなかったんですよ。しかし、実際に受け取って聞いてみると、その音質はびっくりするほどよくて、A850からでも変化は容易に感じられるレベルで向上していて、買ってよかったと思えるプレーヤーです。
イヤホンや入れているファイルの良し悪しをもろに描き出すので気になってくるといい音を聞きたいとイヤホンを買い替えたり良録音の曲を探したり…といったことになるかもではあるんですが、単純にいい音を聞きたいということで買っても期待にこたえてくれる良いプレーヤーだと思います。
満足度はすごく高いです。
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コメント
購入報告お疲れ様です。
いやー、イヤホン市場の盛況さは素晴らしいですね。
「高品質なイヤホンが出る→プレーヤーの品質も向上」
という良い循環ができてるようで。
投稿: plto | 2011年10月 9日 (日) 20時25分
pltoさん
どうもです。
今回のウォークマンはすごいですよ。
ただし迂闊に安いイヤホンやヘッドホンを使えません。粗が見えちゃうんで。そのくらいすごい携帯プレーヤーなんで…こんなのは初めてです。
投稿: 釘町阿梨 | 2011年10月11日 (火) 04時54分