NW-A860で改めて聞きなおすMDR-EXシリーズ
なんか大げさなお題を掲げちゃってますが、要はNW-A867で手持ちのMDR-EXシリーズイヤホンを再評価してみようというネタ。
なんでかというと今まで携帯プレーヤーはNW-A857を使っていたわけだけれど、NW-A860シリーズって850シリーズとは傾向がまったく違うなーと思ったのと、イヤホンをとっかえひっかえしていて面白いことに気がついたので。A850までは好みのイヤホンを使えばいいとか、ある程度低価格なイヤホンでも綺麗に聞かせてくれるなって思っていたのが、A860では価格にかかわらず化粧したイヤホンの化けの皮が剥がされるというような感覚があったからで。ものは言いようなんですが、イヤホンの個性をはっきり描き出すプレーヤーなんだなというか、聞こえ悪いですがイヤホンに粗があるならそれを曝け出してしまうプレーヤーだと思ったわけです。
あるものでは意外な結果だったりして驚きましたが、とりあえず書いておこうかと。
エフェクトやDSEE、イコライザーといったものは全部OFFでの感想です。
基本的にはイヤホンやソースの粗が際立つ方向で音が出るプレーヤーで、逆にイヤホンやソースが良ければぐいぐい気持ちよく聞けるのだなーと思ったので、どちらかというと難癖をつける方向性の記事になってしまうかと…お気にのイヤホンがけちょんけちょんにされるのを見たくないという向きの方はすぐ去られるのがよろしいかと思われ。
それから筆者がそのすじ故、記事中に出る曲がそんなのばかりなので『なんだーアニヲタかよー』という向きの方も去られた方がよろしいかと。
結果としてはある程度は前回のNW-A860の感想にかぶりますが、本体購入後の第一印象とは違ってある程度時間をかけて聞いているので、アップデートされた話でもあります。
毎回そうなんですが、今回は特に個人の感想の域を出ないものなので、本当にネタ程度に見ていただければ。
今回はでは手持ちのイヤホン、価格的に手に入れやすい方から。
まずは付属品、MDR-NC033。
バランスは悪くないです。そこそこにというと失礼かもですが、そこそこ良好なレベルでまとまってます。付属品としては悪くないんじゃないでしょうか?少なくともiPodの動作確認レベルの白いやつよりははるかに良品ですっていうか比べることがMDR-NC033にとって失礼かも知れず。音量下げるとこもり気味、音量上げると途端に全音域やかましくなるのはやむを得ない感じ。ですが悪くはないんです。音場がどうとかそういう音じゃなくて、もう全音域が濃くて押し出してくる。でもバランスはいいから破綻はしないんですよね、音量を上げても。そこらへんはすごいかと。ぶっちゃけ侮ってましたすみません、ということで付属イヤホンを見直しました。これはこれで悪くないです。たぶんですが、音質面で変に小細工されてない?分、素性はよかったのかーという感じで。わりと何を聞いてもバランスいいなーという点で好印象です。レンジは狭い感じもするんですが、その中でのバランスは良好かと。
A860を使っていてこれで落ち付いてしまうのは正直もったいないとは思うんですが、本体の付属品という意味ではいい線なのかなと再確認。こだわらなければこれで十分。このイヤホンの場合は、本体に底上げされてよく聞こえてる…というパターンだなと思いました。
次はMDR-EX510SL。
一聴してメリハリがあって気持ちよく聞けそうに思えるのですが、高域の硬さと、かさつき具合が耳につきます。ボーカルは綺麗なんですが張り出しが強く荒れて聞こえる部分が出ることがあり、部分的に破綻しているように思えます。破綻しているというと言いすぎかもしれませんが、無理して音を出しているなーと思えてしまうような苦しさを感じる場面がたびたび出ます。伸びたり声量が大きいところでは顕著。低音はそこそこ綺麗かと思うとソースのボリュームが大きくなるところでは滲むようなぼわつき感が発生します。厚みはあるのでソースの録音が良いと思われる場合はそこそこ綺麗に聞こえるのですが、全体的に低音が暑苦しいです。A850とか別のプレーヤーで聞いた場合は低域がわりと薄めのさわやかなイヤホンだと思っていただけに意外。ただし、このイヤホン基本低音出ないので、低音が暑苦しいのは低音が支配的な曲を再生させた場合やそういう場面だけです。しかし普段が普段だけに目立ちます。具体的には『ダイアモンド クレバス』なんかではボーカルのかさつきやきつさが目立つし、『曇天』なんかでは低音が無闇にやかましい印象になってしまいます。わりとおとなしめの曲で『雪が恋しくて』なんかだと結構綺麗に聞こえるんですが、それでも今度は高域がちょっとしゃんしゃんしてやかましい印象ですね…綺麗にバランスよく鳴ってるという感じじゃないんですよ。
まぁ、これはこれで慣れてしまえばいいイヤホン…なんですが。他を聞かなければ(知らなければ)、それなりに綺麗に思えるということでは間違いないです。
ただ、付属品のバランスが非常に良好なので、敢えてEX510に買い換える意味はあまりないかも。A850だと良かったんですが。
MDR-EX90SL。
価格的に…ということでこの位置にいますが、もうディスコンで手に入らないのは残念。せめてSonyStyle限定で定期的に受注再販とかをやってくれたら…と思うんですが。
今聞いても恐ろしいくらいの音質のモデルです。A860で鳴らしているわりには低音がすっきり綺麗に出ます。弱いということではなく、質のいい低音が抑え気味にすっきりと。EX510で挙げた曲を聞いても、EX510に見られたような破綻はありません。ボーカルや高音も綺麗に出ます。値段なりの詰まり感はそこそこあるんだけど限界はかなり高めのようで、結構のびのびと鳴るんですよ。A860との相性は非常に良好です。これで断線の心配さえなければ…ですね。改めて聞いていると、EX90がコスト的にかなり戦略的なモデルだったんだなという気がしてなりません。無茶してたんだなぁ、と。確かに低音の迫力不足と見る向きには合わないイヤホンではあるんですが、これのすっきりしたバランスは、わかれば病みつきになるものですよ。EX510で低音が暑苦しいと思うような曲でもすっきり鳴ります。加えてボーカルがすごい自然なんですよ、後発のモデルよりも。堅い音も過度に堅く出るわけじゃなくて綺麗に響くし。『ハイスクール・デイズ』とか聞いてるとすごい気持ちいい。音場感もそこそこ広めで気持ちいいです。EX510で前述の曲でも、低音がごわつくようなこともなければボーカルがかさつくこともなく気持ちよく聞けます。ただ、値段なりの詰まり感を感じることはあります。『UNLIMITED』なんかでもっと高めのイヤホンで聞くと別に詰まってないボーカルがEX90だとちょっと息苦しいとかはあります。EX510だともっと苦しいわけですが、EX90の場合はそこまでではない、という。
いずれにしても、もっと長く生産してほしかったモデルですね。せっかく相性の良いプレーヤーが現れたというのに、もったいないことです。
ここからケーブル分離できる組。
まずはMDR-EX600。
バランスは若干高域寄りで良好。一聴して微妙にくぐもり気味?なのが気になるかもしれません。抜けは良くはなく、そのあたりがくぐもっているような印象につながっているのかと。ただ、くぐもっているように聞こえても分解能が低いということではないようです。細かい音は非常によく拾います。『消失点-Vanishing Point-』を聞いていると、その両方の特徴を捉えることができたりして面白かったです。落ち着きがあるというか、おとなしめの音で、これはこれでA860との相性は良いと思われます。一部で極端に評価が低いのはこのくぐもり気味の印象の音のせいのように思いますが、基本的な性能は高いと思われ。EX90やEX510までで感じる詰まり感がEX600にはありません。聴感上のレンジも広いし。音場も広めで気持ちいいです。適度に高い分解能と落ち着いた音がすごく聞きやすい高音質という感じで良好です。『ダイアモンド クレバス』でもボーカルがEX510のように乾いてかさついた具合ではなく、より生身っぽい音声として聞けました。
ときおり高域が耳障りで作為的な強調感を感じることがあります。とはいえ音量をそんなに上げなければ、あまりウザいなーとは思わないレベル。EX510の項で前述の『曇天』なんかで顕著。歪みの多い音に弱いらしく、同様に『MY BOY』あたりでも同様に感じることはありましたが『曇天』ほどではなく、まだ気持ちよく聞ける方。
『雪が恋しくて』でも高域のしゃんしゃんっぷりが微妙に気にならないではないですが、響きのよさもあってわりと気持ちよく聞くことができます。
あまり肩肘張らずリラックスした高音質という感じで良好なイヤホンだと思います、A860との相性も良好な部類。後述するEX800STはもちろんいいものなのですが、そこまでの音の厚みが必要なくてEX1000ほどのガチガチの分解能も必要ないというリスニング用途なら実に良い選択だと思います。
正直な話、A860で使うなら、わたしならEX510よりもEX600です。倍の金額を出してでも買う価値はあります。ゆったり気持ちよく楽しめるモデルとしては、ケーブル交換で断線時の対策ができるため長く付き合えるということもあって、実に面白いモデルだと思います。
次はMDR-EX800ST。
バランスは若干低域寄りで大変良好。ただし人によっては低域過多と感じられる方もいるかもしれないです。実際、曲によっては低域に厚みがありすぎんじゃね?と思えるような音を出すことがあり、そういうのが苦手な人には敬遠されるかもしれないなとは思いました。『消失点-Vanishing Point-』だとA850あたりまでは結構すっきりした曲調のイメージなんですが、A860とEX800STの組み合わせで聞くと、かなり低域に厚みが出るのでちょっと厚ぼったいかな?という印象がないわけではないです。もちろんそれ以外の曲でも同様なんですが…。
それ以外の部分に関しては極めて自然でストレスのない良い音です。高域も耳障りな印象はなくてごくごく自然に聞ける音です。『曇天』での荒れや破綻もなく、『ダイアモンド クレバス』での声のかすれもEX510のように苦しくならずハスキーでも自然で適度な潤いがあり生々しく、『雪が恋しくて』でも高域が出しゃばり過ぎずしゃんしゃんという音にならずに綺麗に聞こえます。開発経緯や思想を考えれば当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが。
音場は大抵のソースだと広くは感じませんが、ライブ盤とかで広い会場で録音されているものに関してはそれなりの空間を感じさせてくれるほどの表現力も見せてくれます。
当然EX510の『UNLIMITED』で感じたようなボーカルなどの詰まり感もなければ、EX600で全体的にあったくぐもり感のようなものもなく、『MY BOY』にあったような高域のウザさもありません。ただ、EX800STの場合は生真面目で解析的な部分があるので、ゆったりリスニングというゆるい聞き方を好みとされる方には向かないかもしれません。あくまでゆったりゆるーく聞きたいのに向かないかもというだけで、リスニング向けではないということではありません、これ書いとかないと変に勘違いする人とか出そうなので…たとえばMDR-CD900STがリスニングに向かないとか広めた人はめっちゃ罪深いとわたしは思うんですけどね。
それはさておき。
EX90で抜けの良い音をきかせてくれた『ハイスクール・デイズ』でも、EX90のように抜けがよいということはないですが圧倒的な音質差を感じました。
A860とEX800STの組み合わせは、相性的には低域寄りというか低域の厚みと濃ゆさが目立つ傾向にはなりますが、トータルではとても良好なのでした。
ラストはMDR-EX1000です。
たぶん一聴して一般的にウケがいいのは、おそらくEX1000…といって間違いはないかと思います。
パッと聞いて気持ちのいい音場感と解像感を持ち、それを表現し得る分解能を性能としてしっかり持ってるという裏付けがあってこそなんですが、完璧というわけじゃないのが…。
A850など、A860が出る以前のプレーヤーでのEX1000の評価というのは大概が高音質だけど低域が薄味というのはあったかと思うんですね。そのバランスについてはA860との相性という点でかなり解消されると思われます。おそらくはEX1000の元々の持ち味である良質な低音を余すことなく堪能できるプレーヤー、それがA860なのだと。
ゆえにバランスは良好です。しかし、EX600の項でも書いたことと同じく、高域が耳障りで作為的な強調感を感じることがたびたびあります。ただその分、音の分離感も半端じゃないです。『MY BOY』だとEX800STだとまとまりよく聞こえていたものがばらばらになり高域部がきつい印象になるんですが、その分、分離して聞こえるギターやドラムがすごくくっきり聞こえるわけで。EX800STがそのへんぼやけてたりとかいうわけではないんですが、EX1000の場合は分離していることを強調するような聞かせ方なんだろうなーと。高域はソースによってはやかましいイメージになるんですけどね。その点は『消失点-Vanishing Point-』のように落ち着いた曲だと気にならず気持ちよく聞けます。ボーカルの生々しさではEX800STとは別方向でこれもまた良いです。『ダイアモンド クレバス』ではEX800STとの比較で多少線が細くなるけどさらっと聞かせてくれますし、『UNLIMITED』でも力強さというよりは別の方向で綺麗に響かせてくれてます。『曇天』で同様に、ギターの音はよく分離して綺麗に聞こえるんですが、ときおり高域の硬めの音がきついかな?と思うことがあるのと、迫力はオミットされてしまっているような。そうか聞いてるソースが悪いのかってことで『雪が恋しくて』を聞いてみると、すっきり気持ちよく聞けて良い感じでした。そうか!と思って『コスモスに君と』を聞いていたんですが、ドラムがうるさくてダメでした…。では、というわけで『幻』を聞いてみたら、これはいい感じ…どうやら堅めの摩擦音や破裂音がきつく聞こえるようなので、結構曲を選ぶイヤホンなのだなーと思いました。『ハイスクール・デイズ』などでも分離感がすごくよくて見通し良く綺麗に聞けるんですが、どうも迫力に欠けて摩擦音やドラムの音が強調感があって気になってしまうんですよね。
とはいえEX1000は綺麗な音の出るイヤホンであることには違いないので、A860との組み合わせは良いと思われます。
特にその分離感と鳴っているそれぞれの音の鮮度感は比類ないものなので、そのあたりはさすがソニー渾身の一作といえるイヤホンで、聞いていて気持ちの良い場面は多いです。
現時点でウォークマン最高音質を謳うプレーヤーとの組み合わせなのだから悪いわけがない、といえるのでしょう。
…と、ひととおり書いたところで、付属イヤホンで聞き直してみました。
そりゃEX600以上を聞いた直後での付属なのでアレなんですが、それでも付属としては上々じゃないか?という音を聞かせてくれて面白かったです。なんだろうこれ、多分に贔屓目で見てるところはあると思うんですが、分解能と精度感はまったくもって劣るけどバランス感覚ではEX800STに近いんじゃないかなぁ、と。聞きやすく自然な音って意味では悪くないんですよね、付属のNCイヤホン。ほんと付属品だからって侮り過ぎててごめんなさいって感じです。でもって、これで『雪が恋しくて』とか聞くとすごいボーカルが生き生きしてて楽しい。もちろん同時に鳴ってる楽器の数が多くなると音も混濁してくるしEX800STのように響きが綺麗に伸びてるところもバッサリ聞こえなかったりはするので当たり前に別物の音ではあるのでA860で付属で満足してしまうのは実にもったいないんだけど、初めてウォークマン買うよ!っていう人がA860で付属イヤホンでというなら、まずはこれがエントリーなんだという点としては全然及第点なんじゃないかと。少なくとも林檎の白いのよりは全然いいですから。比較すること自体、ウォークマンの付属イヤホンにとって失礼になりそうなくらい。今まで付属品だからってダメだろう的な扱いしてて本当にごめんなさいって感じで。移動中とか余暇にちょい本腰入れてゆったり音楽を楽しもうって向きには音質的に物足りないものであることは間違いないとはいえ、上を知らなければこのイヤホンでも十分じゃないだろうか?なんて思ってしまった。A860の場合は本体性能も高いから、それに底上げされてるというのもあるとは思うんで。A850の場合は軽く試聴してもう使わないよって思ってたくらいなんで。わりとベタな音なんじゃないかって気はするんだけど、付属でこのレベルならかなりいい方だと思うんですよね。ぶっちゃけてしまうと『曇天』が一番聞きやすいと思ったのは、この付属のイヤホンです。糞耳と呼ばば呼べ(苦笑)。『コスモスに君と』を聞いても、過度に鮮明な表現をするでもなく、落ち着いた音質で聴きやすいです。落ち着いた曲はどうだろうってことで他に『Repose of souls』とか『さくら』とか聞いてみたんですが、付属品でもなかなか良かったり。そりゃ当然EX600とかEX800ST、EX1000に変えれば響きのよさとかレンジ感とか全然違うんですけどね。でもまあ、それを知らないんであれば、これでも十分じゃないかなーと。ただ、大事なことだから何度も繰り返してますが、A860を使っていてこれで落ち付いてしまうのはもったいないから、せめてEX600以上のイヤホンはおすすめしたいところです。EX510だと逆にバランス崩してしまいかねないんで、それであれば付属で十分ですが。記事中でとっかえひっかえしててわかりづらくて申し訳ないんですが、そう思って『さくら』を付属で聞いた後にEX600で聞いたら、音場感とか分解能、鮮度感が段違いに良いんですよね。悩ましいもんです。
そんなこんなでA860で付属のイヤホンは良いものなんですが、付属以外のソニーのイヤホンで選ぶなら、音質・値段の双方から考えるとEX600ってかなりありな選択肢だと思えます。鮮明さがまず変わるので、イヤホンに金なんてかけても…と思う人にも違いがわかってもらえるんじゃないかと。EX800STやEX1000ももちろん良いんですが、傾向がそれぞれ異なり過ぎるしかかる金額も本体同等だったりEX1000だと本体よりも高くなってしまうので、あとはそれらの音質の傾向と好みの問題なんじゃないかな、と。いくらか聞いていてEX600やEX800STは結構下品な音楽からそうでないものまでわりとそつなくこなしてくれるんですが、EX1000はどっちかというと音楽的にもがちゃがちゃしてないものとかじゃないと合わなさげな感じで。A860とEX1000で『曇天』や『MY BOY』や『Rock N Roll McDonald's』を聞いても音は綺麗なんだけどあまりわくわくはしないんですが、『Overture』を聞くと「おぉー、すげー」となるので。まあ、EX1000の特徴として低音が薄いというのはどうしてもあるので、もっと迫力欲しいなぁとは思いますが、すごいものはすごい(低音が景気良く乗ってくるという意味では付属やEX800STの方が迫力はあったりします)。
そのあたりは好み次第…ということで。
それと残念だったのは、A850のときは結構いいじゃん?と思っていたEX510がA860とは結構合わなかったこと。これは意外でした。しかも同価格帯だったはずのEX90と段違いで差がついてしまうとは…やっぱり研究に研究を重ねて仕上げられた製品とその世代をまたいだ後継機扱いのものでは違うのだなぁ、と(厳密には後継機ではないようですが)。それでA860って結構残酷なプレーヤーなんだなーと。なんでかって、綺麗に聞かせてくれるというプレーヤーなのであればEX510でも粗を見せずにEX90っぽく聞けるのではないかってA850を使ってたときの感想を元にした予想があったわけで、まさかEX510の音がこんなに残念だとは想像だにしなかったわけで。そういう意味で他の低価格機(EX50とか)を聞いてもやっぱり良いところはいいんだけど粗もはっきり描きだすプレーヤーなので、A860ってある意味ではイヤホンには厳しい残酷な機種だなと思ったですよ。下手なイヤホン使えません。A860で音が変だなと思われたなら、まず手持ちのイヤホンを疑うべきかと。付属品のバランスはそういう意味では絶妙なんですよね、変に小細工されてるわけでもないから粗は出ないけどA860のすごさをめいっぱい堪能するには物足りない、と。
残酷ついでにというわけじゃないんですが、番外としておまけでShure E500をA860で使ってみた感想を。
まずは『Overture』から。すごい臨場感と迫力はあるんですが、低音がぶよついちゃって微妙な感じ。あと、レンジが狭い感じがするんですよね。低音が低いところまで出来ってなくて、高音が足りないような。正直な話、EX800STだと低音の重みと迫力ではE500に譲るんですが、締まりがあってきっちり聞こえて気持ちいいのはEX800STの方ですね。『雪が恋しくて』でも低音が妙にぼわぼわしてしまって、中高域は分解能は高いなーと思うんだけど音が冷たいんですよね、鮮度もEXシリーズに譲る感じ。過去に分解能が高い高いと言われたShureのBAのイヤホンとはいえEXシリーズの分解能もそれを追い越すレベルで仕上がっているので。『曇天』ではボーカルは綺麗に聞こえるんですが、ギターがかなり雑に聞こえてしまい残念。『ダイアモンド クレバス』も全体的に詰まった音になってしまっています。『消失点-Vanishing Point-』を聞くと密閉された中での濃密な細やかさがあって面白いですが、広がりは感じないんですよね。『さくら』でも同様で、緻密さは感じるんですが音がなんか冷たいのと、響きはいいけど狭い感じがするですよ。
E500を買った当時は他にこういった音質重視のイヤホンがあまりなくて競合機といえば10proだとかER-4PとかのBA機しかなかったように思うんですよね。それ以前に使っていたのがShure E5cだったこともあってE500は良い音していると思っていたんですが、EX90を手にしてE500より良かったということでE500を使わなくなってしまってました。今回、改めてと思ってE500を引っ張り出してみたんですが、EX90当時でE500より良いと思ったものなので、EX600以上の機種にE500が敵うわけなかったという当たり前の結果になりました。もちろん好みの問題などもあるからこれはわたし個人の感想ですが、どう贔屓目にE500を見たとしても正直にEX600やEX800STやEX1000の方が綺麗に聞こえるのでしょうがないという感じで。
以上、改めて一通り聞き比べてみた感想でした。
えらく長くなってしまって見辛くてすみません。
わたし個人的にはA860にはEX800STが良いなとは思っていますが、低音が濃くなりすぎてしまうという印象はあるので、そこは好みの問題でEX600やEX1000を選ぶというのがよさそうです。緻密な解像感で細かく音を拾ったり雑味のない響きというのを求めていくとEX1000になるんですが、楽しく聞けるのはEX600かな?というのがまとめの感想です。
すでにA860とそれぞれのイヤホンをお持ちの方は感じ方の個人差はあれどある程度はご理解いただけるかと。また、行間を読まれるのもアレかと…ネタですので。A860を買ったけど付属以外のイヤホンを検討されている方は実際に買ってみて「こういうことがいいたかったのかー」とか「ちっ、騙されたーw」とか、いろいろ思っていただけると面白いかもしれず。
| 固定リンク
「AV機器」カテゴリの記事
- ハイレゾ対応機種中、バッテリー持続時間最長のwalkman NW-ZX100を買いました(2015.10.10)
- NW-ZX2の4極ジャックについて、walkman井戸端会議の結果を受けて、さらに考えてみた(2015.07.30)
- walkman井戸端会議に行ってきました(後半)(2015.07.23)
- walkman井戸端会議に行ってきました(2015.07.21)
「ヘッドホン類・アンプ類」カテゴリの記事
- MDR-EX800STをNW-ZX2用の4芯4極プラグ仕様にしてみた(HiFiMAN結線準拠)(2015.05.06)
- MDR-CD900STにMDR-1Aのイヤーパッドを付けてみた(2015.04.07)
- MDR-CD900STにMDR-1A用ケーブル・MUC-S30UM1を取り付けてNW-ZX2専用化してみた(4芯・4極プラグ化)(2015.02.20)
- MDR-CD900STにMDR-1A用ケーブル・MUC-S30UM1を取り付けてみた(4芯化)(2015.02.06)
- MDR-CD900STのプラグをFURUTECHのFT-735(R)にしてみた(2014.09.16)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
変換機+VXSAの検証楽しみにしてまーす
投稿: a | 2011年10月31日 (月) 18時43分
aさん
コメントありがとうございます。
製品は受け取っていますが諸事情で動作確認すらまだです。
うちもPS3が常設ではなかったり、撮影場所の確保など、いろいろ問題がありまして。
ぶっちゃけてしまうと個人的にはPCでVXで満足できてたりとかで、あまりPS3でゲームしないのでとかあって進んでません、仕事がきついってのもありますが。
しばらくおまちください。
それと一応ネタ違いにもなるんで、あまり関係ないエントリへこの手の投稿はお控え願います。
投稿: 釘町阿梨 | 2011年11月 2日 (水) 08時46分
読ませていただきました。とても面白かったです(^^)自分は付属、EX300、EX85で試してみました。やはり付属の方が綺麗ですね。300はモコモコした感じでEX85は低音が強くない分まだ聴きやすかったですね。自分はもうすぐ800STを購入するつもりなのですがこれを見て余計に楽しみになりました。有り難うございましたm(__)m
投稿: cohe | 2012年3月 9日 (金) 03時52分
coheさん
コメントありがとうございます。
A860付属イヤホンは、よく聞けば実によくできたイヤホンなので悪くはないんですが、やっぱりそこで止まってしまうのは本体にももったいないのも事実です。
楽しんでいただけたようで幸いです。
EX800STは良いイヤホンだし、A860との相性も良いので、購入されたら末永く愛用してあげてください。
投稿: 釘町阿梨 | 2012年3月 9日 (金) 23時34分