新世代ボトムズ・ケース;アービン、見ました。すごい良かったです。
まずはじめに、ごめんなさい<挨拶
確か企画が発表された時点では、わたしもどちらかというと期待してなくて、こりゃあかんやろーなんて散々言ってたクチなんですよ。
装甲騎兵ボトムズ ケース;アービン
ようやくBD引き取ってきたので見たんですが、あまりに良すぎてそのまま特典全部~コメンタリー~二周目~特典、と、結構繰り返し見てしまいました。
こういうボトムズ、全然ありじゃないですかね。
見てくれのキャラデザインが舞-HiMEなどの久行氏なので硬いボトムズの世界観じゃないだろうとか散々突っ込みもあったと思うんですが、実際見てみると作中の描き方次第でこんなにもシリアスにできるんだなぁと、驚きました。感動した。
メカアクションがほぼ手描きでガンガン動くのもすごい。見どころかなりたくさんあります。アクションについては実際に見ていただくとして、キャラクターのやりとりがすごく良かったんですよ。変に湿っぽくなくボトムズらしく乾いた部分が大きいんですが、舞台としてはバトリングが成り立ってるんで戦後なんですよね。要するにテルタインによるリド襲撃後。それでアービン自身もライバルのペイガンも帰還兵、そのアービンの裏の仕事仲間のシラフも帰還兵だし、おそらくは取引相手のデニスも。で、アービンの妹のドナは兄を戦争に取られて、ようやく戻ってきてくれたので今の生活を一生懸命やってるっていうのがしっかり出てて、良かったんですよ。大騒動のきっかけも、今いる星を出てもっといい生活をしたいっていう願いからだし、アービンが裏稼業に手を染めているのもそういう理由で。いかにもあの世界の戦後らしいところが、わりとわかりやすく描かれていていいんです。今回はアービンにスポットが当たっているので、アービンがなぜ負け役しかやらないのかとか、相手を倒すことを極端に嫌っているのかなども描かれていましたが、見方を変えればペイガンだってバトリングでのああいう行動にはそのルーツがあるだろうなわけで、戦場であることにやたらこだわっていることに理由があるはず、とか、そのあたりはもっともっと深く見てみたくなる作品でした。
そこらの話でいえばドナの物語だって気になりますしね。ほとんどATの戦闘シーンなんてない作品にはなるんでしょうけど、そんなの関係なしに見てみたいですね。
ていうか、ドナかわいいよドナ。
ひさしぶりにあいなまさんのシリアスな演技見ました。堪能。このところみつどもえの吉岡ばっかり見てたから、あっちから音声抜いてこれにあてたMAD作りたいなーなんて不謹慎な妄想をしてみたりもしたんですが、いやドナはドナだわ、これは他には考えられないと…コメンタリーの素のあいなまさんは、わりと吉岡寄りで面白いんですけどね(吉岡というよりはけいおん!の唯って地が近い気がしますね)。ドナ単体でかわいいんじゃなくて、アービンを心配して気にしてるドナがいいんですよね、そういうシーンが実によく出来てて。だからラストのアービンを迎える言葉がぐっとくるわけで。
イシュルーナさん?
あ、実に残念な人でした(苦笑)。
遠藤さんがアフレコの時に音響監督さんに「もしかして私のキャラって残念な人ですか?」とかつっこんだらしいんですが、いやもう実にすばらしい残念さでした。
間違いなくその残念っぷりを狙ってるキャラなので、残念でいいわけですが。後半のツインテールイシュルーナ様は結構良かったんですけどね、本性がバレてからもう本当に残念(苦笑)。乳と尻ばかり注目されがちですが、その言動の残念っぷりこそがこの人の持ち味なんだと思います。キャラデザイン上では若く見えますが実際いくつなんでしょうね、ドナに対して大人をからかうなみたいなことも言ってるから20は超えてるんでしょうけど。
それからシラフさんがいい人すぎて。いろんな意味で。白鳥さんの演技ももちろんすごいからなんですけど、こういう地味に脇をしっかり固める登場人物が上っ面だけじゃない部分でしっかり描かれているというのは好感度高いですね。大騒動のきっかけといえばこのシラフさんが揺れてしまったことにあるんだけど、それで自分を責めてペイガンに立ち向かうあたりとかは地味に良い展開でした。
デニスさんはみなさんお待ちかね?な、広瀬正志氏のキャラなんだけど、今までのボトムズシリーズにいたエキセントリックだったりどうしようもなくろくでもない小悪人ではなく、この人もいい人。バトリング選手だけど、リアルバトルには出ないっぽい感じの人でしたね。この、デニスさんとアービンの信頼関係の付き合いみたいなのもいい感じ。
コメンタリーや舞台挨拶での、アービン役平川大輔さんや福山潤さんのコメントもとても熱いです。平川さんの役作りに対するコメントや、福山さんのボトムズファンっぷりがうかがえるエピソードなんかは面白かったです。
たぶんまた何度も見返すと思うんですが、ケース;アービン、本当に面白かったです。こういうボトムズも全然ありですね。
ネタ的にボトムズなので見終わった後に爽快感があったりするような作品ではないんですが、見た後の満足感みたいなものはとにかくすごかったです。いいもの見させてもらいました。
わたしも見る前はどうなんだろうと結構否定的な部分が大きくて実際そういうことも言っちゃってたので申し訳ないんですが、いわゆるキリコの物語のTVシリーズボトムズのファンの方にも、これは一度見てみてほしい作品ですよ。こういう見方のボトムズもありなんだ、と。メロウリンクとかコミックスのクリムゾンアイズともまた違った視点ですが、これはこれであり、面白いです。単品なのが惜しいくらい。コメンタリーなどでキャストの方もおっしゃられていましたが、できればシリーズで見てみたい作品ですね。
本当に良かったです。
ちょっと思うところがあったのは、TVのボトムズシリーズは直接の親が戦争に参加したり体験した世代の生みだした作品ということで、監督や絵を描いた人たち自身がまだ戦後といった空気を体験した世代なので、ボトムズそのものなんかも作中のそんな雰囲気が結構生々しいように感じるんですよね。スコープドッグのデザインの生い立ちだったりとか、キリコがいやされる物語にしようという当初の目標だったりとか。そういう空気は実は初代ガンダムとかにも言えると思うんですよ。で、今回の新ボトムズは、それらのアニメを見て育ってきた世代が作ったボトムズということで、すでに戦争の実体験というところからは遠い世代の作ったものなわけで(当然わたしなんかもそのあたりの世代に含まれるわけですが)、それでも戦闘や戦争を見た目のカッコいいものや綺麗事のショーとして描くのではなく、先の世代の思いを継ぐようなしっかりした描き方をされていて、そういう重さの部分から逃げずに作劇しているところも非常に好感が持てました。あまりこういう比較はどうかなとも思うんですが、わたしがガンダムUCをあまり好きじゃなかったりする理由はそこらへんにあったりもするんですよね、MSカッコいいとかアクションカッコいいとかそういう方向に振っていて、初代ガンダムが伝えようとしていたであろう人と人との物語の重さという部分がUCからは感じられなかったので。あれは映像化されてオフィシャルだから正史に組み込まれちゃいましたが、わたしとしてはガンダムをアニメ的カッコよさの部分だけでとらえた二次創作でしかないと思っています。それに書き手がオリジナルの富野氏でもなければ、絵師の安彦さんにも逃げられてるという始末では、あれを正統続編として見ろというのはバンダイビジュアルの押し付けとしか思えないという辛い部分もあって。しかし、ケース;アービンは、そういう思いを跳ね飛ばすくらい生真面目にしっかり作られていて良かったんですよ。
他作品との比較の話はさておいて。
BDの特典のピクチャードラマは絶対に本編見た後で見た方がいいですね、面白さが倍増しますよw
それからインフォーメーションでの旧来のボトムズシリーズのロゴを見て安心してしまったりというのもなくはないんですが、あれはあれ、こっちはこっちでちゃんと面白いので、新しいボトムズというのも作り方次第だとは思うんだけど全然ありなんだなーとは思いました。正直なところ、幻影篇でキリコの物語の続編というものに厳しいものも感じていたので(それでも孤影再びはかなり期待しています)、次のボトムズファインダーも楽しみにしてるんですが、もしあるならばケース;アービンからの派生作も見てみたいです。
というわけで、未見の方がいましたらおすすめなので是非どうぞ。できればBDを買って、特典も含めてがっつり楽しんでほしいですね。舞台挨拶とかコメンタリーでもブックレットでも、スタッフさんやキャストの方々の思い入れがすごいたっぷり楽しめますし。
OVAとしては、ひさしぶりにすごく満足できたものでした。
かなりおすすめです。
TVのボトムズ未見でも楽しめるようになってますよ。
すごい良かったです。
未見の方でもご興味わかれましたらぜひどうぞ。
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