MDR-EX800STを外でも使ってみた
※201010241118:若干追記しました。
先日届いたEX800STを家で慣らしで流すのも我慢できずに持ち出して使ってみました。
そこで、MDR-EX800STをしばらく使ってみた感想を。
着け心地は良いかもと書いていましたが、良いというか、まあ、こんなもんだろう、と。E500というよりもE5cなんかのガイドつきの機種に慣れてた人なら許容範囲。つけづらかったり取り扱いづらいことにかわりはないです、だからEX90のようにライトにイージーに装着できる機種ではないです。ちょっと負荷感あるし。でも着け慣れてしまえば自然と馴染むと思われ…若干の引っ張られ感はありますが、それもE5cとかとあんまり変わらない感じだし、こんなもんでしょう。
そもそも耳に異物を突っ込むわけだから、フィットしてきもちいいー!的な感触を求める人は他行ってくださいって機種のようです。要するにE5cに近いかなーと思いました。
ただ、ガイドの芯線は金属がいいなという話もちらほら見ますが、実際に使ってみてこの素材面白くて良いんじゃないかと思いました。まずはメインのユニットを耳につけて、そのあと耳の付け根に沿わせる感じでなでつけると結構気持ちよくケーブルがフィットするので、これはこれで良いんじゃないかなと思いました。部品取り寄せだとこのケーブルは3600円ほどらしいですが、それも納得です。
ちなみにMDR-EX1000の7N-OFCのケーブルは1.2mが4800円で0.6mが4200円です(CDプレーヤーを修理に出してるついでにソニーのサービスセンターに聞きました)。注文済みで、これも届くのが楽しみです。EX800STのバランス面を考えると標準ケーブルで使う、長い場合は下位機種に付属しているコード長アジャスターを流用するという運用が一番良い気もしますが…。
デザイン面では機種名の印刷がある面は内側に向いてしまうので、外側からはシンプルな黒いイヤーレシーバーが刺さってるなーくらいのイメージしかわからないです。ここは惜しいですね、あからさまに赤・青で機種名の印刷が外に見えないのはもったいないんですけど、これはこれでいいとも言えます。ただ、使っていて印刷が消えなきゃいいんだけどという心配が(苦笑)。
遮音性は装着して音を鳴らしていない状態では、さほどないと思われます。今、これを書いているときもつけっぱなしにしてみているんですが、ThinkPadのキーボードの打鍵音が普通に聞こえてきますし。イヤーピースはノーマルのMサイズです(ソニーのイヤーピースは、わたしの耳だとMがちょうどいいんですよ、Sだとスカ抜けるしLだと大きすぎるですよ)。そういう意味ではShureなんかのトリプルフランジの遮音性とかは異常によく効いてるってわかるんですよね(苦笑)。トリプルフランジでも打鍵音は聞こえますけど、EX800STのノーマルのMサイズほどじゃないです。
なんとなく気になったのでShure E500にくっつけてたトリプルフランジを無理やりEX800STに取り付けてみる…ステムの径が違うのでちょっと苦労しますが、なんとかとりつけられました。耳へ突っ込むとトリプルフランジは長いのでちょっと装着にも苦労します。長いから耳から飛び出してかなりギャグか?って状態に(苦笑)。でも遮音性は上がります。通常付属しているイヤーピースよりも全然いいです。音もなんとなくこの方がいいかなーという気がしなくもなく…装着しづらさは格段に上がりますが、遮音性も格段に向上します。以前、E500を常用していたときに丈詰めしたトリプルフランジがいいねってことがあったんですが、もしかするとEX800STも、Shureのトリプルフランジを流用して丈詰めしてつけてやるといい感じかもしれません。トリプルフランジ買ってきて試そうかな?ソニーがハイブリッドピースのバリエーションで純正で出してくれたら嬉しいんですけどね、そりゃないか…ってことで、丈詰めトリプルフランジでの運用を検討したいですね。あれ、慣れない人にはダメダメらしいですが、ハマるとトリプルフランジ以外のイヤーピースは考えられないくらいハマりますし。EX800STの開発者さん的にはこういう使い方は眉をひそめてしまうんじゃないかと思いますが、たぶんノーマルMよりもトリプルフランジの方がハマったときの遮音性と音そのものについてもよさげな気がしました。
無音時のノーマルでの遮音性はそれほどないんですが、音が鳴ってしまうとかなり気にならないレベルです。というか、音を出してるとかなり外の音をマスクするのでちょっと怖いかも、くらいの状態になります。
ただ、音が鳴ってる鳴っていないにかかわらず、ユニットそのものがでかいので、風が吹いたりすると風切り音は盛大に耳に入ってきますね。これはまだトリプルフランジでは試してないのでノーマルのMのイヤーピースでの感想ですが、そういう意味での遮音性は無いです。
※音質についてはのちほど自宅でいろいろ試して、当然ですがやっぱり純正品でバランスがとられているようなので、基本的には付属品の中でサイズ選択するか、ソニーから出てるイヤーピースの中から選択するのがいいようです。装着感や遮音性から他社製をつけるのはありかもしれませんが、音質面でのバランスを考えると他社製では設計者の意図した音はおそらく出ないんじゃないかと思われ。であれば、普通に純正で使うのがいいのかな、と感じました。
ケーブルのタッチノイズはさほど感じません。そこらへんはソニーのイヤホンではカナルでもあまり感じたことはないですね。基本的にケーブルがしなやかなのであまり響いてこないです。DENONのエラストマー被膜のケーブルの機種なんかだとボスボスと盛大にタッチノイズが入ってきたりとかいうのは経験してるけど、ソニーのイヤーレシーバーではそういうのはあまりないですよ?で、例にもれずEX800STもタッチノイズはほとんど気になりませんでした。
音質は…外で聞いてみたときの印象を改めて書くなら、今まで全部の曲をCD900STで聞いてきたわけでもなかったりするので(CD買って初めて聞くときはCD900STで聞くようにはしてるけど、外出時とかで使用頻度が高いのはEX90だから記憶にある音というのはどちらかというとEX90の音なわけで)、EX800STで聞いた時の驚きはものすごくありましたよ。今まで散々聞いていた曲なのに「あれ?こんな音入ってたんだ」とか「へー、こういう鳴り方してたんだ」「こんな曲だったのかー!」という新鮮な発見がいまさらにしてありました(苦笑)。解像度がEX90よりもぐっと良くて聞きやすくなっているからなのかボーカルや演奏で潰れていたりむにゃむにゃと聞きづらかったり歌詞がわかりづらかった曲なんかでもかなりはっきり聞こえやすくてわりといい感じです。試しにEX90のときに微妙だなーと思っていた曲を聞き直してみると…あー、EX90だとただやかましいだけであまり聞きたいとも思わなかったGO! GO! MANIACが聞きやすい…聞きやすくなってもダメなもんはダメですが(苦笑)。逆にfripSideの曲なんかは改めて聞いて良いなーと思いましたね。しょぼいイヤホンとかだと潰れちゃったりシャンシャンして聞きづらいことが多いんだけど(EX90ならまあなんとか…という感じですよ)、EX800STならかなり気持ちよく聞けます。普段よく聞いてるアルバトロシクスでも、とってもヴィーナス!みこおねえさんとか、同じmikoおねえさんの曲でパーフェクトさんすう教室の速いボーカルなんかがかなり聞きやすくなっててちょっと面白かった(w
他にも外で聞いていて「おー、こんな音出てたんだー」と思ったのがHello,worldとかの岸田さんのオリジナルのアルバムから。暁を映してなんかも好きだったりするので聞いてみてたんですが、ギターの細かいところがなまって潰れたりシャンシャンせずに良く聞こえていい感じです。
さ行は刺さらないですね、解像度高くてモニタでというとそこらへん突っ込まれるとこかと思うんですが、そういう印象は一通り聞いてみても特にありませんでした。というか、とにかく落ち着いた音なので…高解像度なんですがそれをことさら演出しているわけじゃなく、本当に自然に細かい音もちゃんと拾う(用途的に当たり前か…そうじゃないと使い物にならないでしょうし)、くっきり聞こえるんだけど聞き疲れする音ではないなーと思いました。そんなだから、高音強調系とか低音増強タイプのイヤホンを普段は使ってるような方にとっては、ぱっと聞いた印象では地味とかそういうイメージになってしまうかも知れないので、あまりそういう方向の好みの人にはおすすめしないですよ。全体的に丸くてなまったような音に感じられるかもしれませんし。しかし丸くもなくなまってもいないんですよね。解像感高くてエッジもきっちり出してくるけどことさら強調はしない、ただしアタックと締まりはいいので鮮明に聞こえるわけです。なんだか不思議な感覚です。高性能なんだけどそれを無闇に主張しない、という大人しさがあるかな?と。そんなわけでebullient futureを聞いてみたりしたけど、ちゃんとベースの低音止まりますね。だらーっと流れたりしない。いい感じです。この曲についてはイヤホンとかよりもアンプの駆動力がモノをいってくる場合があるのは経験してるから難しいところですが(AH-D7000なんかでしょぼいアンプだと低音の制動が効かずダダ流れになって泣ける)、NW-A846とEX800STの組み合わせで聞いた感じでは悪くないと思いましたよ。
ところで、昨日の感想でもEX800STはCD900STよりも濃ゆい音が出てると思うと書いてますが、開発のコンセプトがどうやらそういう狙いのようです。
SONY渾身の逸品イヤフォン、MDR-EX800ST!スタッフレビュー!:宮地楽器 RECORDING GEAR:RECLOG
宮地楽器さんの記事なんですが、ここにスタッフレビューがあります。とても興味深い記事ですので、読んでみてほしいです。
キャリングケースは耳に沿わせた形でそのままポンとしまえるものではないのですが、ケーブルのガイドも芯が金属じゃないからふにゃ曲げしてもあとで問題になるようなことはなさそうで、ケーブルが長いのでぐるぐる巻くんですけど、それと一緒にわりと無造作に収納してもいい感じです。使いやすさでいえばここは並なんですが、キャリングケースとしては必要十分。メッシュのポケットがあるので、端子が本体に当たって傷が気になるとかいうのであればプラグ部分をメッシュポケットに突っ込んでケース内で暴れないように入れてあげればいいんじゃないでしょうか?
外へ出て持ち歩きで使ってみた感想としてはこんなところですよ。
常用決定です。EX90は…いままでおつかれさまでした、ありがとう。
でもEX90のきらきらした元気な音もいいんですよね。そこまでくると好みの問題かと…ただ、解像度と聞きやすさは断然EX800STの方が上なんですよ。装着感とか使い勝手はEX90に分がありますけど。EX90がもう手に入らないだけに難しいところですが(後継機種として出てきたEX500が結構がっかり機種でしたしね…今度のEX510はどうなんでしょうかね、EX800STを買っちゃったのでおそらく買いませんけど)。
これ、両方とも音質的にNGです。おすすめしません。
※このリンク先の下の方にケーブル換装時の感想を書いてます、基本的にはケーブル換装はおすすめしません。
基本通り、デフォの状態で使うことをおすすめします。
イヤーピースについてもこのリンク先の記事で聞き比べていて、結果的に標準で付属するサイズの中から選ぶとよいというのがわかりました。
下手によくしようとしてカスタマイズしない方が、EX800STにとってはいいようです。
EX800STでかなり満足してしまってるんですが、方々で絶賛されてるEX1000が気になります。やっぱり欲しいなぁ…。色々な意味で別次元の音らしいですから。ソニーのD型イヤーレシーバーで最高峰だとか…やっぱり試聴してこなきゃダメかな?銀座行くしかないか…行きたいんですけど、時間がなかなか取れないですよ(涙)。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
いつのように詳しいコメント、ありがとうございます。
だんだんEX600の音に慣れてきました(やっぱり駄耳です!)。EX700SLはしばらくお休みさせます(多少の断線があるし)。修理に出す予定だった(金額が問題ですが)のでこれで良しですね。
エージングというのはあまり信用していないのですが、臨場感は出てきた様子です。本体の色合いも「濃い飴色」で高級感があります。
ただ製造(組み立て?)について疑問があります。EX600の耳に当たる部分に型名とともにTHAILANDの表記があります。EX1000は(Japan)と表記されているようです。ソニーの商品案内には「手作業による精緻な音質調整」とありますが、EX600の作業はタイの人が?L側のケーブル取り付け部が堅いのはこのせいかな。最初は接触不良で使えませんでした。
またケーブルの素材はEX1000とは違うようなので「部品取り寄せ」を考えています。どこから取り寄せるのでしょうか。長さは0.6mが丁度良いですが左右に分岐する部分が断線しそうな作りなのが心配です。
イヤーピースはハイブリッドのSかSSを使っていましたが、在庫してあった(Complyから取り寄せた)UE Triple.fi 10 Pro用のフォームタイプSサイズを使っています。ソニー用を取り寄せする予定です。
装着してみて(EX700に比べて)外部の音が大きく聞こえます。本体をよく見るとEX510SLのように本体内側下に小さな穴があります。これで「密閉型」なのでしょうか。
しばらく使ってみるしかないようです。
投稿: mipod | 2010年10月23日 (土) 09時31分
mipodさん
コメントどうもです。EX600、まだわたしは聞いてませんがいいものなんじゃないかなーと。音質調整についてはわかりませんが、そこはEX90も生産国はEX600と同じだし深くは考えないです。人の手でといってもどうやって調整してるのかはわかりませんし、『人の耳で』一個一個調整してるわけではないでしょうから(測定器くらいは当然使ってそれに準じてやってるということじゃないでしょうか?)。
ケーブルは今回の600以上の新機種は断線しても交換ができるのが強みだと思います。高いですけどね。
完全密閉というより半密閉なのでしょう。ソニーらしいつくりだと思います。それが納得できないとか、精神衛生上気に入らないというなら使うのをやめるしかないわけで(苦笑)。
しかし今回のEX800STについては、ある意味ではソニーらしからぬ音作りのような気もしています。今までの機種ならちょっと聞いて解像感高めに振ってあったり鮮明さが目立つように思っていたのですが、今回はおとなしいんだけど実質的な解像度や音質は今まで以上に上げてきていると思いました。これが600や1000に当てはまる話ではない可能性はもちろんあるんですが、とにかく今回は地味に見えつつも地力を上げてきた!という感じなので好感持てます。派手めのいい音を求めている人には向かないかもしれません。
投稿: 釘町阿梨 | 2010年10月23日 (土) 21時37分
私も昨日800STを入手しました。
レビューされていたのと同感の第一印象でした。
一瞬、地味な感じがしますが、すごくバランスが
いい音で聴けます。
私も、イヤーチップはコンプライなどに替えて
ためしてみようかと思っています。
コードもしなやかで、付属のヘッドホンよりは
とりまわしは楽そうです。
私もA847ですが、クロストークが大きくて、
クリアステレオが有効なインピーダンス16Ωの
ヘッドフォンしか選べないので、困っていた
のですが800STが出て本当にうれしいです。
これから、長く付き合っていこうかと思って
います。
投稿: loco | 2010年10月24日 (日) 08時14分
locoさん
コメントありがとうございます。
ぱっと聞くと地味なので店頭試聴などではすぐによさがわかってもらえないんじゃないかって機種だと思いました。
イヤーピースはソニー添付のものが基本だろうということで、それ基準でいろいろ変えてみて変化を楽しみつつ使ってみたいですね。
遮音性ではShureのトリプルフランジがいいのですが、音質的にはどうやらやっぱり標準でバランスがとられているように感じますので、標準での使いこなしをなんとか考えた方がいいのかな?とも思っています。
EX800STの店頭試聴をするところはなかなかないようですが(月産数十台が本当かどうかはさておき…)、EX1000やEX600であれば銀座でも聞けるようなので、一度行ってみたいと思っています。手元にすでにEX800STがあるので比較もできますし。
EX800STがこれだけ良いとEX1000ももちろん気になりますが、EX800STはおそらくは長く作るモデルなのでしょうから、ずっと付き合いたい機種ですね。宮地楽器さんの記事での開発者インタビューでも音づくり的にはCD900STよりもよりスタジオのリファレンススピーカーに近いようなので、そういう意味でもこの音を基準として持っておくのは色々な音源を聞く上で参考になるのかもしれませんね。
正直な話、かなり満足してしまっていたりします(苦笑)。でも、モデルナンバー的に上があって試聴できるのなら、知っておくことは損じゃないかな?とも思うので、いずれEX1000の試聴は行ってきたいですね。
投稿: 釘町阿梨 | 2010年10月24日 (日) 10時42分