USBオーディオとAT-HA20で聴き比べる各種ケーブル類、ちょっとがんばれば手の届く価格帯での決め手を探ってみた
USBオーディオというかUSB-DACなのですが、こちらの紹介がまだの状態で大変申し訳ないと思いつつもひとまずはこんな比較での試聴会を何人かで集まってやってみたので、忘れない形で残しておこうかと思いました。
PC->USBオーディオ(DAC)->AT-HA20->mh256
デスクトップなりで手軽に構築できるヘッドホン環境ですね。
単体で完結していないのは、最近ND-S1やhiFaceなどを経由してデジタル出しするPC環境がそれなりに認知されて、そこからDAC込みのヘッドホンアンプへ行くパターンが増えたりしてるのかなーというのと、USBからクリエイティブやエディロールなどのサウンドユニット(DAC)を経由してヘッドホンアンプへ行くパターンもありかな?ということで、前者ではそこそこ定評のあるところでCarat RUBY2だとかHP-A3(HP-A7は実に残念でしたが、A3はわたしは聞いたことないんですが評価は高いようですね)やDr.DAC2なんかがあり、しかし価格はそこそこしてしまいます。最近出たRATOCのRAL-2496HA1がかなり面白いらしいですね、安価で音もかなりよくてHP-A3が完敗とか…聴いてみたいです。では後者なら、クリエイティブあたりのUSB Sound Blaster Digital Music Premium HDなんかをDACにして外部ヘッドホンアンプを使うといった手があり、そこからお手ごろな低価格ヘッドホンアンプとしてオーテクのAT-HA20へ…という、これなら両方合わせても2万円かからないんだけど、そこからケーブルでどう詰めていくか?というのを試してみたわけです。ついでにたまたま手元に持っていたAT-HA20を見直してみようってきっかけにもなりました。
試聴機材は冒頭に書いた通りで、要するにUSBオーディオの部分が未紹介な機械で申し訳ないんですが、オークションで入手したこちらのものになります。
オーディオ機器を作る
ここで紹介されているTI PCM2706を使ったUSBオーディオとTDA1543を使用したフィルターレス・ノンオーバーサンプリングのDAC、これを直結したノンオーバーサンプリングUSBオーディオという、いわゆる今の大手メーカー品ではお金をいくら積んでも手に入らないものが欲しかった…といのがあって、要するにそれとヘッドホンアンプを組み合わせれば安価でかなり良い環境ができるけど、それにケーブルを変えていくことで、あんまり非常識にならない金額のレベルでどこまで詰められるか?どんなケーブルがよさげか?というのを考えてみた、というのが今回の趣旨。
その前に詳しい紹介は今度機会を作りたいのですがなぜ上記のUSBオーディオに至ったかというと、もともとDACをどうしよう?というのは前から考えていた部分で、わたしの中ではiHA-1 V2SXで完結でもいいかな?と思っていたんですが、色々調べていくと実はノンオーバーサンプリングのものの方が情報をいじらない分ストレートに良い音がでるらしいなんていうのを見てしまい、さらに調べていくと10年ほど昔にわたしが勤め先でほぼ毎日聞いていた機器の中で一番お気に入りだった機種がノンオーバーサンプリングのDACの入ったシステムで、実は47研究所のModel4705 Progressionだったんですよ。当時わからないなりに「これ、他のどのごっついシステムのよりも良い音してますねー」なんて言ってたんですが、当時も今も手の届く値段じゃないなーと半ばあきらめ気味でした。今になって47研究所さんのホームページを読んで、オーバーサンプリングのDACの音を「死臭」とまではいわないまでも共感するところが大いにあったので、なんとかならないかと思っていたところ、上記のyasumasu2-99さんの出品されているDACに行きついたわけです。効果については『ノンオーバーサンプリング DAC』こんな感じでぐぐっていただくと色々出てきますが、たまたまyasumasu2-99さんが完成品のDACを出品されていらっしゃったので購入したところ、ND-S1との組み合わせでびっくりする効果を発揮したので、これでうちのシステムからiHA-1 V2SXが抜けることとなりました(要するにそのくらいすごかった、ということで、いずれちゃんとご紹介したいです)。んで、47研究所さんの理屈からいくと入力から出力の間のデバイスが多ければ多いほど音には負荷になる…と考えたら、ND-S1も省いてUSBから直接ノンオーバーサンプリングのDACに出せるUSBオーディオがあればいいんじゃないか?となるわけで、これも実は47研究所製のものがあるんですがおいそれと買える値段じゃない、じゃあ方式だけは近いものをキットを集めて作るしかないか…というわけでyasumasu2-99さんがUSBオーディオ基板を作られているということもあり注目していたところ、試作した完成品を出品されるというタイミングでありがたくも入札することができたため、それを今のシステムに組み込んでみました。
なので、うちだとそのUSBオーディオ->HD-1Lという構成になってます。実際にはケーブル類なども詰めてるので、それらを羅列するとそこそこの構成にはなってしまいますが、それはまたの機会に。
それぞれS/PDIFのDAI基板とUSBオーディオ基板、TDA1543のDACキットも買ってあるので機会を見てS/PDIF入力とUSB入力を切り替えできるDACを1つの筺体に収めて作りたいなーと思っていますが、今はそれぞれの完成品をPCから、CDなどからの入力にして切り替えて使っています。
で。
PCから音楽を聞くならというところに立ち返り、最近ならRATOCのRAL-2496HA1を買ってしまうのが最適解なんじゃないの?と思いつつもこちらは試せてないし、yasumasu2-99さんの試作完成品はいくつかあったのですが友人分もあわせて良いタイミングで手に入れられたこともあり、その友人が「おまいのシステムだと手が出ないのでもっと現実的な価格でなんかない?」という話が出てたので、ここで冒頭に書いた話につながるわけです。
あいかわらず前置きが長くてすみませぬ。
で、まずPCからUSBオーディオへ出すUSBケーブルについて考えてみよう、となりました。
ちょうどお手軽なところで先日オヤイデさんのd+を比較したこともあり、USBオーディオ向けのステップアップできるケーブルとしては価格帯を見ても他がないのでこれを段階で聞いてみました。
結論としてはClass A良いね、となりました。
お金が出せるなら当然上を狙うなりFURUTECHのGT2を買っちゃうとかもありなんですが、ケーブルにそこまではきついけどちょっといいモノ狙ってみたいという線なら、Class BはいわゆるありがちなUSBケーブルからの変化を体験するにはうってつけだけど、そこから向上効果と価格差を考慮してちょうどよさげなのはClass Aということになりました。Class Bとの比較だと音場の広がりや定位感にぐっと差が出るし、価格的にも2m買って6300円なら効果を考えれば安いねーって話になりました。各Classの詳細などはこちらを見ていただくとして、Class Aでも厳しいならBから始めるのはもちろん良いんだけど、できればAをおすすめですよ。Class Sまで行ってしまうと今度は他社のほぼ同価格帯のケーブルと競合しだして、たとえばGT2のが良いよってことになってきたりもするし、そこまでいくと高いので今回の趣旨からは外れちゃうねーってことで無しになりました。
PCからUSBオーディオまでの線が決まったところで、次はUSBオーディオからアンプへ持ってくるRCAケーブルです。
ここもそんなに高くはかけられないけど、ちょっとがんばれるレベルでなんとかしてみよう、というのが今回の話なので、用意したのが以下の3種。
ビクターのCN-505E、これは量販店とかでうまくいけばすぐ手に入る安くてお手ごろなモデル。Zonotone Silver Meister AC-1001とオヤイデ電気さんの408-SR、こちらは通販するなりそこそこ探さないと置いてる店はなかなかないですが、1m程度で音のよさそうな…ということでこれらを選んでみました。以前このあたりの価格帯で銅線でよさげといわれてるものとオヤイデさんの408-SR(銀単線)を比べてみて圧倒的に408-SRの方がよかったという経験があったわけだけど、ちょっと幅を広げてみようということでAC-1001も比べてみました。
結論は408-SRで決まり。
やっぱり銀線の威力は半端なかったです。
実売ではいずれも6000円前後の僅差の価格で買えるものなんですが、その価格帯で比較するなら408-SRのストレートさと音のキレの良さは抜きんでているものがあるねって話になりました。
AC-1001も取り回しや作りなどで良いものなんですが(408-SRは銀単線なので硬くて取り回しは良いとはいえません)、試聴して良かったのは408-SRということになりました。
で、結果の構成は以下の通り。
PC->d+ Class A->USBオーディオ(NOS-DAC)->408-SR->AT-HA20->mh256
これでも各ケーブルを最短で構成すればヘッドホン抜きで実売レベルでぎりぎり3万円かかってません。
そしてAT-HA20の見直しですが、以前わたしが使っていたときは上流がHD60GD9ECだとかD-NE920などのポータブルプレーヤーのイヤホン出力やラインアウトで、そのときは「ボリューム上げても音量取れないし音場もぱっとしない、ノイズがないのがかろうじて良い点だけど…」という感じでした。
ですが、今回の構成に組み込んでみたところ、ヘッドホンはmh256のままで、ボリュームは実用域ではだいたい9時のあたりまでになると思うんですが(10時まで上げると大きすぎて…人によっては8時くらいの音量で十分と思われるかもしれません)ノイズは感じられないなと思いました。無音のままで思いっきりボリュームを上げると、そりゃそこそこノイズ出てますが、そこまで上げたらたぶんまともに聞けません、つか、耳かヘッドホンが壊れると思われ。そして音場もそこそこ広がりを感じさせてくれてわりと自然な印象で、mh256がそういった性格だからと思ってMDR-CD900STで聞いてみると音場感は薄いといわれることさえあるCD900STが信じられない広がりをもって聴かせてくれる…これはDACの力がかなり大きいですね。そしてAT-HA20は上流にかなり敏感、と。つまりまともなDACに接続するなら、ヘッドホンアンプはAT-HA20で十分なんじゃないか?と思ってしまいました。もちろん上を見たらきりがないですし、わたしも常用してるシステムはHD-1Lになるからそれとの比較ではちょっと…って話にもなってしまいますが、改めて聞いてみたAT-HA20は「かなり良いんじゃないかな?」というものでした。実売9000円前後なら買って損なし、ただし上流はそれなりに良い環境である必要はありそうです。
それと、前にiHA-1 V2SXとHD-1Lで比較した駆動力の差という問題、AT-HA20でも気になったので、これにAH-D7000を挿してみました。結果は、iHA-1 V2SXで感じられたような制動力不足はありませんでした。うーん(苦笑)。まあ、そりゃ音場感はHD-1LとかiHA-1 V2SXで聞いてるよりもみちっと密集した感じになってせせこましくなるんですが、鳴らしきるということについてはしっかりしてるので、その実売価格を考えると意外だなってことで驚きましたね。
冒頭に挙げたラトックのUSBオーディオは興味津津なのでいずれ試してみたいと思っているのですが、DAC+AT-HA20はラインアウトでスルーアウトもできてと考えると面白いしありな構成なんじゃないでしょうか。ラインアウトから外部アンプやスピーカーへも持っていけますし、デスクトップ周りもわりとすっきり小規模で収められる感じです。
そしてケーブルはd+ Class Aと408-SR、結果的にオヤイデさんのばかりになりましたが別にまわし者じゃないんだからねっ!ちゃんとそれなりの根拠があって選んだものを比較した上での結果です。
しかしこれは今回集まって試聴した結果の一つということで、また違った人が集まって違った聞き方とか好みの差とかで色々変わってくるかなとは思いますが、ここらへんの価格帯でどうしようなかー?という向きにはひとつの参考例になればよいかな?と思いました。
余談ですが、この比較試聴をやったときに別の比較も試してたんですが、そこでAH-D7000の意外な弱点に気が付いてしまいました…AH-D7000についてはわたしはわりと絶賛のつもりだったんだけど、MDR-CD900STで聞いていてしっかりと聞こえる音が同じ上流構成なのにAH-D7000で埋もれ気味になっちゃうことがあったんですよね。惜しいというか少し残念だったというか…AH-D7000はわりと死角がないと思っていただけに意外でした。
ということは、曲によっては実は聞こえづらい埋もれちゃう音が他にもあるのかもしれないしないのかもしれない。
余談です。別件の比較での話なので、そちらを書ける機会があればそのときに詳しく…。
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