REAL ARCADE Pro.V3 SAをセイミツ工業のレバーとボタンに換装してSE(Special Edition)化する
※20100504更新:RAPVXの方もやってみました、こちらの記事の方が間違いなく確実な換装ができると思われますので、RAPVXの記事もあとで見ていただけると良いかもしれません。
ホリのリアルアーケードPro.V3 SA…ビュウリックス配置は嫌いだ!だから多分買わないよ!って言ってたわりに、Amazonオリジナルカラー版が出たらあっけなかったですね、赤系の配色だとどうも買う気がしなかったけど、Amazon版は欲しいなーと思ってしまい…つい、やっちゃいました。
「なんで買ったし」とか散々言われたりもしそうなものですが、ホリが旧RAP系のラインナップをオンラインストアからも一掃してしまった今、今後のスタンダードになるのなら手にしておいてもいいかな?と思ったのと、一応中身に興味がなくもなかったこと、Amazon版のベースカラーがちょっといいなぁと思えたことから注文してしまってました。
Amazon版はこんな箱。あんまり変わらないけど、中身の色とイメージを統一させてあってわりといい感じだと思いますよ。
SONYからPS3の周辺機器のライセンスを取れたこともあって、パッケージもXMBをイメージしたものになっていてなかなかいいです。
改造前の本機。ワイドです。
赤系の配色よりも本体が締まって見えると思います。
RAPV系の特徴、サイドの取っ手です。これが実に便利なのですよ、まさか取っ手が付くだけでこんなに使い勝手が良くなるとは思ってなかった…というわけで、筆者はボタン配置を除いてはRAPV系はべた褒めです。
MadCatsのぱくりといわれているケーブル収納部。これも便利。いいアイディアはぱくれ、ということではないのでしょうが…でも、これで実用新案出願とかは盗人猛々しいと思いますよ?ホリさん、そういうのはどうなんでしょうか?とはいえ、やっぱり便利なものは便利。こういう機構を付けてくれてありがたいですよ。
底面です。今回から分解が正式にアウトになりました。なんでやねん?と思いますが、たぶんレバーやボタンを換装しようとして壊して修理依頼したりする人がそこそこいたのかな?と思います。で、ホリはわりと神対応らしいんですが、採算的に厳しいとかがあったのかもしれないし、基本的に分解・改造や換装はメーカーの保証外なんて常識で考えろよJKだぜと魔理沙風に言ってみる…実際そうだし、あまり分解や改造の失敗でメーカーに迷惑をかけるのはどうかとわたしも思いますよ?
というのはさておいて。
RAPV3の感想を書きつつ、換装記事をすすめていきますよ?…いや、洒落のつもりではありません、たまたまです。
今回換装に使うセイミツ工業さんのパーツは以下のとおりです。
・LS-32-01 しっかりした操作性がプレーヤーの要求に高いレベルで応えてくれるセイミツ工業さんのレバーです。
・PS-14-KN 30φのねじ式のスケルトンボタン。今回は標準カラーを踏襲しようと思ったので、ブルー×6、クリア×2を用意しました。
・PS-14-DN 24φのねじ式のボタン。スタートボタンももちろん交換します。写真の時点では青を用意していたんですが、取り付けてみると微妙に浮いてしまって見えたので、あとで黒に交換しました。最終的な完成写真では黒にしています。
・LB-39 35φのクリアレバーボール。デフォのレバーボールは黒なので黒を用意していたんですが、こっちもクリアにしたいなと思ったので、あとでクリアブルーのレバーボールを用意しました。
用意する工具、用意しておいた方がよさそうな工具は以下のとおりです。
・#2のプラスドライバー
・#5~#7程度のテキトウなマイナスドライバー
・4M(ピッチ0.7mm)のタップとタップハンドル
…こんなところでしょうか。イレギュラー発生時は別の工具が必要になったりします、モンキーレンチとかやっとことかトンカチとか。
それから毎回情報収集などで大変お世話になっていて参考にもなっている家庭用アーケードスティックスレまとめWiki、こちらもひととおり覗いてみるといいと思います。
必要な情報がしっかりまとまっていて、なおかつ現行スティックの情報なども網羅されていてとても助かります。
今回の交換作業は、工程ごとの写真は撮っていないので、動画を見てみてください。
簡単に説明を書きます。
底面のねじ六ヶ所を外します。一箇所、封印シールで隠されているので注意。これをはがすと保証の対象外になるそうです。換装するなら外さないわけにはいきません。自己責任でどうぞ。外してしまった方、こちら側の世界へようこそ。
底板を外したら、もうすぐにボタンとレバーにアクセスできます。そして今回はボタンの端子にスリーブが標準で付いているので、着け外しは今までよりも多少は楽です。
ボタンの端子から配線を外して、ボタンはボタンケースの固定つめを押し込みつつボタンケースを天板外側へ押し出すことで、ボタンを外すことができます。新しいボタンは天板表面から差し込んで、天板裏側からリングで固定します。これまでのRAPだとレバー側に一番近いボタンのリングがステーと干渉するので削らなければいけなかったりしましたが、今回はそういう必要がないので全部のボタンを普通に取り付けることができます。
レバーは、まずレバーボールを外します。レバーシャフトの底面にマイナスドライバーをあてがって、それぞれを逆方向に回せば外れます。そして天板のステーとレバーのベースを固定している四本のねじを外せば、レバーを取り外すことが出来ます。セイミツ製レバーのLS-32-01だとこのステーには上下二本でしかねじ止めできませんが、その二箇所を止めることができれば十分です。ねじ山がきられていませんが、一応は元々の三和レバーを取り付けていたねじをねじ込むことでセルフタップのため固定することができますが、動画の中でも字幕をつけているように、安全に作業するならM4(ピッチ0.7mm)のタップを使ってねじ山を作っておくことをおすすめします。四本止めしたい場合はベースの穴に合わせてステーに穴を開けます。下穴は3.3mmのドリルであけて、そこにさきほど説明したタップでねじ山を作ります。レバーの基板のコネクターは元々の三和レバーがついていたものと同じ方向にあわせて取り付けて、ベースをステーにねじ止めしてレバーボールを取り付ければレバー交換の完了です。
あとは底板を取り付けて終わりです。
完成した写真はこちら。
…って、これ、内部ですねw
ご覧のとおり、基板に各ボタンの配線指示が印刷されているので、一気に配線を引き抜いてしまっても何とかなってしまうありがたさはあります。また、見てのとおり天板の内向きの面積がわりと狭く、特にボタン部分は余裕がないのが見て取れます。これはつまり…RAPV系ではこれ以外のボタン配置のバリエーションはあまり望めなさそう、ということです。それと剛性確保のためと思われるリブが各所に走っています。しかし、おそらくはこの詰まった設計のおかげで、旧RAPやRAP Premium VLXのように、ぽこぽこと太鼓のような音が鳴ることはあまりなくなりました。
動画を撮影していたときに協力してくれていた友人がこの内部を見て、ファイティングスティックとあまり変わってない、という話をしてくれました。わたしもその友人が旧X箱用のDOAスティックのボタンを換装しているのを見せてもらったことがあって、確かにそういうイメージだなと思いました。それからサイドの取っ手、そしてこのあとも書くかもしれないけどコンパネ手前の傾斜という工夫…RAPV系は実によく出来ているんですが、つまり旧RAPはアストロやブラストを一人用にアレンジして、なんとかその雰囲気を再現しようとした結果の、本当にこだわりのあるリアルアーケードPro.と名乗れるようなコントローラーだったのに対して、RAPV系はアーケードで採用されているようなメンテナンス性に近づけつつも内部や筐体のつくりはファイティングスティックを進化させていて、それから家庭用周辺機器として使い勝手にもこだわった工夫にあふれた製品といえると思います。
で。
リアルでもアーケードでもないんだけど、使い勝手はとても向上していて操作性に対する配慮も(ボタン配置以外は)しっかりしてる、実にできのいいコントローラーなんじゃないかなぁと思ったわけです。
これは推さねばなるまい、と。いいものなんだもの。
でも、リアルでもないしアーケードでもない。だけどボタンが基板にハンダ付けされているような廉価帯のファイティングスティックよりはずっとアーケード寄りになって…なんていうか、VLXよりもこっちの方が、わたしは出来がいいと思いましたよ。工夫もされてるし。惜しいのはボタン配置と封印シールくらいしかありません。
ところで、レバーを操作したりボタンを叩いたときに音が多少は響いてしまうのは仕方がないことなので、この手のジョイスティックを買って音がうるさいという文句をいう人は買うのやめてください、お門違いもいいところなので。ゲーセンでゲームやったことないのか?とか問い詰めたくなりますよ?それに実際の筐体のレバーを操作しても結構やかましいよ?ということです。静かな家でやるから気付きやすいだけで、ゲーセンでも静かな状態になると結構派手な音がします。閉店後のゲーセンとかでレバーを操作したことのある人はわかるだろうと思いますし、そういう人は少ないとしても同じパーツを使っていて空間自体は筐体のコンパネの方がよっぽど広いので音はわりと響くわけで、少し考えればわかると思うんですが…。この手のジョイスティックを買って音がうるさいという人は、あきらめて普通のコントローラーでゲームやっててくださいですよ。
では改めて、換装後の写真です。
元のAmazonカラーのイメージを残しつつ、セイミツパーツ使ってて綺麗に仕上げてみました、という見栄えにしてみましたよ。
で。
ここでわたしが気になったので、他の人はどうかな?というのはさておいて、今までのRAPとのサイズ比較をしてみたいなぁ、と思ったので、やってみました。
とりあえず何も考えずに並べてみました。
先代RAPは以前セイミツ化したRAP3SAです。
こうして見るとRAPV3はサイドの取っ手部分がちょっと大きくなった程度で、実際のサイズはRAP3とあまり変わらないのでは?ということが見て取れます。
この二枚は、下のAmazon箱の左端にだいたいあわせて、あとは同じような位置に置いたらどう見えるかな?という、比較対象があるとサイズもわかりやすいかな?と思って用意した写真です。
横はワイドになりましたが、前後のサイズについては実際はさほどの差はないのかな?という感じです。これ、天板の前後の奥行きやデザインのからくりでRAPV3は前後にコンパクトに見えてしまうんですよね。
RAPV3の幅はだいたい43cm。
前後の奥行きはだいたい22~23cm。
RAP3の横幅はだいたい40cm。
前後の奥行きは、これもだいたい23cm。
おおざっぱな比較じゃ納得できなさそうな人もいるかな?と思って、巻尺で測った写真も載せてみましたよ?
これでどうかな?
実はサイズ的にはあんまり変わらなくて、ハンドリングの良さと前後が締まって見えることから、RAPV3はワイドなんだけどコンパクトに見える、ってことなんですよね。
それからRAPV3のフロント部の傾斜についてはいろいろ意見のある方もいらっしゃるようですが、わたしは賛成です。これ、実際に手にしてみるとすごく使いやすいんですよ。操作しやすい。
ひざ置き、床置き、いすに座って位置決めして置いたときのいずれの姿勢でもすごく操作しやすいんですよ。で、なんでかな?って改めて本物の筐体であるところのアストロやブラストなんかのコンパネを見てみたところ、いわゆる今までの家庭用アーケードスティックがレバーやボタンの手前部分にかなり広いスペースを取っていたわけですが、実際のコンパネってそこまで手前のスペースが広いわけじゃないんですよね。実際にはRAPV3のコンパネはボタンから手前の傾斜までのスペースというのがいわゆるアーケード筐体のコンパネの広さに実に近いことに気付いたとき、その操作のしやすさに納得しましたよ。これはよく考えられた工夫だなぁ、と。内部基板のレイアウトとかを考慮しつつも操作性も犠牲にしない設計…ホリさん、すごいがんばったんじゃないでしょうか、すごいわ。
散々リアルじゃないだのアーケードじゃないだのと言っているのにべた褒めなのは、そういう工夫が実感できるレベルでわかるからなんですよ。まぁ、コンパネ表面の材質だとか筐体そのものの材質だとか、そこらへんは仕方ない部分もあると思うけど、12800円という定価のなかではすごくよくやってるんじゃないかと思います。
買ってよかった…と、思っていますよ。ボタン配置以外は。
さて。
なんでボタン配置にここまでうるさく言うか、ついでなのでここで残しておきたいと思います。
まずはアストロ・ブラスト配置といわれているRAP3(RAPSA/RAPSE/RAP2/RAP2SA/RAP3SE/RAP3SAなど)の、手を自然に置いたときの写真がこれ。
基準は人差し指の一つ目のボタンにあわせて何も考えずに手を載せているだけなんですが、中指・薬指・小指とボタンの配置が自然に合っているのがわかるんじゃないでしょうか。エルゴノミクス・人間工学だのと難しいことをいう気はさらさらありませんが、普通に考えて操作しやすい配置というのは指に無理がかからないで操作できることだと思うので、この配置はありなんですよ、そりゃエアロシティやテーブル筐体のころのゲームはボタンは多くてもせいぜい3つだったからテキトウな配置のコンパネが多くて、ボタン配置なんてここまでとやかく言わなければいけない問題ではなかったのですが(それでもストIIあたりからは配置に工夫と考えをこらしたコンパネになっていきましたよね)。ネオジオ初期とかとんでもない配置で営業してるゲーセンはざらにありましたし。
で、これがいわゆるビュウリックスを模したというRAPV3の写真。
薬指が結構きつくて、小指はもう端のボタンから外れちゃってます。これ、押そうと思ったら結構無理な動きをさせて、指をつっぱらからせないとボタンが押せません。
ストII系とかの3ボタン2列のゲームまでならこれでも何とかならなくもないですが、NEO-GEOタイトルとかで横に4ボタン使いたい場合とか、6ボタン標準のゲームでも家庭用だからカスタマイズして横に4つ使いたい場合は、これは結構致命的だったりします。
先に述べたエアロシティとかの時代のボタン数の少ないゲームが多かった時代の話じゃなくて、今、アストロやノワールといった優れた配置のコンパネが出ているなかで、なんであえてろくに操作性も考慮していると思えないようなビュウリックス配置を採用しちゃったのよ?と思うわけですよ。
ま、どうせTE対抗かストIVプレーヤーを購買層として狙い撃ちにしたいからビュウリックスにあわせた程度の話なんでしょうけれど…タイトーの筐体はボタン配置とかろくに考えてないから好きじゃないんですよ、それがホリブログなんかでタイトーも調子に乗って『ボタン、スティックのレイアウトは、多くのアーケードユーザー様から支持を頂いております。以前の筐体よりさらに極めたものとなっております』なんてコメント寄せちゃってるし。いや、たまたまストIVの稼動筐体が基本的にビュウリックスだからそれでやってる人が多いってだけで、汎用筐体としてのビュウリックスの出回りをみればタイトーの配置が支持されてるわけじゃないことくらい普通の人ならわかりそうなもんですが…。ま、同コメント内でタイトー自身がビュウリックスがたいしたものじゃないって認めちゃってるのが突っ込みどころではあるんですが…『操作性、外装の質感は、アーケード筐体と同等レベルに仕上がっております』ってPremiumの話ですが、ビュウリックスってあの程度に安い作りなんだ、作り悪いなぁ、と…実際ビュウリックスってそうだし(そう考えるとPremiumの安っぽい作りの悪さにも納得いくわけで)、Premiumのなんて作りの悪いスティックではユーザー様のアーケード魂が揺さぶられることはないですよ?と。同記事内のケイブの方の気のないコメントも苦笑ものです(そりゃケイブのゲームはビュウリックスで稼動してるのなんてほとんど見たことないしね、三和がデフォのビュウリックスじゃ合わないし)。ホリからコメント寄せてって頼まれて無理やりコメントした感がありありで、もうね。
今回の動画撮影に協力してくれた友人が実はTE(新TEじゃなくて前のモデル)を持ってたりして、わたしも触らせてもらったんだけど、その友人もTEの作りのよさはほめていたけどボタン配置だけはこれはないわってこぼしてましたし。普段ならプレーヤーにもある程度順応性がなきゃダメだろくらい言うかな?と思っていたんだけど、プレーヤーとしてかなりの腕があると思う(わたしなんかよりずっと上手くて操作系にもこだわりのある)その友人がそこまでいう、そしてわたし自身もビュウリックスそのものや、それ以前のタイトー筐体のボタン配置のダメっぷりには辟易としていたので、感覚的には間違ってないのかなーと思ったりもしたので、これはやっぱりはっきりさせておきたいなーと。
ぶっちゃけビュウリックスはゲーセン標準筐体なんかではないし、主流でもないですから。そしてタイトーのダメなボタン配置が今後のスタンダードだなんて冗談じゃないと思うので、こればっかりは金型変更や製作が大変かもしれないけど、なんとかブラスト・アストロまたはノワール配置での新RAPを出せるようにホリにはがんばってもらいたいですよ。
今回の新RAPベースでアストロ配置なりノワール配置のコントローラーが出たら、喜んで買いますよ。だからホリにはそこらへんがんばってもらいたいんですが、Premium VLXなんて斜め上の製品を出してしまう会社だから期待は出来ない?期待したいんだけどね。
…以上、こんな感じでRAPV3のセイミツ化が完了しました。
説明しなかったけど、細かいところではワンタッチスリーブも全部セイミツ製のものに換装しています。やる気があるならファストン端子そのものも換装してもよかったんだけど、そこまで頻繁に開け閉めするものじゃないしー、と思ったので、さすがにそれはやらなかったですよ。
RAPV系は、サイドの取っ手の使い勝手のよさ、ケーブル収納のもたらした収納性とハンドリングのよさ、連射機能の充実、保証外になっちゃうけどメンテナンス性のよさ、そして何より大事な操作性についてボタン配置を除いてはコンパネの広さと手の置きやすさという点でも工夫が見られる傑作コントローラーなので、買って損はしないといえますし、これからのスタンダードだというなら、これはいいものだよーとおすすめしないわけにはいくまい、と思ったりもしました。
惜しいのはくどいけどボタン配置だよなぁ…なぜビュウリックス風を採用したし?と、つくづく残念でなりません。これで天板の設計さえ変わればノワール配置とかも出そうだって思えるならいいんですが、分解して中を見て今の配置以外のつくりにはできなさそうとわかっちゃってる分、切ないですよ?
とりあえずこんなところでRAPV3の換装と感想でした。
スパIVとかBBCSとかのリリースでまだまだこの手の家庭用アーケードジョイスティックコントローラーの需要はあると思うのですが、その中でやっぱりセイミツのレバーとボタンがいい!という人が、換装してみようと思えるささやかなきっかけになれていれば幸いです。
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