« AT-PHA10は、ちっこいけど実力十分 | トップページ | ただの日記です。過度な期待はしないでください。(~20100224) »

2010年2月23日 (火)

iHA-1 V2SXも、やっぱりいいものでした(~20100221)

さて、10日ほど前に到着したizoさんのiHA-1 V2SX、取扱説明書の所定のバーンインの時間を経過してしばらく慣らしたので、友人宅に持ち込んで試聴会をやってみますた。

ひとまずフルセット。
Iha1_v2sxhd1lnds1etc_01
うちでのセッティングだと狭い場所にごちゃっと詰め込んでしまうので、友人宅の広い部屋でこれだけ広げると圧巻ですね。
HPAとかの機材だけだとこんな感じ。
Iha1_v2sxhd1lnds1etc_02
まず、どういう環境かというと…
izo iHA-1 V2SX(今回の主役)
ONKYO ND-S1(意外と効果があった魔法の箱w)
Intercity HD-1L Limited Edition - Winter Version(わたしのもっともお気に入りなヘッドフォンアンプ)
SONY D-NE920(うちのCDプレーヤーはこれが標準…据え置きで良いもの買えよって?でかいの嫌いなんですよ。ちなみにこれのイヤホン端子からは聞きませんよ?)
KENWOOD HD60GD9EC(圧縮音源にしたとしても、CD直接で聞くより良かったりすることがある恐ろしい携帯プレーヤー)
Lenovo ThinkPad T61p 6459A14(うちのメインPC。ノートだけどわりと3Dもすごいです、処理性能もまだまだ現役…まだ数年はこれでがんばるよ?)
DENON AH-D7000(うちの虎の子のヘッドフォン。極上だけどラフに使うにはちょっと恐れ多い。ここぞという楽しみたいときに…なんだかんだで結構ラフに扱ってるかも(苦笑))
SONY MDR-CD900ST(今回は友人宅にあったものをそのままお借りしました。自分のは持っていかなかった…失敗しましたよ、持っていっていれば両方つなぎっぱなしで比較試聴できたのにー)
FOSTEX mh256(写真には写っていませんが、こちらも持ち込みました。MDR-CD900STだと取り回しが気になったり、もっとライトに聞きたいときにお手軽に使えるすっきりさわやか系の音の良いヘッドフォンです…フォステクスさんには、これを限定製品ではなく通常のラインナップとして売り続けて欲しいです、色ももうすこしおとなしめのものもラインナップにのせてみるとか…限定版的バリューも大事だけど、いい音で価格も比較的入手しやすい機種だから、モモーイファンの方だけではなく、もっとたくさん広く売れて聞いてくれる人が増えるといいなと思うです…取扱説明書に開発の来歴とかを書いておけば限定色のプレミア的価値も上がるかもしれませんしね)
以下はケーブル類。
FURUTECH GT2 USB-B(これはND-S1用。付属ケーブルよりも、音の実在感や存在感がぐっと増します)
FURUTECH GT2 USB-mB(iHA-1 V2SX用に用意。ND-S1で結構な効果があったので導入してみた)
ortofon Silver Reference RCA(iHA-1 V2のアナログでのラインアウトをHD-1Lに流すのに使用…これよりいいケーブルはお金を出せばあるんだろうけど、わたしはこれがお気に入り。銀線。圧倒的なストレートさが好き)
OYAIDE DR-510(ND-S1からiHA-1 V2SXへ同軸デジタルで接続するために使用。そんなに高い方のケーブルではないが、効果が半端ないので好き。銀線はよいですよ)
Crystal Cable CrystalConnect PICCOLO CP-MINI-RCA-1M(HD60GD9ECをアナログでiHA-1V2SXに接続するために使用。銀線のストレートさに加えてリッチでコクのある音に変化するので、本当はortofon Silver Reference RCAをもう1セット欲しいのですが、これはこれで良いケーブルですよ)
PURE AV PAV50000ja04(D-NE920からiHA-1 V2SXへ接続する光デジタルケーブル。中間でビクターのAP-XN100を接続しています。2000円くらいまでの安いデジタルケーブルと比較するとあたりまえだけど全然違います、これも音に芯が通って、ぐっと厚みやコシのある音になりますよ…というわけで、良い光デジタルケーブルを使うことをおすすめしたいところ)
ケーブル類はこんな感じ。
そして試聴に使ったPCのソフトはASIO4ALLを通してuLilithで再生。PCにはND-S1もiHA-1 V2SXもUSBで接続しているので、ASIO4ALLの設定を変えるだけで接続しなおさなくても出力先を選べます。

以前、iHA-1 V2のノーマルを買ったときは、もうべた褒めだったんだけど、今回も手放しでほめているわけではないけれど、いいものでした。
ちなみに箱はこんなん。
Iha1_v2sx_box_01
そういえばノーマルモデルの箱は黒い化粧箱でしたね…V2SXの箱は結構簡素になっているように思います。
Iha1_v2sx_box_02
しかしこれはこれでいい感じです。箱が音を出すわけじゃないですし(苦笑)。
あいかわらず前置きが長くてすみません、今回は短くするよう心がけてみるテスト。

基本的にはPC→ND-S1(同軸にて出力)→iHA-1 V2SX→HD-1Lの接続ですがまずはiHA-1 V2SXまでで、ヘッドホンはMDR-CD900STとAH-D7000、mh256で試聴しての感想です。

基本的なところで、まず各接続での無信号時のノイズは皆無と言っていいと思います。前作iHA-1 V2では光デジタルやUSBでの接続で再生機側が停止したり何らかの都合で信号が止まるとiHA-1 V2が『サー』といった音のノイズを発生することがあったのですが、今回のiHA-1 V2SXでは、そういうこともありません。同社でiHA-1 V2SXと同じDACのチップを先に採用していたiDAC-1でも同様にノイズは出ないようなので、iHA-1 V2でのそのノイズは、やっぱりDACのチップの問題だったのかな?とも思います。他でもそういうノイズが出ていたという方がわずかながらいらっしゃったようなので、うちの環境問題だけではなさそうです。いずれにしても解決していることなので、今回は問題なしということで安心して使えます。
ギャングエラーはありませんでした。デジタルでの各接続の切り替え時に若干『プツッ』といった微小な音が入ることがありますが、気にするほどのレベルではないと思いました。セレクターとしての使い勝手も優秀です。
ゲインの切り替えについては、通常はLのままで良いと思いますが、AH-D7000を鳴らした時には若干の息苦しさも感じたためHにしたところ良くなりましたので、聞いていてヘッドフォンが苦しく鳴っているようであればH側に切り替えてあげるとよさそうです。

まず音色そのものは基本的には味付けしてない感じで、ただし空間表現に関しては別、というところ。録音状態にもよりますが、ボーカルものだと声を前方に定位しようとするようなところは、前作iHA-1 V2でべた褒めしたところから変わっていません。リスナーの前方にボーカリストが浮かび上がるような臨場感やステージを感じさせる音場表現はさすがだと思います。ステレオの音源に込められた情報量も引き出し方次第でこんなに臨場感があるものなのだという、izoさんの製品をはじめて聴かれる方にとってはステレオヘッドフォンの見方に対する角度を新たにしてくれる楽しみもあるのではないでしょうか。それは決してバーチャルサラウンドといった音源の情報に手を加えて再生する手法ではなく、あくまでステレオ再生による臨場感というところからizo製品の真摯さを感じられるのではないかと思います。低域から高域までしっかり出て、あまり変な残響とかは感じないですが、高域に関しては澄んだ切れ味があります。前作のiHA-1 V2ノーマルで感動した空間表現については、SP化のチューニングを施したときに少々がっかりしましたが、今回もそういう方向で締めているようなので、iHA-1 V2ノーマルのようにやたら広大に聞こえるわけではないのですが、広いことは広いです。仕様的にはコンデンサーなどがiHA-1 V2 SPやSP化チューン仕様のものとほぼ同様のようなので、そういう音になるのは納得できます(そこまでやって定価を89800円に抑えているのだから、確かに前に比べれば高くはない、とは言えるんですよね)。人によっては楽器やボーカルなど音が遠くなったと感じる方もいるかもしれませんが、音源から各パートの配置を再現して定位しようとする表現力は前作同様見事だと思います(いや、実際に中の人がそういうのを狙っているのかどうかは知りませんよ?)。
解像度も高く、すっきり聞こえてとても良い感じです。音の出だしもかっちり決まって、最近発売された某HPA/DAC複合機のようにボケたりやわらかだったりしないし、定位もしっかりとしていて聞いていて気持ちいい音です。

CDからの光での接続でもアナログラインインからでも、音質的には同様の傾向です。
PCから接続する場合はPCの光や同軸からiHA-1 V2SXへ直結でも良いのですが、USB直結でもいい音は出ます。ただしケーブルの質は如実に反映するようで、iHA-1 V2SXの場合はHP-A7のように付属のUSBケーブルが印象をガタ落ちさせるようなひどいケーブルが付属しているわけではないのですが、それでもやはりできるなら音質にとって向上効果のある良いUSBケーブルを使うのが良いと思いました。付属品からGT2にすることで、音にぐっと芯が通って押し出しと解像感が増します。

しかしPCからUSBで接続するなら、ND-S1を通して同軸でiHA-1 V2SXに接続する方が、より臨場感や空間表現に幅が出ているように感じました。音の厚みや実在感もこちらの方がUSB直結より上のように思いますので、もし追加でND-S1を入れられるなら入れた方が良いと思います。iHA-1 V2SXのUSB直結の音はそれでもかなり気持ちよく聞こえるレベルなのですが音場的には(光や同軸での接続と比較して)わずかに横に平べったいものになってしまうため、ND-S1を入れることにより、奥行きなどの深みや息遣い、生々しさがより出てくると思いました。あまりUSB-DDCを魔法の箱っぽく扱いたくはないのですが、ND-S1については入れられるなら入れた方が、といわざるを得ない効果があります(ただしiHA-1 V2SXではもちろんUSB直結でも楽しめない音ではないですよ?HP-A7のUSB直結は残念な音でしたが…)。ちなみにわたしの聴感では、ND-S1の光と同軸では同軸の方が深みがあって良い音に聞こえました。ND-S1の場合は詳しく研究された方もいらっしゃるようで、同軸だと電源の変動を受けてしまうので光の方がより良質に聞こえるとあったので試してみましたが、わたしの手持ちの機器の組み合わせだと同軸の方がよさげに聞こえました。難しいものですね…単にわたしが糞耳なだけかもしれませんけれど。

CDからの光の接続では、プレーヤーがしょぼいにもかかわらず、かなり良く聞こえました。普通にCDから聞くならCDから光なり同軸なりでiHA-1 V2SXに接続してあげるのが良いと思われます。この場合は素直にソースの情報に忠実に、かつ空間表現はソースから定位を再現しようとする表現力がぐっと生きてきます。基本的にはCDとND-S1での再生はかなり互角だと思いました。CDもプレーヤーを変えればもちろん変わるのですが、というわけで、PS3との接続を試してみました。通常再生ではND-S1でのPCでの再生とやはり互角です。そしてiHA-1 V2SXは光デジタル入力でも192kHzを受けられる仕様なので、PS3からアップサンプリングでCDを出力して試してみました。差異はわずかでニュアンスも微妙なので難しいかな?と思いましたが、アップサンプリングをかけた方が、やっぱりですがきめは細かくなります。かけない再生と比較すると、通常再生だと若干粗いイメージになるのかな?というところですが、そこまで大きな差が出るわけではないので、好みの問題で、PS3などのアップサンプリングできる機器をお持ちなら、それでiHA-1 V2SXに接続してあげると良いのではないかと思いました。

DACとしても優秀でiHA-1 V2SXからHD-1Lへ接続したときの感想としてはDAC側ですでにある程度の空間の表現がある状態でアナログへ出ているようで、HD-1Lでもそれを活かしたままHD-1Lらしい実在感のある音で楽しむことができました。ここで少々気がついてしまったことがあって、MDR-CD900STやmh256ではiHA-1 V2SXからの再生でも問題ないのですが、AH-D7000でiHA-1 V2SXとHD-1Lを比較してしまうと、HD-1LではAH-D7000の低域再生もしっかり制御できているのですが、iHA-1 V2SXだと若干ですがAH-D7000の低域を制動しきれないのか緩む印象がありました。具体的には、低音は出るには出るんだけどキレがいまひとつで音を締めきれずに引きずってしまう印象です。もしかするとそのあたりの制動力では、HPAとしてはHD-1Lに敵わないのではないかと思いました(値段を考えれば仕方がないことなのですが…99800円のHPA専門機と定価89800円のDAC・HPA複合機では…)。電源をiPSU-1にすると改善するとかなら期待はしたいんですが、どうなんでしょうか。

お遊び程度にACアダプターの電源コードを友人宅にあった別のものと変えてみましたが、ACアダプターに接続するケーブルでは音質の変化は見られませんでした(微細には影響があるのかもしれませんが)。そりゃ、ACアダプターは秋月電子通商のGFP451DA-1530なので(おりょ?マジか?と思われる方は、付属品の電源アダプタのラベルやコードをまじまじと眺めてみてください)、ACアダプタ故障などの際はわりと手軽に入手できそうでいいなーとは思うんだけど、やっぱり電源の足回りを整えるには、iPSU-1が必要なようです。買わなきゃダメか…コンパクトさが失われるのでどうしようかーと思っていたのですが、やっぱり電源欲しいなぁ、という方向で揺れつつあります。

トータルの感想としては買って満足できるものだったので良かったです。
慣らしてからもHP-A7のようにがっかりする変化があったわけではなく、解像度や音の出だしもカチッと決まっていて安定する方向で鳴ってくれているので、とても満足度が高いです。サービス特価の69800円で購入しているから、というのももちろんあるのですが…。
とりあえず当面の目標は電源ユニットiPSU-1で動かしたときの音がどういうものか、それ用の電源ケーブルの交換で音にどんな変化があるのか(うちのダメな電源環境ではあまり意味がないかもしれませんが…)、そして、ドライブ力の問題で気になった点はDACとしてHD-1Lから聞けばいいやと思ったところプラスPS3でのアップサンプリングの効果が面白かったことから、単体でアップサンプリングもいけるというiDAC-1にやっぱり興味がわいてきてしまいました(苦笑)。iDAC-1を買うとしたらちょっとがんばらないとダメですね。でも欲しいかも。そこからHD-1Lに接続すればいいか…izoさんの製品ならそんなにかさばらないから、前はタワーはどうかな?と思っていたんだけど、HPA・DAC・電源くらいなら、積んでみてもいいかな?と思ってしまいました。
そしてiHA-1 V2SXですが、本当にこれでiHA-1 V2最終型というのであれば納得できる出来です(欲を言うならAH-D7000をドライブしきる程度の能力は欲しいかな?と思いました)。サービス特売分は完売してしまったようですが、狙っている方がいらっしゃるのであれば、次期ロットで再入荷されたときに買ってみてもいいんじゃないでしょうか。小型の複合機としては良いDACでヘッドフォンアンプだと思いますよ。


|

« AT-PHA10は、ちっこいけど実力十分 | トップページ | ただの日記です。過度な期待はしないでください。(~20100224) »

ヘッドホン類・アンプ類」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: iHA-1 V2SXも、やっぱりいいものでした(~20100221):

« AT-PHA10は、ちっこいけど実力十分 | トップページ | ただの日記です。過度な期待はしないでください。(~20100224) »