おしえて!キャノン先生!(XLR・バランス接続の話)
最近毒性が強いって友人から突っ込まれましたが、いろいろありまして。今回もそんな感じなのであらかじめご了承ください。
以前、ドンシャリの話で昔聞いた話を書いたかと思うんですが、そこにいた頃に、今でも素人ですが当時はもっと素人なわたしから見て不思議なことが当たり前だったので疑問は確認しないと気がすまない性格だったから、そこらへんを例によってその先輩に聞いた話をひとつ。
今回件名に『キャノン先生』と打ってますが、別にゴージャス宝田先生の『キャノン先生トばしすぎ』ではなく(すごく面白いマンガでおすすめなのですが大きなお友達じゃなきゃ読んじゃダメですよ?)、わたしの最高お気に入りな地球連邦軍中距離支援型モビルスーツRX-77-2ガンキャノンでもありません、『キャノンプラグ』と呼ばれるコネクタによる接続形式のことで、俗に『XLR』だとか『バランス接続』とか呼ばれるやつのことです。XLRはそのうちのひとつなのでこれがキャノンコネクターの正式名だという勘違いも往々にしてあるようですがそれはさておいて。
これ、商売抜きの本音で聞いた話ということでひとつ。
まず気になったのは特異なコネクタ形状、あれは何なんですか?ってわたしが聞いたら、「マイクだとかコンサートでの配線だとかで長距離引き回すのに抜けたら困るでしょ?」ってことで解決。なるほど、放送部やってたときによく見かけたのはそういう理由かぁ、と思ったものです。伝送方式自体が外来ノイズに強いつくりになっているのでマイクなんかの微小信号を扱う配線には有効だそうで。では、なんでオーディオに?という点では、「業務用で信頼性の面から使うから。長距離引き回すから外来ノイズに弱いのは困るし、ちょっとしたことで引っこ抜けたら困るでしょ。でも場合によるけど民生オーディオの場合は音質云々では逆にデメリットになることもあるよ」…ぶっちゃけラインレベルで数m程度なら、その先輩いわく普通にRCAのラインケーブルで接続した方がいい、ってことだそうでした。おー、参考になるですよ。言われてみれば当時のそこの最上階にあった”家が買えちゃうクラス”のシステムでも、入出力にキャノンコネクタもついてたけど配線されてたのは普通のピンプラグだったなぁ…ケーブルそのものはアホみたいに太かったけど。では、なんで民生用オーディオにキャノンコネクタが付いてるの?って質問には、「良いと思った人相手に商売になるから」だそうで。実に身も蓋もない話ですが、まぁ、そういうことだそうです。ここからは理屈の話ですが、「構造が複雑になることで逆に悪くなることもあるから元々アンバランスの設計の機器をバランスに改造したりするのは愚の骨頂」「業務機器ならいざ知らず民生オーディオでバランス構成は他の機器とのバランスがアンバランスだ」「でもお客様相手にはそんな話はしないけどね、だって信じてるんだから高い方を売るに決まってるでしょ、こちとら商売だし」ぉぉぉ、ぁぁぁ、つか、この人わたしより毒性きついよ、と思った瞬間でしたね(苦笑)。じゃあ音質的なメリットは?って聞いたら、バランス化の構成に注力するよりもいいケーブルもしくは好みのケーブルを選んだ方がよっぽど効果ある、ってお話でした。なるほど…。
ちなみに当時素人ながら聴き比べた主観では、確かにRCAで普通につないだ方がいいって結果だったような。それでメインのシステムがバランスでつながってないことに納得した覚えがありますよ。
まぁ、でも、ケーブルにしろ電源にしろインシュレーターにしろ(ここら辺はわたしも変わるって効果は実感してるから良いと思うんですけど)、『変わったと思ってる人』に変わらないからむしろ悪くなるからやめておけーっていうのは野暮の極みですし、良いと思ってる人はやってみるのも一興なんじゃないでしょうか。これも一種の信心のなせる業ですしね。信じるものは救われるのですよ?
もっともバランス接続でアンバランスより音質が良くなるかについては、この記事でリンクしてる先から見ていただいてもわかるとおり、わりかし否定的な意見が多かったりはします。実際は商売のネタで信心深い人からケツの毛ばまで毟り取るって寸法ですよ(糞真面目に作られているコストと物量投入型のしっかりしたシステムをフルで組む場合はその限りじゃないんですが…それだと家が建つまでいかなくても安い新車くらいは買えちゃうんじゃないかという感じです)。
それにバランスっぽく見えていてもキャノンでつながってるだけで実はアンバランスだとか、フルバランスではない簡易バランスで実質的にはアンバランスだったりとか、知れば知るほど『実は幸福の壷か?』的なものしか見えてこないというのも面白いところ。
もちろん真面目に設計されている業務用機器においての有効性を否定するものではありません(そりゃ当然ですよ、あちらは真面目にノイズがのったりすると困る用途だし、当然それなりのコストもかけられていますから)。が、ことホビーレベルや趣味のオーディオにおいてのバランス接続ほどぁゃιぃものはない、ってことのようですよ?
プロ気取りの馬鹿が使うのがバランス接続…って話もあるくらいで(あーあーあーまた喧嘩売るようなこと言っちゃってからに)。
CDプレーヤーやDACからプリアンプ・パワーアンプ間の接続ならまだしも(これにしたってそれぞれの機器が内部的にフルバランスになっていなければ無意味どころか…って話です)、流行り?のバランス接続のヘッドホンって駆動力向上とGNDを分けることによるクロストーク低減が目的なのは理屈の上ではわかりますが、電気的にフルバランスになってなかったらはっきり言って意味ないですよね?つまりヘッドホンのユニット自体がHOT/COLD/GNDを受けられなければ無意味では?そしてユニット側にはそれを受けられる、つまりHOTとCOLDを合成してノイズを打ち消す云々って仕組みは入ってるんでしょうか…物理的につながっているだけではなくて仕組みとして、ということですよ?クロストークを避けるだけならアンプまではデュアルモノで持ってきて左右のユニットにスピーカーよろしく別配線にすればいいだけでは?(それでも大元の機器の内部からちゃんとチャンネルセパレーションができてなくて、どっかしらでL/RのGNDが一緒になってるとかだとほとんどまるで意味が無いと思うんですよね)というか、プレーヤーからアンプまでフルバランス構成にしなければその間の接続で変換回路を経由しまくるわけで、混成や変換での接続または似非バランスの場合は最低でも2回は変換過程を経るそのシンプルでない信号が影響を受けないわけはないっていうのは普通に考えてわかりそうなものですが、世の中そういうわけでもないんですねぇ不思議。手軽に楽しめるはずのヘッドホンを音質劣化のリスクを負ってわざわざ取り回し悪くして喜んでいるというのはどうにも解せない部分が…(言いすぎ?)。無駄な変換回路を通るということでは確実に劣化するわけで、それなら電源やケーブルで煮詰めた方がいいのでわ、とはいえ信心深い人には何を言っても無意味なので堂々巡りなのですよ?
というわけで、バランス接続に関してはマイナスの実感しかなかったのでわたしもわりと否定的だったりします(効果としてよかった経験があればここまでめたくそには書きませんよ?)。
もっとも先に述べたように信心の問題でもあるので、信じれば救われますから「バランスの方が良いに決まってるからふざけたこと言ってるよこの人は」と思う人は無視していただいて結構ですし、わたしもそういう人相手にわざわざダメだよっていうのは野暮もいいとこなんでやりませんですよ。じゃあなんで今回のエントリー…というのは、一種のブーム的にキャノンプラグがネタ扱いされてるのでとりあえず乗っておくかというミーハーな理由だったりしますよ(嘘ばっかりw)。ネタ的に商売人はこう見てるって話もネットの片隅にあってもいいんじゃないかと思ったのも理由のひとつですけどね。
もちろんド素人の意見なので、詳しい方からのご高説があればぜひご教示賜りたいと思います。
オチません。
j
以前、ドンシャリの話で昔聞いた話を書いたかと思うんですが、そこにいた頃に、今でも素人ですが当時はもっと素人なわたしから見て不思議なことが当たり前だったので疑問は確認しないと気がすまない性格だったから、そこらへんを例によってその先輩に聞いた話をひとつ。
今回件名に『キャノン先生』と打ってますが、別にゴージャス宝田先生の『キャノン先生トばしすぎ』ではなく(すごく面白いマンガでおすすめなのですが大きなお友達じゃなきゃ読んじゃダメですよ?)、わたしの最高お気に入りな地球連邦軍中距離支援型モビルスーツRX-77-2ガンキャノンでもありません、『キャノンプラグ』と呼ばれるコネクタによる接続形式のことで、俗に『XLR』だとか『バランス接続』とか呼ばれるやつのことです。XLRはそのうちのひとつなのでこれがキャノンコネクターの正式名だという勘違いも往々にしてあるようですがそれはさておいて。
これ、商売抜きの本音で聞いた話ということでひとつ。
まず気になったのは特異なコネクタ形状、あれは何なんですか?ってわたしが聞いたら、「マイクだとかコンサートでの配線だとかで長距離引き回すのに抜けたら困るでしょ?」ってことで解決。なるほど、放送部やってたときによく見かけたのはそういう理由かぁ、と思ったものです。伝送方式自体が外来ノイズに強いつくりになっているのでマイクなんかの微小信号を扱う配線には有効だそうで。では、なんでオーディオに?という点では、「業務用で信頼性の面から使うから。長距離引き回すから外来ノイズに弱いのは困るし、ちょっとしたことで引っこ抜けたら困るでしょ。でも場合によるけど民生オーディオの場合は音質云々では逆にデメリットになることもあるよ」…ぶっちゃけラインレベルで数m程度なら、その先輩いわく普通にRCAのラインケーブルで接続した方がいい、ってことだそうでした。おー、参考になるですよ。言われてみれば当時のそこの最上階にあった”家が買えちゃうクラス”のシステムでも、入出力にキャノンコネクタもついてたけど配線されてたのは普通のピンプラグだったなぁ…ケーブルそのものはアホみたいに太かったけど。では、なんで民生用オーディオにキャノンコネクタが付いてるの?って質問には、「良いと思った人相手に商売になるから」だそうで。実に身も蓋もない話ですが、まぁ、そういうことだそうです。ここからは理屈の話ですが、「構造が複雑になることで逆に悪くなることもあるから元々アンバランスの設計の機器をバランスに改造したりするのは愚の骨頂」「業務機器ならいざ知らず民生オーディオでバランス構成は他の機器とのバランスがアンバランスだ」「でもお客様相手にはそんな話はしないけどね、だって信じてるんだから高い方を売るに決まってるでしょ、こちとら商売だし」ぉぉぉ、ぁぁぁ、つか、この人わたしより毒性きついよ、と思った瞬間でしたね(苦笑)。じゃあ音質的なメリットは?って聞いたら、バランス化の構成に注力するよりもいいケーブルもしくは好みのケーブルを選んだ方がよっぽど効果ある、ってお話でした。なるほど…。
ちなみに当時素人ながら聴き比べた主観では、確かにRCAで普通につないだ方がいいって結果だったような。それでメインのシステムがバランスでつながってないことに納得した覚えがありますよ。
まぁ、でも、ケーブルにしろ電源にしろインシュレーターにしろ(ここら辺はわたしも変わるって効果は実感してるから良いと思うんですけど)、『変わったと思ってる人』に変わらないからむしろ悪くなるからやめておけーっていうのは野暮の極みですし、良いと思ってる人はやってみるのも一興なんじゃないでしょうか。これも一種の信心のなせる業ですしね。信じるものは救われるのですよ?
もっともバランス接続でアンバランスより音質が良くなるかについては、この記事でリンクしてる先から見ていただいてもわかるとおり、わりかし否定的な意見が多かったりはします。実際は商売のネタで信心深い人からケツの毛ばまで毟り取るって寸法ですよ(糞真面目に作られているコストと物量投入型のしっかりしたシステムをフルで組む場合はその限りじゃないんですが…それだと家が建つまでいかなくても安い新車くらいは買えちゃうんじゃないかという感じです)。
それにバランスっぽく見えていてもキャノンでつながってるだけで実はアンバランスだとか、フルバランスではない簡易バランスで実質的にはアンバランスだったりとか、知れば知るほど『実は幸福の壷か?』的なものしか見えてこないというのも面白いところ。
もちろん真面目に設計されている業務用機器においての有効性を否定するものではありません(そりゃ当然ですよ、あちらは真面目にノイズがのったりすると困る用途だし、当然それなりのコストもかけられていますから)。が、ことホビーレベルや趣味のオーディオにおいてのバランス接続ほどぁゃιぃものはない、ってことのようですよ?
プロ気取りの馬鹿が使うのがバランス接続…って話もあるくらいで(あーあーあーまた喧嘩売るようなこと言っちゃってからに)。
CDプレーヤーやDACからプリアンプ・パワーアンプ間の接続ならまだしも(これにしたってそれぞれの機器が内部的にフルバランスになっていなければ無意味どころか…って話です)、流行り?のバランス接続のヘッドホンって駆動力向上とGNDを分けることによるクロストーク低減が目的なのは理屈の上ではわかりますが、電気的にフルバランスになってなかったらはっきり言って意味ないですよね?つまりヘッドホンのユニット自体がHOT/COLD/GNDを受けられなければ無意味では?そしてユニット側にはそれを受けられる、つまりHOTとCOLDを合成してノイズを打ち消す云々って仕組みは入ってるんでしょうか…物理的につながっているだけではなくて仕組みとして、ということですよ?クロストークを避けるだけならアンプまではデュアルモノで持ってきて左右のユニットにスピーカーよろしく別配線にすればいいだけでは?(それでも大元の機器の内部からちゃんとチャンネルセパレーションができてなくて、どっかしらでL/RのGNDが一緒になってるとかだとほとんどまるで意味が無いと思うんですよね)というか、プレーヤーからアンプまでフルバランス構成にしなければその間の接続で変換回路を経由しまくるわけで、混成や変換での接続または似非バランスの場合は最低でも2回は変換過程を経るそのシンプルでない信号が影響を受けないわけはないっていうのは普通に考えてわかりそうなものですが、世の中そういうわけでもないんですねぇ不思議。手軽に楽しめるはずのヘッドホンを音質劣化のリスクを負ってわざわざ取り回し悪くして喜んでいるというのはどうにも解せない部分が…(言いすぎ?)。無駄な変換回路を通るということでは確実に劣化するわけで、それなら電源やケーブルで煮詰めた方がいいのでわ、とはいえ信心深い人には何を言っても無意味なので堂々巡りなのですよ?
というわけで、バランス接続に関してはマイナスの実感しかなかったのでわたしもわりと否定的だったりします(効果としてよかった経験があればここまでめたくそには書きませんよ?)。
もっとも先に述べたように信心の問題でもあるので、信じれば救われますから「バランスの方が良いに決まってるからふざけたこと言ってるよこの人は」と思う人は無視していただいて結構ですし、わたしもそういう人相手にわざわざダメだよっていうのは野暮もいいとこなんでやりませんですよ。じゃあなんで今回のエントリー…というのは、一種のブーム的にキャノンプラグがネタ扱いされてるのでとりあえず乗っておくかというミーハーな理由だったりしますよ(嘘ばっかりw)。ネタ的に商売人はこう見てるって話もネットの片隅にあってもいいんじゃないかと思ったのも理由のひとつですけどね。
もちろんド素人の意見なので、詳しい方からのご高説があればぜひご教示賜りたいと思います。
オチません。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
釘町阿梨さん、はじめまして。
古い記事にコメントしてしまい、申し訳ない気もしますが
バランスヘッドホンを所有しているので、ついコメントしてしまいました。
>つまりヘッドホンのユニット自体が
>HOT/COLD/GNDを受けられなければ無意味では?
>そしてユニット側にはそれを受けられる、
>つまりHOTとCOLDを合成してノイズを打ち消す云々って
>仕組みは入ってるんでしょうか…
AH-D7000やHP-DX1000などは、ケーブルが4芯構造で
HOT/COLD/GNDを分けてるらしいので、
ユニット側もそれを受け入れる構造に
なってるんじゃないでしょうかね。
あとは、プラグの方をXLRで左右分けて、
対応のアンプで駆動すればOK…とはならないんでしょうか?
>バランスっぽく見えていてもキャノンでつながってるだけで
>実はアンバランスだとか、
>フルバランスではない簡易バランスで
>実質的にはアンバランスだったりとか
バランス設計のDACの情報集めをしていて、
ここらをハッキリ書いてない製品があって困りますね。
こちらがメールで質問して初めて、答えが返ってくるんですが
…最初から書いといて下さいよと。
内部基盤を公開してる製品もありますが、
それを見て「バランス回路かどうか」なんてわかんないんです。
素人が偉そうに言うことじゃないですけど。
仕様の部分に、内部がバランスかどうかきっちり書いて欲しいものです。
メーカーが「あえて」詳しく書かないのも、
「商売のネタで信心深い人からケツの毛ばまで毟り取る」
ってヤツですかねw
>手軽に楽しめるはずのヘッドホンを音質劣化のリスクを負って
>わざわざ取り回し悪くして喜んでいるというのは
>どうにも解せない部分が…(言いすぎ?)。
耳の痛い話です。私も、HD53N(内部がバランス設計)を持ちながら、
DACがアンバランス。で、バランスヘッドホンを使ってるわけですが…。
変換回路で音が悪くなってやしないか、と「不安」を感じることもあります。
バランスと普通のヘッドホンを、一台ずつ持ってれば聞き比べできますが
バランス化したのが「AH-D7000」なので、聞き比べのためだけに
もう一台買うのは勇気が要りますw
(音の変化や向上を知るためには、これをヤルべきなんですがね…)
フルバランスの環境にしてから、ヘッドホンをバランス化しろよ!
とツッコミされても仕方ないのですが
とにかくバランスヘッドホンの音が聴きたかった…という
熱い感情があったので、こればっかりはどうしようもないですね。
投稿: plto | 2010年7月30日 (金) 16時03分
pltoさん
コメントありがとうございます。
これを書いたころは、いまだから明かすと、バレバレなんですが某氏へのあてつけみたいなところがあって(苦笑)、大人げないなーと思いますがそれは今もですね(苦笑)。その某氏へのアンチテーゼと人除け的な意味もあってというのがまずひとつ。自分で何がいいかも考えられないのに、人に勧められるままに金ばかり使ってモノを集めてもしょうがないだろうというのと、なになにのレビューは?とかコメントされるのがいい加減鬱陶しかったというのがひとつ。
それから、傍からは某ショップ主導と見えるバランスヘッドホンブームに微力ながら一石を投じたかったというのがひとつ、だったりします。
なんでもかんでもバランスにすればいいってものじゃないだろうというのと、ヘッドホンのバランス駆動という呼称自体に疑問があった、というところです。
しかしpltoさんのおっしゃる通り、ドライバー自体が信号を受けられる構造になっているならば、そのように配線して、上流からフルバランスで動作させれば良い音質を得られる可能性はあると思います(某ショップ主導のヘッドホンのバランス駆動ではなく本来的なバランス接続の意味で…現状ではそういったヘッドホンアンプは無いのではないでしょうか?)。
ヘッドホンの…ではなく、いわゆる一般的なオーディオのバランス接続に対しては、当時の勤務先の先輩に教えていただいたことと、わたしがそこで色々な機器を聞いていて、当時は理屈までは考えてませんでしたが直観で好んでいた機器がやっぱりアンバラかつシンプルな機器だったことから、経験的にバランス接続に対して否定の立場なんです(もちろんいまだにショップの人間として販売していたら内心否定はしていても売ったと思いますけどね、その方が儲かりますから)。
しかも、内部的に変換を通していれば、意味がないどころか結局はマイナスにしかならない、というのがわたしの考えです。落ちたものに対して化粧をするのはごまかしでしかないですから(素性が良いものに対しての化粧なら向上なんですが)。
それゆえ過剰なオーバーサンプリングやアップコンバートについてもオーディオの場合は否定的ですし(映像のアップコンバートについてはこの限りじゃないです)。これは最近わたしがときどき書いているんですが、ノンオーバーサンプリングのDACを体験されるとご理解いただけるかもしれません。オーバーサンプリングも見かけの情報となめらかさは増えますが、元の信号に足したり引いたりしている以上は出てくる音の中に占める元の信号の割合は減っているわけで、それはつまり情報量が落ちている、と捉えられます。実際の音も鮮度が落ちたそういう音になっていることが比較するとわかります。ことオーディオの場合は、信号の経由するあいだに入るものが多くなったり処理が複雑になったりすることが音に対しての負荷にしかならない、という理屈がようやく少しずつわかってきたというところです。デバイスなり接点なりは極力減らした方がいい、というわけです。
業務用がバランス接続を採用している理由はもっともだと思っていますし本文中からもご理解いただけるかと思うのですが、ホビーとしてのオーディオについて適用することについてはわたしは否定的ですね。
それとヘッドホンのコネクターがもともと4芯構造でL+/L-とR+/R-なんて接続だったら良かったのではとも思いますが現実的にはL+/R+/共通-という接続である以上は、変換を通したりしてしまうことも考えると、音質的な意味でも使い勝手でもそのままで使うのが良いのではないかと思うわけです。バランス化することでコネクター周りの使い勝手が比較にならないレベルで扱いづらくなりますから。
それとリケーブルについても否定的なのは、ヘッドホンという製品はケーブルも含めて販売されている状態でバランスのとられたひとつの製品だからだと思っているからなんですね(最近わたしがやってるCD900STのケーブルカットやプラグ付け替えも本来は邪道だとは思いますが、そこまでシビアに言うほどの音質差がなかったと思われたことと、メーカー公認のサポート業者さんのカスタマイズメニューに同様のメニューがあることから、利便性優先で妥協しました)。まぁ、リケーブル自体は趣味レベルでの改造だからとやかく言う問題ではないことはわかってるんですけどね(苦笑)。
しかし、方式が違うから駆動力が変わるとか、その他バランスの方が有利だと力説する人もいるので、興味があって改造に踏み切るのは個々人の自由だと思うんですよね。ただ、それでよくなったかどうかは未知数ですよ。pltoさんのおっしゃる通り、変化を知るためには、やっぱりデフォの個体を基準としてひとつ持っていた方がいいです、これは当然ですね。比較無くして、変化はわかった気になれても向上したかどうかは判断が難しいと思います。ここはやはりD7000をもう一つ、メーカー出荷の状態で使うことを前提に手に入れて、聞き比べをしてみるといいんじゃないでしょうか。
ただ、それはDENONがバランスタイプとしてD7000を販売していない以上は、良くなったと感じたとしてもDENONがD7000として提示している音じゃない、という前提を常に念頭に置いて聞く必要が出てきてしまうとは思います。ケーブルの長さを詰めるのとは話が根本的に違うので(苦笑)。
悪魔の誘いのような気がして申し訳なくはあるのですが、pltoさんがご自身のバランス化されたD7000の変化をお知りになりたいということであれば、ここはやはり素の状態のD7000をもう一つ手に入れられることをお勧めしたいです。
それでどう感じられたかをまたお聞かせいただければ幸いです。
投稿: 釘町阿梨 | 2010年7月31日 (土) 08時44分
返信ありがとうございます!
>(某ショップ主導のヘッドホンのバランス駆動ではなく
>本来的なバランス接続の意味で…現状ではそういった
>ヘッドホンアンプは無いのではないでしょうか?)。
西出晃さんが完全バランス再生に挑戦し、実現しているようです。
ttp://www.avvillage.com/new_dv/salon/title/niside/h19/1203.htm
西出晃さんはブログもやっていて、面白いですよ。
ttp://oji.blog.so-net.ne.jp/
「再生側ではできるだけ、制作者が作った音をそのまま再生したい」
が基本的な方針、と言っているのが印象的です。
投稿: plto | 2010年7月31日 (土) 14時51分
pltoさん
興味深い記事のご紹介、ありがとうございます。
完全バランス再生…すごいですね。
わたしも、ここまでやるのであればきっとすごい音が出るのだろうな、と思います。
ただ、コンシューマーユーザー的にそこに到達するのは至難の業ですね。そして、現在世間的にあるバランス構成のオーディオでは到達しえないどころかアンバランス構成のものよりももしかすると厳しい恐れもあるとすると、やっぱりわたしは半端にバランス構成を取り入れるよりもアンバランスでもその他の部分に注力したい…というように思います。
制作者…つまり作曲者や演奏者の意図通りの音で…というのは、わたしも常にその方向性で再生できるように試行錯誤しています。ヘッドホン愛好者の方で時々みかける『自分好みの音を出す機器をよしとする』というのは、わたしとしては制作者の意図を歪める行為で唾棄すべきものだと思っています。しかしこれが難しくて、たとえば制作者がラジカセや携帯電話で聞くことを意図して音を作っている場合は、いくら整えた環境で聞いてもそれは制作者の意図した音ではないわけです。さらにこちらで制作者が作ったであろう原信号(原音とは言いません…そんなものは録音時の現場にしかなくて、しかも録音された結果はその場での演奏の音ではなく制作者の意図などで編集されていることがほぼ常なのですから)を忠実にトレースしているであろうとする音ですら、それはわたしの好みの反映と具現化の組み合わせであって、制作者が意図している音を再現しているのとは異なるのでは?と考え出すと、きりがなくなってしまいます。
しかし、作者の意図する音とリスナーが作者の意図を再現しようとした音が違う恐れがあるとしても、作者の意思へ近づこうと考え試みることが有意義なのではないか?と思います。それなくしてやみくもに『良い音』『良い機材』とされるものを次々と買っていっては『何か違う』などと繰り返すのは進歩がありませんから、そうはならないように色々な要素を吟味して楽しみたいものですね。
投稿: 釘町阿梨 | 2010年8月 1日 (日) 09時02分
バランスヘッドホン(以下、バランスと略)と
シングルエンド(以下、シングルと略)との比較です。
文量が多いので、2つに分けました。
今回は比較条件、注目すべき点など、前置きになります。
再生環境。
VGN-FZ50B(ノートPC)→CARAT-T2(USB-DDC)→
CARAT-SAPPHIRE(DAC※DDCと同軸接続)
→HD53N(HPアンプ※DACとRCA接続)
再生ソフトは、音量調整がしやすい「Frieve Audio」使用。
「バランス」は「シングル」と比べて、大幅に音量が増加するので
両者を正確に音量一致させないと、とても音質の比較ができません。
ちなみに、AH-D7000の「シングル~バランス」間の音量差は
「約10dB」もあります。
「バランス」と「シングル」の比較は、AH-D7000を使います。
さらに「シングルエンド変換ケーブル」を用いて、
同一機器で行いました。
バランス改造では、リケーブルは行っていません。
あくまでプラグの変更だけです。
また標準プラグ切断のときには、
ケーブルがある程度残る位置で切断しているので、
それを使って「シングルエンド変換ケーブル」を製作しています。
このため、「シングルエンド変換ケーブル」接続時には
未改造のAH-D7000に近い状態に戻すことができます。
(「バランス改造~シングルエンド変換ケーブル製作」は
自作ではなくセカンドスタッフさんに注文してやって貰いました)
「バランス」のメリット。
a・クロストークの改善
b・スルーレートの向上
これらによって、左右・センターの定位がより鮮明になり、
全帯域で情報量が増え、より細部まで聞き取れるようになる。
一方、今回の比較では以下の2点で
「シングル」に不利な状況になっています。
c・「シングルエンド変換ケーブル」接続による接点の増加
d・「シングル」使用時は、出力段で
「バランス→アンバランス変換回路」を通る
(HD53Nは入力信号に関わらず、入力段でバランス増幅・
変換するため、こうなってしまう)
なので、「バランス」に繋ぎかえて音が変化・向上したとしても、
それが「a・b」のためである、とは言えません。
「c・d」のために、「シングル」が本来の性能よりも劣化している
可能性があるからです。
投稿: plto | 2010年9月 9日 (木) 13時07分
いよいよ本題ですが……「変化なし」でした。
あえて差をつけるなら、「バランス」の方が低音は締まり、
高音は明瞭で、全体的に見通しが良い…ですが、
あくまで「そんな気がする」程度の差です。
これは、1dB音量を上げればゼロになる「極めて微小な差」です。
結局、前回挙げた「バランス」のメリットは、
私には分かりませんでした。
「バランス」で良くなった、と思い込んでいた自分が恥ずかしい。
記憶での比較がいかに曖昧て誇張が入るか、痛感しました。
顔から火が出そうだ。
私自身には、厳しい結果となりましたが、
今後の方針を決める上では、良かったです。
バランスヘッドホンを買ったり、バランス改造することは
もうしないでしょう。現状では、音量増加で生じる
「デメリット」しかないので。
何せボリュームを少し上げただけで、爆音になりますからw
取り回しも悪くなりますが、私には「音量」の方が問題です。
ただ、アンプは「バランス・シングル」を高精度に駆動するものが
もう一台欲しいと思ってます。HD53Nは十分な性能を持っていると
感じていますが、ちょっと大きいし、
ガリノイズなど面倒なところもありますから。
全段バランス回路の「フルバランス」構成には興味が無くなった
(シングルを使う場合は、アンバランスで処理するし)ので、
アンプ内部は「アンバランス」で、出力段だけで「バランス変換」
(BTL駆動)するヘッドホンアンプが欲しいなーと思ってます。
そんなんあるんかいな、と思って調べたところ
「BLO-0299」とか「MBA-1シリーズ」がこれに該当します。
(MBA-1シリーズは、厳密に言えば「フルバランス」ですが、
「アンバランス信号」入力のときHD53Nのように入力段で
「バランス変換」したりしません。入力信号に応じて、
最短経路を通るように設計されているそうです)
2回に分かれて、それぞれ長文になりましたが
お付き合い下さって、ありがとうございます。
投稿: plto | 2010年9月 9日 (木) 13時08分
pltoさん
貴重なレポート、ありがとうございました。
結果は有意差無しということで、はからずもわたしが記事内で主張させていただきましたことが少しでもご理解いただければ幸いです。
MBA-1シリーズは面白そうだとわたしも思いますが、シングルでしたが試聴した際の感想は、個人的にはHD-1Lの音の方が好みだったので、なんとも難しいなと思います。繊細さなどではMBA-1の方が上でしたが、部分的に演出がかった不自然な音に聞こえなくもなかったため購買欲につながるような興味がわかなかったということもあります。
でも、いい製品だとは思っていますので、もしpltoさんがMBA-1を購入されるのであれば、またご感想をお寄せいただければ幸いです。
投稿: 釘町阿梨 | 2010年9月10日 (金) 02時16分