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2008年9月 5日 (金)

パイルバンカー、その突端はどこに向くのか(パイルバンカー実例の提示と誤解を招く用法への疑問)

パイルバンカーですよ(何を唐突にw)。筋金入りの最低野郎どもには「いうまでもなかろうよ!」ってことなんですが、どうもこの武器、勘違いされてる節があるので突っ込みを入れたくなりました。
たとえば、この以下のブログの記事。
DVD分析10「パイルバンカー」|ゲームの神様・遠藤雅伸公式blog
こちらでパイルバンカーについて述べられているのですが、神様らしからぬあまりのでたらめな解釈に勘違いも甚だしいのではないか、ならば実際の映像から汲み取れる情報とそれにまつわる資料からこの武器についてまとめてみようと思ったのがわざわざこのエントリーを立てようと思ったきっかけです。

パイルバンカーとはもともとはアニメーション作品『装甲騎兵ボトムズ』に登場した造語でボトムズ作中における武器をさすものであり、AT(アーマードトルーパー…装甲騎兵、つまりボトムズ作中における二足歩行兵器の総称)用の近接武器です。
パイルバンカーという武器が初めて登場したのは装甲騎兵ボトムズのTVシリーズのクメン編で、登場人物のル・シャッコが搭乗するAT”ベルゼルガ”に搭載されていました。
このときの装備形態が左腕に装着されている盾に組み込まれていたことから上記ブログの遠藤氏のような勘違いが生じてしまうのだと思われますが、パイルバンカーが盾に装備されているのはたまたま特定機種(”ベルゼルガ”や”オーデルバックラー”)の装備形態がそれで、パイルバンカーという武器自体は盾とは無関係の独立したものなのです。
のちに発表されたOVA(オリジナルビデオアニメーション)『装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』の作中の第三次惑星サンサ攻略戦において登場するバララントの地上用AT”ファッティー地上用(グランドファッティー・陸戦型ファッティーとも呼称される)”では肩から正面に射出する方式で装備されており、”スコープドッグリーマン機”(リンク先は注釈的に。あえて別機体です)では武器単体として腕に射出機構が取り付けられており槍自体は足にストックされたものを使用時に装填する形式をとっていたり、OVA『装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル』のバララントのPS用AT”エクルビス”では右腕に固定武装として装備されており、OVA『機甲猟兵メロウリンク』では機甲猟兵という歩兵、つまり生身の人間がATに対抗するために与えられた対ATライフルに小型の携行用パイルバンカーを取り付ける…といった具合で運用されています。
槍の射出方式には電磁誘導式や圧搾空気式やアームパンチと同様の液体火薬式があり、最も強力なものでは一回の射出でアームパンチの液体火薬カートリッジを3発用いるものもあったようです(参考資料ではプレイステーション用ゲーム『ライトニングスラッシュ』に登場する機体”スラッシュドッグ”のページに該当すると思われるパーツの図版が掲載されておりますが、筆者が当ゲームをプレイしたことがないため詳細不明です、申し訳ありません)。
パイルバンカー、その目的はまさに”装甲を貫通しパイロットの殺傷をもってATを沈黙させる”という恐怖の武器で、純然たる兵器であり殺人器なのです。
ちなみにパイルバンカーといえば『短射程で最強の威力』という印象があるようですが、先に述べたとおり『装甲を貫通しパイロットを殺傷することで敵の動きを封じる』武器であるため、実際の威力は『装甲を貫通する程度の能力』でかまわないので、そんなに威力がある兵器というわけでもありません。このあたりもわりと誤解されている点かと思われます。実際はソリッドシューターやミサイル、ドロッパーズフォールディングガンなどの重火器の方が破壊力は高いです。
そして実際には作中でパイルバンカーが使用されることは極めてまれで、TVシリーズではル・シャッコのベルゼルガが15話『疑惑』でのラモー寺院での戦闘で用いた他、25話『潜入』のカンジェルマン宮殿での戦闘でイプシロンの搭乗するストライクドッグに射出した程度であり、インパクトはありますが銃撃戦がATの戦闘の基本のようなところがあるため近接格闘用武器という性格もあり使用される局面はわりと限定されます。
射出された槍はいつのまにか戻っていることがほとんどで何らかのリロード機構を有しているとは思われますが、実際にはその用途からして槍が戻る必要はなく、25話ではシャッコのベルゼルガがイプシロンのストライクドッグへ向けて射出した槍がそのまま飛んで行くシーンを見ることができます。
兵員の人命は紙より薄いアストラギウス銀河でATの装甲も紙っぺらと揶揄されることがありますが、実際にはやはりそれなりの装甲を貫く必要があるため射出反動はかなり強力であり、それをメロウリンクが携行しているような歩兵用の携行型パイルバンカーはどう処理しているかというと、槍の射出方向とは逆に燃焼ガスを噴射し相殺するという方法をとっています。ちなみにこの携行用パイルバンカーの射出にはATのアームパンチ用弾薬の50mmの空砲が用いられるということからも、その衝撃のすさまじさを想像できるかと思います。このような反動相殺機構がなければ、とてもじゃないですが生身の人間ではその射出反動に耐えることはできないであろうと思われます。

以上、このように、パイルバンカーとは武器であるわけです。
何が言いたいかというと、パイルバンカーについて遠藤氏がブログで展開されている『盾に仕込まれた杭を何らかの方法で地面に打ち込み、防御拠点を確保するもの』といった解釈はあからさまに間違いであり、『火薬やバネで打ち込むことが多い』などという認識もバネ駆動のものがない以上誤りであり、『これを利用して、打突用の武器とするシーンに萌える』に至っては完全な誤解であると言わざるをえません…パイルバンカーはもともと”武器”なのですから。 ゆえに、純粋に武器でないものをパイルバンカーと呼んでしまうのはそれこそゼビウスのザカートを正露丸と呼ぶようなものです。
盾についていて盾を地面に固定するのが目的の杭といった装備はガリアン重装改のシールドに見ることができますがそれはパイルバンカーではなく、あくまでも全く別のものです。アニメのドルアーガの塔の登場人物が持つシールドの杭もその類なので、あれをパイルバンカーと呼ぶにはかなり苦しいというか、さすがに無理がありすぎますよ?というわけです。
また、ボトムズ内でこういった”杭を射出する”といったギミックを用いたATの装備では他にはターンピックというものが存在し、これはATの脚部の足首より下、接地面間近に装着されており電磁射出式で杭を射出し(小型のソリッドシューターと思っていただければよい)、地面に打ち込みATの機動や姿勢制御(固定やブレーキや旋回)に用いる機構です。これも突出して地面に刺さるなど威力はありそうな装備ではありますが、後述する理由により武器としての転用はかなり難しいと思われます。ちなみにボトムズ本編中で『ターンピックが武器として使われた』シーンは、一度たりとしてありませんでした。窮地においてはいろいろなアイディアで難局を乗り切るキリコでさえ、ターンピックを武器として使ったことはなかったということです。これはターンピックが文字通り『方向転換などの姿勢制御や機体固定用の突起』としての長さしか持ち得ず(アクティックギアなどの各種模型を参照願います)、武器として使えるものではないからである、もしくはATが格闘戦にもつれ込んでもアームパンチなどの上半身で勝負することが多くATの格闘スタイルとして敵機に足の裏をべた見せする蹴りをかますようなことがほぼないためと思われます。実際には不整地の登攀などで足場を固定する際にも用いることはあるようですが、武器として使えるほどの長さのあるターンピックというのは現存するATの機体設定には存在しておりません。高橋良輔監督はこの手の作品の二足歩行兵器にギミックを仕込むことにおいては類まれなるアイディアマンだとわたしは思っており監督の作品に集った演出家も仕込まれたギミックをさまざまなアイディアで活用する方々が揃っているので、ボトムズに限らずメカニックに設定したギミックは演出的にいろいろと意外な使い方をされることが多々あります(高橋良輔作品の中でも特にボトムズのATやガサラキのT.A.はそのようなギミックが満載されています)。しかしターンピックについては前述のような理由からかはわかりませんが、さすがにこれを武器として使う演出というのはなかったです。
※メカギミックを活かした演出の一例として『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』の第3話『分隊』では、ゴダン機が弾を撃ちつくしたソリッドシューターをアームパンチ機構を利用してファッティーへ射出投擲するという描写もあります。
本題に戻りますが、つまり冒頭であげた『遠藤氏のブログでのパイルバンカーの解釈と定義』はあからさまに間違っており、そういったものがGoogleの検索などで上位に来てしまうというのは筆者の著名性もあって無思慮に信じてしまう人もいることが危惧され、誤解を拡散させる元凶となるわけなので何とかしていただきたいところです。
もっとも、たとえアニメのドルアーガの塔での装備が武器としての扱いのつもりであっても人が扱うには槍の射出反動に耐えられないはずで、前述した携行用パイルバンカーのような反動相殺機構といったものや、そういう設定なしに安易に槍や杭が打ち出されるギミックを十把一絡げにパイルバンカーと呼んでしまうのは誤用を通り越して滑稽であると言わざるを得ません。
他の作品にしても同様で、パイルバンカーという単語を安易に濫用していると思われる現状は何とかならないかと思います。
生身の人間がこの手の武器を使用するということにおいては、月姫シエル先輩第七聖典なんかは本人の並み外れた身体能力も相まってありだと思います。機構や形態やその動作からはあからさまに携行用パイルバンカーを連想させますが具体的にパイルバンカーと呼称していないことに好感が持てますし、仮にTYPE-MOONのオフィシャルでそう呼ばれたとしても、第七聖典自体が対象物を滅することを目的とした”武器”なので納得できます。


※参考文献
 ボトムズ・アライヴ(太田出版)
 装甲騎兵ボトムズ AT完全設定資料集(Studio DNA)
※参考資料(原典)
 装甲騎兵ボトムズ DVDメモリアルBOX
 装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ DVD1~6巻

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